【ドライブ】軽井沢別荘族の「食」を支えるローカルスーパー「ツルヤ」=格別においしい「霧下野菜」

 

庭でお茶を楽しむ

 

■軽井沢の夏場は意外と夕立が多い

 

軽井沢(長野県北佐久郡軽井沢町)に行った。友人が昨年、別荘を建てて週末そこに住んでいる。1年経ってうちにも「おいで」と声が掛かった。軽井沢である。別荘である。ちょうど東京などに発令されていた緊急事態宣言も解除された。喜んで招待に応じた。

東京を出発したのは19日。梅雨に入って雨が降っていた。夏の軽井沢は清涼、冷涼な高原のイメージを抱くものだが、意外と夕立が多いという。案の上、軽井沢も雨だった。

今は梅雨で、軽井沢も梅雨の最中だった。特に初夏は突然夕立がやってくる。これは長野県と群馬県の県境が山稜など変化に富んでいるためで、部分的に降りしきるらしい。

梅雨である以上、雨は覚悟していった。1日くらい晴れれば御の字だ。軽井沢の平均標高は1000mのため、気象の変化が激しい。2泊3日お世話になった。つい欲張って全部を見たがるが、やはり無理だった。

 

霧下野菜のレタス

 

 

■おかげで野菜は特別においしい

 

2016年4月にオープンした軽井沢町の農産物直売施設「軽井沢発地市庭(かるいざわ・ほっち・いちば)」(他にキッチンなど他店舗も)で見掛けた「軽井沢霧下野菜」(かるいざわ・きりした・やさい)。登録商標である。

軽井沢の野菜はとにかく特別においしいと言われるが、その背景にあるのが「霧下気候」といわれる気候だそうだ。霧下気候とは湿度が高く、しばしば霧が発生する気候を意味しているという。

夏は気候が良くなる時期だが、高原の軽井沢では朝から霧が発生し、その湿度のお陰で葉の表面が乾燥することなく育ち、それが柔らかさと甘さにつながることが多いという。

 

こちらはキャベツ

 

とにかく大きくてびっくりした。このキャベツは東京のスーパーで売られている2倍ほどの大きさだった。レタス、トウモロコシ、ホウレン草、野沢菜なども霧下野菜と言われているという。農業にはその土地や地質、気候が大きく関わっていることを知った。

 

ご存じパエリャ

 

■格別なオリジナルパエリア

 

夕食に特製パエリアをいただいた。鉄板の上に魚介類を入れ炒めたあと、今度は生のコメを注ぎ、ぐつぐつと炒める。それがいつの間にか柔らかくなるのだ。実にうまかった。

口下手なのでうまく礼を言えないのがつらい。口が駄目なら顔で頑張るしかない。一生懸命顔をほころばせた。ご主人が選んだワインもうまかった。申し分なしである。こんなわれわれを歓待してくれた友人夫婦に感謝したい。

パエリアと言えば、昔現役の頃に行ったことのある月島スペインクラブ(東京都中央区月島1)を思い出した。倉庫の1階、2階を豪華スペインレストランにしている店だ。

豪華なレストランも良いが、軽井沢の静かな世界でいただくパエリアは格別である。

 

これが「サラトリオ」

 

■3種の食感を楽しめる新種レタス「サラトリオ」

 

女性陣がサラダに使ったのは3種類のレタスが1株で育てられ、それぞれの違う食感が楽しめる新種レタス「サラトリオ」(生産者は株式会社SARA)。

いろいろ変わったものが次から次へと出てくる、と思ったが、この「サラトリオ」、いつもいくスーパーにも並んでいた。知らないのは自分ばかりで悔しい。

グリーンクリスピー(ボリュームあるシャキシャキとした食感)、グリーンオーク(鮮やかな緑、しっとりとなめらかな食感)、レッドオーク(サラダを彩る深い赤み、やわらかな食感)の3種類。土と根っこも一緒に付いていた。

SARA(サラ)はレタス、トマト、パプリカなどを栽培している会社で、岡山県笠岡市の「笠岡湾干拓地」にグリーンハウスを構えている。ちなみに笠岡干拓地は日本4大干拓地(八郎潟、中海、笠岡湾、有明海)の1つだという。

同社は2016年3月設立、自己資本10億5460万円、従業員は20年1月1日現在200名。これもあっという間に大きくなった。

 

 

 

■ツルヤのPBが強すぎる!

 

サラトリオを買ったのは売上高日本1で国内的にも有名になった「ツルヤ軽井沢店」(長野県北佐久郡軽井沢町長倉)。本店は長野県小諸市で、創業120余年。21年6月現在県内に36店舗を展開しているローカルスーパーだ。

このツルヤだが、長野県内に留めていた出店を県外にも解禁し初の県外店舗「前橋南店」(群馬県)を20年11月12日出した。今後群馬県内での多店舗化を進めることになりそうで、地元スーパーの「ベイシア」との対抗戦の動向が気に掛かるところだ。

ツルヤの特色は徹底的に標準化された売り場と、品質の高いオリジナル商品。ダイヤモンド・チェーンストア誌の「長野のローカルスーパー『ツルヤ』のPBが強すぎる!」によると、売り場面積は2000平方㍍前後、売り場レイアウトや商品政策は各店舗で共通したものとなっているという。

目を見張るのがプライベートブランド(PB)商品の開発だ。「長野県内の生産者やメーカーと共同開発した商品が多くを占め、化学調味料不使用、塩分の低減、有機素材の使用など、素材や製法もとことんこだわっているのもツルヤのPBの特徴である」らしい。

 

どんとアンズが並んでいた

 

■アンズを見つけてびっくらぽん!

 

このPBにも安いものがある。高いものもある。しかし、それらはすべて「美味しい」。とりわけ安くて美味しいものを見つけると、買い物客としては嬉しい。当然である。

キャベツは東京で買うものの半額だった。しかも新鮮である。東京の八百屋で例年求めるアンズ。毎年ジャムにしているが、今年も毎日店をのぞいているのにまだ出回らない。

そのアンズが目の前にずらっと並んでいた。びっくらぽんである。飛びつくしかない。肉なんかも安いという。名古屋在住の友人は「名古屋で食べるためにツルヤで買っている」と言う。

野菜はおろか、ワインやシャンパンなどもすごい。ネットサーフィンしていたら、「プリンセスハウス細見貴子の二拠点生活ワクワク日記」を見つけた。女史は「このラインナップを見たら、東京で購入する気にはなれません」と言っている。

 

圧巻の品揃えの「ジャム」

 

■軽井沢別荘族の「食」を支えるツルヤ

 

ワインやビールのほかにもPBはたくさん陳列されているが、圧巻なのはジャム。いちごやブルーベリーといった定番商品のほか、実にさまざまな商品がラインアップされている。

しかも新商品が出ていることも少なくないのだ。「PBそのものが来店動機を生み出している」わけだ。地元メーカーと手を組みつつ、素材や製法にこだわった質の高い商品をツルヤが作りだしている。

ナショナルブランド(NB)に比べて割高な商品も多い。ダイヤモンド・チェーンストア誌は「それでもツルヤのPBが支持されているのは、品質の高さや安全・安心を打ち出していることに加え、NBにはない切り口の商品コンセプトがあるからだ」と指摘する。

それが「買い物の楽しさ」を生み出し、「ツルヤに行きたい」という来店動機につながっていると言う。

成城石井や紀ノ国屋などの高級スーパーもPBを充実させており、買い物客の支持を得つつあると言えそうだ。それに比べ、行く回数が毎日から週1に代わったものの、定期的に行く西友やLIVIN、イオンなどのPBは何と貧弱なことか。

軽井沢別荘族を「食」の観点から支えているツルヤの底力を知った思いだ。

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