記録的な不漁の中、「生サンマ」にはご注意!

 

ロースターに入れて焼く寸前のサンマ

 

今夜の夕食はいただき物のサンマだった。石巻港で水揚げされた生サンマで、姿・形も大ぶりでなかなかの器量よしだ。

季節は秋。栄養バランスが良く、生活習慣病予防に役立つEPAやDHAが多く含まれ、タンパク質やビタミン類、カルシウム、鉄分も多量だ。焼いて良し、煮ても良し、刺身にしても良し、さらに価格も安い!?

しかし、今年はまずスーパーに並ばないし、並んでいても小型だ。それに安いどころか、高い。びっくりするほど高いのだ。8月が解禁のサンマ漁が記録的な大不漁に陥っている。価格も高騰しており、外食店舗も確保するのに苦労しているようだ。

水産庁では、日本近海の海水温が上昇し、温かい水を嫌うサンマが近づかない上、中国や台湾などの漁獲量が増えたことが原因とみている。

第24回「目黒のさんま祭り」が9月8日に開催されたが、毎年振る舞われる岩手県宮古市からの新鮮なマグロ7000匹の数を確保することができず冷凍物で対応せざるを得なかったという。冷凍サンマを使ったのはサンマの提供を始めた1999年以降で初めてだという。

 

焼き上がりました

 

日経新聞(10月8日付朝刊)によると、「北海道から三陸まで漁の最盛期を迎えているが、全国の水揚げ量は前年同期比で8割減。市場の卸値は2倍以上で高級魚とされるマダイを上回った」という。岩手県の宮古市魚市場では10月2日、今秋初のサンマが水揚げられた。初水揚げが10月にずれ込むのは過去に例がないという。

全国さんま棒受網業業協同組合(全さんま)によれば、日本のサンマの水揚げ量は2008年には34万トンあったが、17年は7万7169トンにまで落ち込んだ。

18年は前年比55%増の11万9930トンに持ち直したものの、漁業情報サービスセンターによると、8月から本格的に始まった今シーズンの水揚げ量は9月末までに4594トンと前年同期比1割ほどにとどまり、半世紀ぶりの不漁だった。

同センターは「今月に入って水揚げが増え始めているが、シーズンを通しては記録的な不漁となった17年の漁獲量を下回る可能性もある」とみている。

サンマの不漁は外食産業にも影響が出ているようだ。定食チェーンの大戸屋では好評だった「生サンマの炭火焼き定食」が現在「販売終了」に追い込まれている一方、牛丼チェーンの吉野家の「さんま炭火焼き牛定食」(690円)もかっぱ寿司の「北海道産生さんま」も健在だ。

この「生さんま」ってなんだ。「昨年のサンマでも生」を名乗れるのだ。食品表示基準が適用されるのは小売店で、外食業界はこの適用外となっているからだ。このため昨年水揚げされ、冷凍されていた物でも、加熱処理や塩漬けをしていなければ「生サンマ」で売ることは可能だ。

サンマ不漁の中で、お手頃値段でサンマを提供できている外食業者は、昨年もしくはそれ以前に水揚げされ、冷凍庫で眠っていたサンマを使っているケースがほとんどだという。

「新サンマ」のほうが今年水揚げされたばかりの旬のサンマを連想させるが、消費者庁は「新」という言葉に深い意味はないと言っているようだ。

外食産業というのは客に何を食べさせているのか。こんなことを考えていると食べるものがなくなってしまった。恐ろしい時代を生きていることだけは確かなようである。

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