京橋モルチェ


              (日本橋・三越本店のライオン)

 何度も足を運んでいるものの、銀座から日本橋に通じる中央通りの位置関係が把握できない。流れとしては銀座→京橋→八重洲→日本橋→三越前→神田。いつも真中辺りがあやしい。この日も「京橋モルチェ」に行くつもりで、待ち合わせ場所を日本橋三越本店のライオンの前と、わざわざかなり離れた場所に指定。結局、地下鉄の駅で2駅歩く羽目に陥った。土地を体で記憶していない証拠だ。マップ

 「京橋モルチェ」は輸入食品の草分けとして知られる明治18年創業の明治屋本店ビル地下1階にある同社の直営レストランだ。銀座線京橋駅に直結しているちょっと珍しい。ビアホールというかレストランというか、ちょっと小さな体育館のような不思議な空間だ。

 明治屋本店ビルも昭和8年(1933)竣工で、昭和初期という時代の香りを残す味わい深い建物だ。文明開化とともに洋食を修業した渡辺鎌吉氏の作った「中央亭」を引き継いでいるものの、苦境に陥った大正4年に明治屋が支援の手を差し伸べた。

 初めてこの店に行ったのは15年ほど前。その当時から「おやじ食堂」的雰囲気があったが、それは今も変わっていない。奥にはカウンターもあるし、入口の立ち飲みスペースでは帰りがけに一杯引っ掛けている姿も見掛けた。昔はもっと荘重な空間だったように思うが、今はテーブルのオレンジを基調とした空間に変わっていた。記憶の中の歴史も歳を取るということだろうか。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.