越の丸茄子

 

茄子(なす)はインド東部が原産地。日本へは中国から渡来し、既に奈良時代には栽培されていた。1200年の歴史を持つ野菜の主要プレーヤーだ。世界の仲間は多種多様。形も丸形やきんちゃく形、一口サイズの小なすから、長さ50センチもある中国産のへびなすまでさまざま。色も紫、白、黄、緑、まだらなど多彩だ。以下は「野菜図鑑」から。

■長卵形なす-長なすと卵形なすの中間の大きさ。寒冷地でも温暖地でも作れるため日本中で栽培されている。栽培容易で多収量。

■卵形なす-関東を中心に最も多く出回っていた品種。代表的なのは「真黒なす」。現在は市場に出ていない。

■丸なす-東北から関西に多く、丸くて大きいものは1キロ近くあるらしい。肉の締まりが良く、田楽や煮物に向く。

■長なす-西日本で人気が高い品種。煮物に向く。長さ20~25センチ。

■大長なす-九州の焼きナなす・煮なす用。肉質が柔らかい。長さは40~45センチ。

■小丸なす-重さ10~20グラムの丸形なす。山形の「民田なす」や「出羽小なす」。からし付けなどの煮物に。

野菜図鑑」(独立行政法人農畜産業振興機構)によると、「丸なす」はかつて全国的に作られていたが、近年は秋田、山形、新潟、福島、京都などに残っているだけだという。京都の「賀茂なす」、山形の「民田なす」「窪田なす」が有名だという。賀茂なすは食べたことがある。

いただいたのは新潟県糸魚川市産の丸なす「越の丸なす」(こしのまるなす)。高級料亭などで多く使われる高級食材で、なすの「大トロ」の異名を持つ極上品。越後の美酒ならぬ、ビールを飲みながら素焼きした上に味噌を載せて食した。普段はあまり、なすを意識したことはないが、このくらい立派ななすになると、やはり敬意を払わなければならない。

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