「注射はイヤだ」

 

診察室の中から悲痛な声が聞こえてきた

診察室の中から悲痛な叫びが…

 

家人の付き添いで、内科の診察室の前で診察を待っていた。どういうわけか、前の患者の診察が延々と1時間も続き、「やっと次かな」と思ったら、別の患者が呼ばれた。その人の診察がまたも30分近く続く。

病院で待つのは定めだが、体調が良くなくて待ち続けるのは辛いものだ。診察が長引くというのは、それなりの理由がある。それだけ重症で、診察項目も多く、医者のほうも慎重にならざるを得ない。

診察予約は10時だった。その1時間前に血液検査をした。自宅を8時半すぎに出て、9時には検査を終え、診察室の前のソファに座っていた。実際に診察室に呼ばれたのは11時3分。合計3時間待った。診察時間は12分間。

どこの病院でも状況はそんなに違わない。その日の状況にもよるが、病院とは待つところだ。ただ、体調が良くて待つのと、悪くて待つのとでは本人の気分は全く違う。悪いときに長時間待たされると苦しい。

辛抱の気持ちが切れそうになったそのときに、内科の隣の小児科の診察室から大きな叫び声が聞こえてきた。「イヤだイヤだ注射はイヤだ」「痛いのはイヤだ」。女の子の声だった。10分近くも医師や看護師と子どもの”格闘”が続いた。

そして「もう終わったよ」と言う声がしてからも、「イヤだイヤだ」の叫び声がしばらく終わらなかった。注射が好きな子どもはいない。最初にトラウマができて、それが恐怖心として残り、叫びを発する心理に追い込まれているのだろう。

そう言えば、子どものころ、扁桃腺の治療で、痛みに耐えかねて、診察台の上で暴れ、先生の白衣が真っ赤に染まったことを今も鮮明に覚えている。当時、扁桃腺を切る際には麻酔はなかった。痛かった。

しばらくして診察室から4歳くらいの女の子が出てきた。お母さんと弟が一緒だった。お疲れ様でした。

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