三波石

三波石

人の道楽が行き着くところは「石」だということを聞いたことがある。人は人間を愛するとともに動物も愛するが、同時に花鳥風月を愛でるようにもなる。そして花鳥風月の次に心を寄せるようになるのが「石」らしい。それも山中や河川などから見つけ出される自然石だ。数千年、数万年にも及ぶ自然の営みの中から生まれた自然石は同じものが2つとしてないという希少性が人の心を捉えて離さないようだ。

全国各地に景勝の地が数々あるのは自然が作り出した景観の美だ。その景観を織りなす要素の1つが川の流れであり、巨石・奇岩の転石が作りだす造形的な美と色調の美であり、さらには渓谷・峡谷に色彩を添える緑や紅葉だ。

城峯公園から眺めた下久保ダム(提体は右側)

城峯公園で冬桜と紅葉を愛でた後、山を降りる途中にたまたま立ち寄った下久保ダム管理事務所(水資源機構)の資料館で、すぐ近くに渓谷美が眺められる「三波石峡」(さんばせききょう、群馬県藤岡市譲原)があることを知った。行ってみると、ダム堤体の真下に川が流れ、それが渓谷を作っていた。城峯公園からダムを眺めたが、まさかダムの下にこんな渓谷があるとは思わなかった。

業平橋から下流を眺める

 

奇岩を作り出す急流

 

三波石峡は、緑色した三波川変成岩(緑色片岩)と呼ばれる巨石・奇岩の転石が造形している自然美だ。ここから採石された三波石(さんばせき)は江戸時代の初期から非常に高価な庭石として珍重された。三波石は三重県の夫婦岩や徳島県の大歩危・小歩危(おおぼけ・こぼけ)でも見られるものの、名前の起こりはここだという。「三波石峡48石」は天然記念物だ。

黒石

 

テーブル石

 

赤い石

さすが天然石で名を売った土地だ。至るところに天然石の卸・小売をしている石屋さんが店を構えていた。たまたまじっくり石を眺めたのが鬼石自然石センター(藤岡市譲原)。売り物の石が所狭しと置かれ、眺めていると、店の若旦那が姿を見せ、説明してくれた。極めつけが下の「踊り子石」。裏の自宅の庭に安置されていたが、確かに踊りっこのシルエットが浮かび上がっている。週刊誌情報によると、「7億円」の値段が付いたという。確かに天然石は眺めていてあきない。

踊り子石

 

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冬桜@城峯公園