山崎豊子自作を語る3『小説ほど面白いものはない』

 自作を語る3は対談集。相手は石川達三、松本清張、今東光、菊田一夫、浪速千栄子、城山三郎、長谷川一夫、三國一朗氏などそうそうたる人物。ほとんどが鬼籍に入っており、丸で彼らの肉声を聞くようだ。対談そのものが、何十年も前のものが多く、時間が経っているものの、内容は決して古くないのが面白い。

 同じ文章を書く人間として、小説家を意識したことはあったが、結構読んではいたものの、「小説」を意識したことはなかった。小説がこれほどまでの取材を基に書かれているものとは思ってもいなかった。誰の作品でもそうだとは思わないが、少なくても山崎作品については、すさまじい取材が背後になされていることを知ってびっくりした。

 「たかが小説」ではない。「されど小説」である。

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