「豊島園庭の湯」で海の幸「チリメン」再発見=山の恵みと出会って生まれた「チリメン山椒」

 

屋内フィンランドサウナでアウフグース実施中(バーデプール活用ガイドから)

 

■屋外ではジャグジーにつかりながら庭の桜を愛でる

 

練馬区のいきいき健康券平日1回無料券を使って「豊島園庭の湯」に行った。令和2年度事業なので3月31日までにいかないと無効になる。昨年度は新型コロナウイルスの感染が拡大し始めたところなので出そびれ1回分を無駄にした。

豊島園(東京都練馬区向山3)は西武グループ傘下企業が運営していた遊園地だが、2020年8月31日をもって閉園。跡地は東京都が買収し、防災型の都立公園にする見通しだが、併設の庭の湯は2021年3月時点でも開いている。

庭の湯はバーデプール(バーデ(温浴)+プール)と天然温泉が売り物で小学生以下お断り。水着着用の屋内バーデプールでは歩行浴や水によるボディマッサージを楽しめるほか、アクアプログラムも1日4~5回実施している。

屋外フィンランドサウナではドイツのバーデ施設で1日5回行われているサウナプログラム「アウフグース」が人気だが、コロナ禍とあって熱せられたサウナストーンにアロマ水をかけて発生させた蒸気をスタッフがタオルで送る「アウフグース」は当面中止中。代わりにアロマ水をサウナストーンにかけ熱気を発生させる「アロマサービス」を行っている。

ほど良い熱風で高い発汗を促す1分程度のプログラムだが、スタッフが熱心に仰ぐ姿はなかなか結構だ。屋外には天然温泉ジャグシーもある。力強い気泡が全身を激しく刺激し、温泉効果もアップ。やや高めの温度設定で、発汗作用と代謝の向上を促している。

もう1つあるのは軟水ジャグジー。柔らかな肌触りの軟水を用いたジャグジーだが、ぬるめの保温効果が高く、体が心地よく温まる。2つのジャグジーを合わせて利用することによって高いリラクゼーション効果を得られるというわけだ。

屋外は開放的な日本庭園。スリッパを履いて散策が可能で、1本ある河津桜が満開だった。またトサミズキが5本ほど黄色い花を咲かせている。こんな風景を眺めながらジャグジーに入っていると、コロナによる憂鬱な気分も吹き飛ぶようだ。

 

天草産チリメン

 

 

■お土産処で「チリメン」を発見!

 

体を動かすとやはりお腹も空く。空腹感、喉の渇きは2階の「お食事処 緑水亭」でいただいた。かつては畳の上に座る座敷方式だったが、いつの間にか高座椅子に変わっていた。膝や腰に負担がかかりにくく、立ち座りも楽。各テーブルにもセルフオーダー端末が導入されていた。

何でもかんでも客の手足を使おうというわけである。回転寿司店も同じである。注文はすべて客任せで店員はタッチしない。客が注文しなければならない。言ってみれば、機械(ロボット)に人間が合わせることになる。機械が人間に合わせるのではない。これも時代の流れだろうか。

緑水亭の手前にお土産物が売られている。なかなか面白いものが多いが、冷凍庫の中に見つけたのが熊本県産チリメン(ちりめん)。天草産である。130gとかなりぎっしり詰まっている。これが800円くらい。これでも他の製品に比べると安い。

何年か前に同じチリメンを見つけたことがある。そのときは同量で確か500円だった。300円も値上がりしていた。2~3年前だろう。食料品を中心にほとんどの製品が値上がりしている。日本経済はインフレに向け一直線のような気がしてならない。

ところでチリメン(ジャコ)とは何んぞや。「チリメンとはカタクチイワシを中心に、ウルメイワシやマイワシなどイワシ類の稚魚のことを言う。塩を加えて釜でゆで、天日に干してしっかり乾燥させたものがチリメン」(macaroni)だとか。

よく似た食材に「シラス」があるが、違いは乾燥の度合い。原料となる魚も同じで、釜で炊くのも同じ。釜でゆでると「釜揚げシラス」となり、釜揚げの後、少し乾燥させると「シラス」になる。

チリメンの大きさもさまざまで、一般的には2cmから3cm。1.5cmほどの小さなものもある。好き好きだが、小さなチリメンでしっかり乾燥させたものが望ましい。

 

高島屋新宿店B1「味百選」売り場で買ったはれまのチリメン山椒(2020年1月22日)

 

■海の幸と山の恵みのおいしい出会い「チリメン山椒」

 

チリメン(ちりめん)と聞いて思い出したのが「ちりめん山椒」。このブログでも何度も書いているが、最近では2020年1月22日に「実山椒の香りがたまらないお茶漬けの素『ちりめん(チリメン)山椒』」、それより先の2005年1月30日にも書いている。

京都には「はれま」のほか、「やよい」などもチリメン山椒で名高い店がいくつかある。中でも最初に考案したのははれまの晴間保雄氏のようである。はれまのHPに「はれまのはじまり」として書かれている。

「ちょっと昔。今からだいたい、50年くらい昔。京の家庭で普段から親しまれていた、チリメンじゃこと実山椒を、宮川町の料理人・晴間保雄がいっしょに炊いてみたのがはじまりでした。料理人に勘が引き合わせた、海の幸と山の恵みのおいしい出会いでした」とある。

いずれにしても最初から「商品」として生まれたものではない。初代が台所で作り、親しいひとに配っていたものだった。チリメン山椒は京都市の名物ではあるものの、近年は全国各地で生産されている。その味わいも多くの製造元によって異なる。

「しののめ」「はれま」「やよい」が「チリメン山椒の御三家」と言われているようだ。

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