石田徹也-僕たちの自画像-展

①飛べなくなった人
  将来を嘱望されながら惜しくも31歳で死去した石田徹也(1973-2005)。確かに彼の描く作品は見るものに大きなインパクトを与える。今までに見たことのないような絵だ。
 
 展覧会開催に当たって父親の嘉弘氏が寄せた言葉の中に、息子の絵は「決して、心が落ち着くとか、綺麗な作品ではありませんが・・・」と断っているように、見るものをひどく不安にする。多くの作品に登場する人物はみな、うつろな目をしている。その目をした人物は彼の分身であると同時に、現代を生きる多くの若者たちの自画像でもあるという。
 
 石田徹也の作品は「複雑で捉えどころのない現代社会の中で生きる私たちが、日頃は心の奥底に押し隠してしまっている精神のドラマを表現したものとして、世代を超えた共感を呼んでいる」という。果たして喜ぶべきことか、それとも・・・・・

 作品は3つの部屋に分けて展示されているが、最後の部屋に自筆の「アイデア帖」なるものが展示してあった。最も有名な「飛べなくなった人」について、「とびたいけど、とんではいけないイメージ(もの悲しい)」「はげてるペンキ」「とまっているゆうえんち(はいきょっぽく)」「ゆうえんちのひこうき男」などと書かれていた。飛び立ちたいのに、飛べ立てないもの悲しい人間の実態を描いた姿なのか。

②練馬美術館
  

 練馬区貫井1-36-16。石田徹也の主要作品約70点が展示されている。会期は12月28日(日)まで。彼の作品に共感する人たちが全国から大勢会場に来ていることを感想をしたためるノートを読んで知った。
 

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