スマート農業は研究・開発から普及段階へ=500社が出展した「第10回農業Week」総合展

 

徹底したコロナ対策を施した第10回農業Week

■感染対策を徹底し農業Week開幕

 

日本最大の農業・畜産の総合展「第10回農業Week」が10月14日~16日の予定で千葉県・幕張メッセで開かれている。主催はリードエグジビションジャパン(株)。

施設園芸や農業機械、肥料・土壌改良材などの農業資材、植物工場やITソリューション、ドローンなどの次世代農業、食品加工機器などの6次産業化、給餌器・給水器などの畜産資材の総合展だ。

出展者側もフェイスシールドやマスクをするなど徹底したコロナ対策を施した上で開会にこぎ着けた。来場者も全員がマスク着用を徹底しているほか、全参加者にサーモグラフィによる体温測定を実施。全ての出入り口に消毒薬を設置したほか、扉の開放、空調設備による常時換気、セミナー会場での座席間隔の確保などきめ細かな対策が施されていた。

セミナー参加者の連絡先がしっかり取れるように「セミナー受講券」を発行し、会場入り口でQRコードを読み取る方式が導入された。空席があるから予約なしで自由に入ることができた昔のセミナーが懐かしく、窮屈な思いもしたが、コロナ対策とあれば仕方があるまい。

 

■スマート農業は普及段階へ

 

農業就業人口の減少は深刻な問題となっている。1995年から2015年にかけて414万人から210万人とほぼ半減。さらに2019年には168万人にまで落ち込んでいるのが実態だ。

農業就業者の平均年齢は67歳と高齢化も深刻な問題となっている。このような状況の中、限られた労働力でより多くの収穫を得るべく農業の「スマート化」が求められている。

日本総合研究所創発戦略センターのエクスパートである三輪泰史氏は15日、「農業のIoT化が切り開く新たなビジネスチャンス」と題した特別講演の中で、「スマート農業は(研究開発フェーズから)普及フェーズの第2世代に入りつつある」との認識を示した。

スマート農業はまずLotやAI、ロボットなどを活用した「効率化」や「自動化」が先行したが、農業法人化や企業の農業参入が活発化し、「儲かる農業」の成功事例が生まれてくるなど実用化の段階に入ってきているとしている。

・農業は10年ほど前までは右肩下がりだったが、ここへきて、「レ」にならないようではあるものの、やや右肩上がりの様相も見え始めている。これまでは「農業で儲けよう」と言えば、嘘つき呼ばわりされたが、いまは「どこにチャンスがあるのか」と一歩踏み込んで聞いてもらえるようになっている。

・V字回復の兆しがあるものの、足元を見つめると人手不足など厳しい現実がある。このギャップをどう切り崩していくかが業界が直面している課題だ。

・生産性が上がらなければ、農地がいくら増えてもどうしようもない。これを突破するのがスマート農業だ。IotやAI、ビッグデータなどを使って効率的な農業を行う。売り方自体も変わってきており、消費者とつながっている。スマート農業は3つ。

・匠の眼。今自分の眼で見ることができるリモートの農場はミャンマーの農場だ。ドローン。

・匠の手。自動給排水バルブ、畜産・酪農用ロボット。

・匠の頭脳。自動多能型ロボット。

・ドローンの良さは農作物の現状を簡単に見える化できる。ヒートマップ。熟読エリアや終了エリア、クリック位置などユーザー行動を可視化することができる。

・ドローンを一家で1台となると使い切れない。無駄だ。複数で所有する「シェアリング」が支配的となる。データの取り扱い会社も生まれてくる。

・農業支援ツールも大手だけで富士通の秋彩(あきさい)など40個くらいある。これまでは手書きだったのがデジタル化によって管理が可能になる。

・スマート農業で何を一番先にやるか。営農支援のアプリでデジタルデータを取る。これをやったのち、経営管理を行う。

・WAGRIとは、農業データプラットフォームが様々なデータやサービスを連関させる「輪」となり、様々なコミュニケーションのさらなる調和を促す「和」となることで、農業分野にイノベーションを引き起こすことへの期待から生まれた造語だ。WA+AGRI。

 

住むように快適な「イージードームハウス」

 

■D90分でDIY組み立てられる「イージードームハウス」

 

展示場内をぶらぶら歩いていたら組み立てが簡単・便利なプレハブ工法による「イージードームハウス」なるものが展示してあった。従来の固定型住宅や施設様式の概念とは異なる新しい居住空間スタイルだという。

アウトドアでユーザーニーズに合わせて活用できる多目的ハウスとして自動車販売のホワイトハウス(愛知県名古屋市)が2019年に発売したものだが、新型コロナウイルスの感染症対策として、150の医療機関に「コロナの臨時診察室」として販売実績を持っているという。

中に入ってみると結構広く、①雪が積もりにくい壁面パネル素材とドーム型形状②倒壊しにくいドーム型③風の抵抗を受けにくいドーム型形状④壁と天井の区別がないドームハウス内では不思議と暖かさと安らぎを感じるーなどの特徴を持っている。

約90分ほどでスピィーディーな組み立て設置が可能。最大外径3360mm×全高2550mm。重さ約300kg、壁面および床面は高密度ポリエチレン、採光用ルーフはポリカーボネート。約4畳半。

本体販売価格(標準仕様、消費税別)は2020年7月現在で79万円(配送料別)。

 

薪火オーブン

 

■薪火オーブン「プレミア」

 

英ノーフォークに本社を置く「Xclusive Decor」社の製品を輸入代理店の岡田植物園(岡山市東区)が展示していた。Xclusive Decorは3世代前からファミリー経営をしている会社で、ポルトガルに工場を持っている。

伝統的な手作り薪窯オーブンや石造りのバーベキュー、屋外キッチン、アンティーク陶器などを提供している。

たくさんの商品が展示されていたが、これは薪火オーブン。「Premier」(プレミア)は伝統的なハンドメイドオーブン。アイアン製のドアは上下2分割で開閉。断熱材は5層仕様。

抜群の保温性能を持っており、すぐ高温になり、長時間熱をキープする。

 

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