天皇杯受賞産地「富(とめ)の川越いも」使った小江戸川越のシルクスイート「干し芋」の値段にびっくらポン!

喜多院(2009年3月22日撮影)

 

■川越は「喜多院」(川越大師)で有名

 

埼玉県川越市は都心から30分。江戸の情緒を今に残し、明治・大正・昭和・平成の4つの時代を体験できる不思議な町だ。人口約35万人、広さ109平方キロだ。「小江戸」として売り出してから久しい。

「蔵造りの町並み」や「時の鐘」、「菓子屋横丁」といった観光スポットも多く、これらの通りを着物で歩くというスタイルがはやっているという。まるで浅草寺の仲見世みたいだ。

川越城を築城したのは太田道灌(おおた・どうかん)。築城家でもある武将で、また和歌の名手でもあるようだ。道灌の逸話には「山吹」が登場し、今や市の花になっている。

とりわけ有名なのは「喜多院」と呼ばれる天台宗の名刹。慈覚大師が天長7年(830)に創建した。正式には星野山無量寺喜多院と呼ぶ。一般的には「川越大師」で通っている。

喜多院が世に知られるようになったのは慶長4年(1599)に第27世住職を務めた天海僧正(慈眼大師)のとき。徳川家康の信認を得て、幕府から厚い庇護を受けた。天海僧正は慶長16年(1611)11月、家康が川越を訪れた時に親しく接見している。日本三大東照宮の1つである仙波東照宮もあるらしい。

寛永15年(1638)の川越大火で現存の山門を除きすべてを焼失したが、3代将軍・家光の命で江戸城紅葉山の別殿を移築して客殿、書院に当てた。豪華な壁画や墨絵で装飾された「家光誕生の間」や家光の乳母・春日の局が使用していた「春日局化粧の間」があるのはこのためだ。

川越には何度も行っているが、最近では2009年3月22日に再訪している。その時に撮った写真が上のものだ。

 

川越産ほしいも

 

■川越と言えば「いも」で有名

 

ところで川越と言ったら、芋である、イモである、いもである。イモの名産地なのだ。2009年のブログでは最もポピュラーなのが「芋納糖」(いもなっとう)と書いている。「納糖」を「なっとう」とは読めなかった。「芋納糖」とは輪切りにしたさつまいもを、ほど良い甘さの甘露煮にして、その表面に砂糖をまぶして、乾燥させたサツマイモ菓子だ。

どうやら川越にきたら、これを食べないわけにはいかない。「糖尿病患者ですので・・」なんてとても言える状況ではない。13年前はまだ糖尿病患者ではなかった。どういうわけか、13年たってみて、糖尿病患者になっていた。

それはさておき、川越は今やブランド芋のメッカになってしまった。埼玉県三芳町(みよしまち)川越いも振興会(29戸)が農水省などの実施している「第54回(平成27年度=2015年度)農林水産祭むらづくり部門」で「天皇杯」を受賞したからだ。

受賞理由は作っているさつまいもが美味だったためではない。上富地区で江戸時代から続く落ち葉堆肥を使った伝統農法が評価されたためだ。希少品種である「紅赤」やその他さまざまなさつまいもを栽培し、「富の川越いも」としてブランド化を図ってきた。伝統農法を守るだけでなく農家の庭先で直売したり、農業の6次産業化を推進していることも評価された。

「三芳町川越いも振興会」の活動する「上富(かみとめ)地区」は約320年前の江戸時代、時の川越藩主・柳沢吉保公の名により開拓された。「富(とめ)の川越いも」が美味しい理由は320年以上続く土づくりにあるようだ。

平地林の落ち葉堆肥を320年以上使い続けていることにより、土はフカフカでさつまいもの根が張りやすく、養分をしっかり吸い上げることができるとか。

 

何とも滑らかなシルクスイートの「干し芋」

 

■値段も絶品だったシルクスイート

 

ところでこの富の川越いもを使った「干し芋」のお値段は消費税込みで1380円(270グラム当たり)だった。イオンでこの日買った食材25品目の中で一番高かった。家人は300円くらいだと思っていたらしく、よく見ていなかった。それでレジまで来てしまった。びっくらポンもいいとこである。

この日特売のたまねぎ5個で290円、ジャガイモも5個で290である。りんご(ふじ)でも1個128円で3個384円だった。格段の違いである。それが何と1380円だ。

品種は「シルクスイート」という。2012年頃に種苗の販売が始まった品種だとか。甘い味わいの「春こがね」と滑らかな食感の「紅まさり」を交配して開発された。

滑らかな食感は何とも言えないおいしさだ。濃厚ながら上品な甘さも特徴の1つだと言われる。清水の舞台から飛び降りた気持ちで買ってみた。しかし美味かった。美味しいというほかなかった。

 

さつまいも専門店舗(ドンキのHPから)

 

■アジアで大人気の焼き芋

 

しかしさつまいもの発祥の地と言えば、鹿児島県である。琉球王国(現沖縄県)を経て薩摩国(現鹿児島県)に伝わり、そこで広く栽培された。さつまいもは「薩摩藩から全国に広まった芋」を意味している。甘薯や唐芋と呼ぶ。

2017年の都道府県別生産量(収穫量)のトップは鹿児島県28万2000トン、2位は茨城県17万4900トン、3位は千葉県の10万1200トンとなっている。全国の合計は80万7100トン。

最近、シンガポールやタイ、マレーシアなど東南アジアで出店を加速しているドン・キホーテは現地では「ドンドンドンキ」が正式社名。ドンキは愛媛、鹿児島、熊本、和歌山各県と包括連携協定を組んでおり、現地での一番の売れ筋商品が鹿児島産さつまいもだという。

ドン・キホーテの焼き芋は店舗で取扱品種が異なるが、主に「紅はるか」を使用。苗から厳選し職人が毎年の天候を考慮して栽培。収穫後のさつまいもを糖度と温度が徹底管理された蔵で約1カ月貯蔵し、甘味を最大限引き出すという。年間1230万本が売れる超目玉商品になっているようだ。

焼き芋以外に「冷やし焼き芋」「鶏とピーマンの焼き芋薫り炒め」「焼き芋のぜんざい」「焼き芋のおはぎ」「焼き芋の伊達巻風芋菓子」などオリジナルアレンジレシピも用意している。日本のお菓子的存在だったさつまいもが現地化し、さまざまな郷土料理に生まれ変わっている。何とも面白いではないか。

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