「私はビジネスで生きていく」

会見する新浪剛史氏

会見する新浪剛史氏

 

テーマ:「成長戦略には何が必要か~現場からの視点⑦」
会見者:新浪剛史(にいなみ・たけし)ローソン取締役会長
2013年7月9日@日本記者クラブ

 

■日本企業は6重苦(エネルギー、環境、法人税、円高、雇用、経済連携)に苦しめられてきた。産業競争力を失った。しかし、安定政権下のアベノミクスでデフレから脱し、インフレに向かおうとしている。

■15年間のデフレ時代は何もしないほうが得だという精神が染みついた。日本だけが競争する体制が遅れてしまった。これをグローバルイコールフッティングに戻すことが重要だ。インフレになったことによって、マネーも使ったほうが良いと意識が変わってきた。世界で強い企業になることが重要だ。

■新規参入する企業も少ないが、出て行く企業も少ない。経済のダイナミズムにとってよろしくない。ベンチャーの創出が必要だ。本来は民がやるべきだが、官がエンジンを掛けている。

 

熱がこもると声が大きくなり、手振りも

熱がこもると声が大きくなり、手振りも

 

■農業を成長分野にしたい。地方経済の発展のためには農業が重要だ。現状は分散圃場で生産性が低い。作ることだけを考えるプロダクトアウトから客を見たマーケットインの発想で生産性を上げる。

■農地法は小作を増やしたが、規模の経済は考えなかった。結果は分散圃場による低い生産性だ。1農家の規模を拡大しなければならない。担い手は全体が66歳、コメ農家だけだと70歳。

■新しい担い手として企業の参入が必要だ。現在の農家と連携して付加価値の高い農業を手掛けていく。企業の参入を除外している要因を無くしていく。創意工夫を妨げる要因を排除していく。

■日本の加工食品の輸出は世界基準では「安全」とはなっていない。証明されていない。世界で認めてもらう必要があるが、制度がない。輸出する体制を全く考えてこなかった。そういう仕組みづくりを本格的に取り組む。横の改革が必要だ。日本は手を打つのが遅れて、基準を欧州に握られた。

■イタリアの農業輸出額は4兆円。日本は5000億円。イタリアはパスタという食文化を世界に広めた。日本の食をもっと世界に広めていく。日本食レストランは世界に5万5000軒あると言われるが、うち70%は韓国人の経営。農業が海外に出て行けるようにしたい。

■農地は法律的には企業も借りられるが、実態的には借りられない。借りられるのに、借りられないのは大きな問題だ。農家の中で貸し借りが行われ、外から参入する企業は排除される。今回、農地中間管理機構ができたので、農地委員会の介入を経ずに農地の売買を行えるようになった。

■農地は実態としてリースより3~4倍高い。採算上はまだまだリースで十分だ。農地を売らない農家も多い。5年後をめどに考えている。所有制限を解除し、利用制限を付ける。農地法を改正しなければならない時期が来る。どうでも農地が欲しいということではなく、まずはリースでやりたい。

■ビジネスをつなげる人材が地方にはいない。ビジネスをやったことのある人やエンジニアがいない。地域経済の発展にこれらの人材を活用していく。

■日本企業は口では「多様性」と言いながら、外の血を入れて組織がカオスになったり、テンヤワンヤとなることを回避している。あまりにピュア ブラッドだ。しかし、守れば守るほど、コンサーバティブになっていく。

■政治とビジネスの間には認識ギャップがある。リアルビジネス出身者にとっては政治はつまらない。ギャップを埋める努力が必要だ。私はビジネスで生きていく。

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