『闇の子供たち』

 阪本順二監督の問題作『闇の子供たち』を観た。タイを舞台に人身売買、幼児売買春、それに絡んだ臓器密売の知られざる闇をえぐり出した梁石日氏の原作を映画化した作品だ。子供たちに値札が付いた世界の存在を描き、これは「事実か、真実か、現実か」と問い掛ける。

 とにかくすさまじいリアリティーに愕然とした。タイが舞台だが、恐らく、世界中の多くの国でこれに近い、あるいはこれ以上の状況が存在しているのかもしれない。日本に住んでいる限り、こうした現実を意識することはないが、こうした問題の存在をしっかり知っておく必要はある。

 問題はこうした闇の存在に日本や日本人も関与しているということだ。難病を患う我が子に臓器移植手術を受けさせる日本人夫婦に提供される臓器は生きたタイの子供から取り出した臓器であることは事実として受け入れられるものではない。

 作品の意義に賛同した豪華キャストが名を連ねている。タイ駐在の新聞記者、南部浩行に江口洋介。若いカメラマン役は妻夫木聡、NGO活動家に扮したのは宮崎あおいだ。エンドロールに流れる主題歌『現代東京奇譚』はこの作品の問題意識に感動した桑田佳祐によるオリジナルナンバーである。

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