「大江戸えねるぎー事情」

 「大江戸えねるぎー事情」と銘打った作家、石川英輔氏の講演会。2008年1月に「千代田区地球温暖化対策条例」を施行するなど、二酸化炭素の排出が少ない低炭素型社会の形成を目指している東京都千代田区の主催。同氏は1933年生まれで江戸文化に詳しい。

 江戸時代の江戸は100万人の住む世界に冠たる大都市。経済成長はゼロだが、食料自給率は100%、モノを保存できないので在庫もゼロ。ガソリンなしでも平気で暮らしていた。冷蔵庫がないから食べるモノも旬のものばかり。

 今の日本人は1日1人当たり12万kcalのエネルギーを消費しているとか。石油換算では10リットル。それに比べ、江戸時代はほぼゼロに等しい。薪などはエネルギーで換算できないらしい。極めて原始的な生活だったが、そんなに悪い生活でもなかったようだ。

 具体的な例が病気。現代は国民病の発症が一段と低年齢化し、小児性成人病も登場するほど。生活習慣病は今や5歳児の5%もいるという。エネルギーを多消費すればするほど、肥満などの病気が顕在化しているのが現実だ。つまり、「エネルギーをたくさん使ったからと言って、生活が恵まれたものになるとは言えない」。

 ①高カロリー・高たんぱく・高脂肪②運動不測③不規則生活-現代人を取り巻く状況はこれだ。我々はこれを①良質な食事②労働からの解放③自由な生活-と勘違いして喜んでいるが、実はこうした生活は人間の身体には向いていない。

 人類が生まれて700万年。人間が穀物の栽培を覚え、農業が始まってからでも1万2000年。その歴史のほとんどは飢えとの戦いだった。食べないことに対しては強いが、過剰栄養には弱い。

 エネルギーをそんなに消費しなくても健康な生活を維持できたのが「江戸時代」。エネルギーを使っている限り、健康な生活はできない。そういう江戸時代の考え方は現代人にとって参考になるのではあるまいか。

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