「健康をつくる」タニタの取り組み

若い人からは「タニタはメーカーなんですが」と話す谷田社長

「タニタはメーカーなんです」と話す谷田社長

 

テーマ:成長戦略には何が必要か-現場からの視点-
会見者:タニタ社長 谷田千里(たにだ・せんり)氏
2014年9月3日@日本記者クラブ

 

元々はシガレットケースや貴金属宝飾品の製造・販売を手掛けていた1923年創業の金属加工メーカーだったが、1959年に日本で初めて家庭用体重計を製造・販売。健康計測機器メーカーに変貌した。今ではどこの家庭にも1台はある「ヘルスメーター」だ。

1992年に世界で初めて乗るだけで体脂肪率が測れる体脂肪計を発売。94年には「家庭用体脂肪計付ヘルスメーター」を出し、それまでのOEM(相手先ブランド)メーカーから脱却し、自社ブランドを確立した。

しかし、最近のタニタはむしろ、若者の間では「社員食堂のタニタ」としてのほうが有名だ。『体脂肪計タニタの社員食堂』がベストセラーになり、映画化までされ、さらには外食チェーンと組んで東京・丸の内に「丸の内タニタ食堂」までオープン。社食ブームを巻き起こしたからだ。

今やタニタは「健康」をキーワードに全面的に事業展開中。「健康をはかる」から「健康をつくる」へをミッションに、「日本を健康にする」取り組みを行っている。「日本が健康になれば、税金の削減につながり、それがタニタの成長に貢献する」という理屈だ。シンプルである。

健康を願わない人はいない。誰もの願いだ。谷田社長によると、日本人の平均寿命は男79.55歳、女86.30歳(2010年、簡易生命表、2013年には男80.21歳、女86.61歳になった)。健康寿命を差し引くと、病気/寝たきりの期間が出る。

男 9.13年
女 12.68年

男女とも10年近く、病気を煩ったり、寝たきりになったりする時間を過ごさなければならない。この時間をいかに少なくするか。それがタニタの仕事だというわけだ。

これからタニタとして注力していく事業としては、①タニタ食堂を中心とした「食」のソリューションの提供②他企業とのコラボレーションを通じたタニタ・メソッドの波及③タニタ健康プログラムの推進-の3つを挙げた。

タニタが誇るのは幅広い年代、性別から、多くの計測データを集め、このデータを基に開発したアルゴリズム。これを体組成計に組み込み、体脂肪率、筋肉量を測定しながら、健康を診断していく。世界でも最も先進的なアルゴリズムだ。大きな武器である。

1972年生まれの42歳。前会長・谷田大輔氏の次男。佐賀大学理工学部卒業後、アミューズメント施設企画・運営会社ニュートンに入社。船井総合研究所を経て、2001年入社。大阪の千里山に生まれたので千里と命名されたとか。調理師と栄養士の資格を持つ「主婦感覚」のある経営者。

会見を聞いて、健康志向の強い、健全な経営者だと思った。ただ、あんまり健康すぎて、面白みに欠けると感じたのも事実。健康に勝るものはない、とは思うものの、「脳は不健康を欲望する」のも半面真理。タニタのおかげで日本人全員が健康になれば、どんなすばらしい国になることか。しかし、そんな国に果たして住みたいと思うのだろうか。不健康な人間の不適切な発言かもしれない。

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