日本国債を格下げ-米S&P

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1月27日、日本の長期国債格付けを「AA」(ダブルA)から「AA-」(ダブルAマイナス)に1段階引き下げた。財政の悪化懸念が格下げの理由。同社は「財政赤字が少なくても今後数年高止まりし、財政の柔軟性が低下している」と指摘した上、「今の政治状況では政府が政策を実現しようとしても国会の議決につながる可能性が小さい」と、財政改革の実現性を疑問視した。S&Pの日本国債の格下げは2002年4月以来。 

 「ダブルA-」は上から4番目。最上位の「AAA」(米国、英国、ドイツ、フランス)、2番目の「AA+」(ニュージーランド)、「AA」(スペイン)に次いで上から4番目。サウジアラビア、中国、台湾と同列だ。S&Pは昨年1月に今後の見通しを「安定的」から「引き下げ方向」に変更しており、今回の引き下げは既定路線だった。

 先進国間で突出している日本の財政赤字に対して、海外が厳しい目で評価していることが明確になった。日本の国債は国内投資家が95%を保有しており、格付けに敏感な海外投資家の影響を無視できるし、対外純資産残高は世界1位、外貨準備も1兆ドル超と中国に次いで世界2位である点などから、すぐにどうこうということにはならず、「日本政府への警告」との受け止め方が一般的だ。

 しかし、相場暴落→金利急騰などの影響が出てからでは遅い。そのときは日本が破綻するときだ。日本破綻は連動した世界経済の破綻と直結する。日本発の破綻ドミノが起こる。日本政府が警告を国民に共有させる説得力を持てるかどうか。日本政治の責任は重いし、それを監視する日本国民の責任も重大だ。

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