第17回国際バラとガーデニングショウ
入り口を入ってすぐ右手のローズアベニューで出迎えてくれる真紅の大輪のバラ。「乾杯(keisei)真紅」と紹介されていた。調べると、京成バラ園芸が1983年に作出したハイブリッドティーローズ(大輪種の呼称)で、ローマ大賞金賞受賞(1983)の花。
作出者は「ミスターローズ」と呼ばれた、現代日本の代表的育種家の鈴木省三氏(1913~2000)。どの世界にも先覚者が存在する。
絞りのバラとは、花びらに縦方向に異なる色が入ったバラのこと。「ベル・デスピヌーズ」はワインレッド色に白斑の入るロゼット咲き。華やかな中輪花が3~4種固まって咲く。仏ギヨー社作出。
7つのアンデルセンの童話を題材にガーデンデザイナー、吉谷桂子氏が作った庭。それぞれの物語の象徴的なモチーフが植物のトピアリーや吉谷作の人形で登場する。
1本の幹(主茎)を垂直に高く伸ばし、その上部に多くの開花枝を球状に作る仕立て方を「ウィーピングスタンダード」と呼ぶらしい。どこの世界にも「業界用語」があるようだ。
個人的に興味深かったのはバラの盆栽だ。それも池波正太郎の時代小説をモチーフにした盆栽は楽しめた。盆栽コーナーの一角は「跡見昭さんが築いたジャポニズム」とのタイトルが付いていた。
跡見昭氏はバラ盆栽、盆景の第一人者。日本伝統の盆栽をミニバラで表現するところが面白い。今や世界的にも有名な存在だという。
国内最大級のバラとガーデニングの祭典だ。17回目のメインテーマは「デリシャスガーデン」。外は強い日差しが指していたが、会場の西武プリンスドーム(埼玉県所沢市上山口)は気持ちよい風が吹き渡っていた。