「新型ウイルスとの闘いは短距離走ではなく、1年は続く可能性のある長期戦に」と山中伸弥京大教授

 

山中教授のメッセージ(NHK)

■新型コロナとの闘いは長期戦の覚悟で

 

新型コロナウイルスの感染が日々拡大している中で、NHKニュースウォッチ9は3月27日、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長とのインタビューを放送した。その中で山中教授はウイルスとの闘いについて、「短距離走ではなく、1年は続く可能性のある長いマラソンだ」との認識を示した。

「新型コロナウイルスはすぐにそこにいるかもしれないと自覚することが大切だ。桜は来年も必ず帰ってくるが、人の命が奪われたら、二度と帰ってこない」と強調した。

新型コロナウイルスとの闘いについて山中教授は「この闘いが1週間我慢したら終わるのか、それとも1カ月あるいは1年かかるのかで対策も全然変わる。甘く見ていてひどいことなってしまうと取り返しがつかないことになる」とした上で、「いろんな情報を(集めて)判断すると、やっぱりかなりの確率で”長期戦”になると思っておいたほうがいい」と述べた。

この長期戦説は私の仮説で、真実かどうかは歴史が証明するとし、「1年くらいかかったとしても”想定外”だったとは言えない」と語った。

同教授は、「人類はウイルスに試されている」と述べ、「うまく対処すれば、やっつけることはできないにしても、対処できる。1年後2年後には季節性インフルエンザと同じくらいに付き合える」と語った。

 

■ウイルスをゆっくりと受け入れるしかない

 

山中教授は13日から「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」を始めた。新型コロナウイルスについて最新の研究成果をまとめ、ウェブサイトでほぼ毎日更新している。

「自分にできることは、医学研究者として情報をできるだけ正確に発信すること」とし、同ウイルスに対する危機意識などを明確化し、情報発信に努めている。

「ウイルスとの闘いは、有効なワクチンや治療薬が開発させるまで手を抜くことなく続ける必要がある。1年以上かかるかもしれない。マラソンと同じで、飛ばし過ぎると途中で失速する。ゆっくり過ぎると勝負にならず、ウイルスに負けてしまう。新型コロナウイルスを制圧することはもはや困難だ。受け入れるしかないと思う。社会崩壊も、医療崩壊も起こらない形で、ゆっくりと受け入れる必要がある」と書いている。

人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発で2012年にノーベル医学生理学賞を受賞。現在は京都大学iPS細胞研究所所長。

 

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