八王子霊園で「墓地」を考える

芝生に咲いたタンポポ

芝生に咲いたタンポポ

 

広大な墓地公園だ

広大な墓地公園だ

 

誘われて都立八王子霊園(東京都八王子市元八王子町)に墓参した。お彼岸直後だったので、たくさんのお墓に花が手向けられていた。風雨にさらされているのに、どの墓石もきれいだ。

とにかく、ずいぶん広い。64ヘクタールもある。一体いくつの墓標があるのか見当もつかない。都立霊園は全部で8カ所。その中でも最も新しい。新しいと言っても昭和46年(1971)開設だ。

どの都立霊園も満杯状態だという。区画の募集があっても、利用されなくなって返還された墓地を再募集する程度で、新たな墓地を造成しようにも土地がないという悩みを都は抱えているようだ。

その問題解決の切り札となるかもしれないのが、「樹林墓地」。その存在は一緒に墓参した義兄から初めて聞いた。都立小平霊園(東村山市)に昨年、都立霊園としては初めて誕生したという。約30m四方(834㎡)のスペースに芝生が敷き詰められ、芝生にコブシやナツツバキなどの樹木(シンボルツリー)が10本ほど植えられている。

敷地の地下には遺骨を埋葬するために「共同埋葬施設」(直径1m50cm、深さ2m)が27カ所に設けられ、骨が埋葬できるようになっている。

樹林墓地の使用料は13万4000円(遺骨1体)。自分で遺骨を粉末状にすれば、4万4000円で済む。都内でお墓を建立するには土地代(永代使用料)と墓石工事費を合わせて100万円以上かかるので、とにかく割安だ。

安価な理由は合祀(合葬)であるためでもある。個別に埋葬するのではなく、霊園側に任せて一括して行うためだ。個別葬の場合、瓶に入れて埋葬するが、合祀では他人の骨と一緒に埋葬するので、他人の骨と混じり合う。

しかし、それを気にしない人や墓を守ってくれる人がいない人の場合はこの樹林墓地のほうがふさわしい。守る人がいなくても、他の誰かが守ってくれる。費用は安くても合祀には抵抗があるという人向けには、2014年に「樹木墓地」が募集開始されるという。

現時点での公営の樹木葬は、横浜市と東京都の2カ所だけ。しかし、ニーズから考えれば、今後、こうした墓地が全国的に増えていく可能性は十分ありそうだ。

「樹林墓地」という呼び方は今一しっくりとこないが、「樹木葬」と言われれば、少しは分かる。お墓には墓石が付きものだが、墓石の代わりに樹木を墓標代わりにする埋葬形式だ。考えれば、墓標が墓石でなければならない理由はない。樹木であっても構わないからだ。

 

 

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