持続可能な開発と気候変動対策=沖大幹国連大学上級副学長

登壇した沖大幹氏

 

ゲスト:沖大幹(おき・たいかん、国連大学副学長/国連事務次長補/東京大学生産技術研究所教授)
テーマ:環境問題
2020年11月17日@日本記者クラブ

 

沖大幹・国連大学上級副学長は、「気候変動に関する政府間パネル(IPPC)」報告書統括執筆責任者などの経歴を持つ環境問題の専門家。日本の温暖化対策への国際的評価や、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標の見通しなどについて聞いた。

・2016年10月から主として国連大学上級副学長を担っている。クロスアポイントメントで東大生産技術研教授もしている。専門は水文学(すいもんがく)。天文学が天に関する森羅万象を扱うのに対し、水を扱う。戦前から教科書に出てくる学問だ。

・IPCCには2003年頃からずっと携わっている。14年に出た第5次報告書では総括執筆責任者を務めた。20年10月からローマクラブの正会員になった。

・国際連合大学(UNU)は国連のゴローバルなシンクタンクとして1975年に創設。45周年を迎える。学生は全世界12カ国に356名(博士96名)のみ。緊急のグローバル課題に対して報告をして事務総長に提言する。

・日本に本部がある唯一の国連機関。日本社会と国連をつなぐ橋渡しの役割も担う。

・日本の大企業と一緒に「SDG企業戦略フォーラム」を作って議論を始めている。アジェンダ2030を理解し、自社の貢献に直結したターゲット、指標をつくることのほか、SDGSには入っていないが重要な課題もあることを認識すべきと考えた。

・COVID-19を受け経済の大幅な停滞でアジェンダ2030の達成は瀬戸際に追い込まれている。COVID-19により世界人口の8%に相当する5億人が貧困に陥り、1990年以来初めて、30年ぶりに貧困が世界規模で増大する恐れが生じている(国連大学世界開発経済研究所発表)

・経済と余命低下で世界の「人間開発指数」が1990年以来初めて低下をする見通し。

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