【森林産業展】400年ぶりに豊かな緑を謳歌する日本にカーボンニュートラルの追い風=基調講演だけ聴いて後は豊洲周辺散歩

どういうわけか豊洲市場へ

 

■基調講演だけ聴いた森林産業展

 

第3次世代森林産業展(FORERISE2022)が9月14日~16日の3日間、東京ビッグサイト西2ホールで開催されたのでのぞいた。14日。主催は産経新聞社。

特に関心があったわけではないが、セミナーの基調講演が前林野庁長官の天羽隆(あもう・たかし)氏で、「新たな思考とテクノロジーで林業の景色を変える」とあったので、ひょっとしたら面白い話を聞けるかと期待したのだ。要はスマート化とデジタル化で林業を変えていくのが大きなテーマだ。

最近の関心は水産・林業を含めた農業関係が中心。ビジネス情報誌『ELNEOS』に寄稿していたときはビジネス関連すべてがテーマだった。同誌はまだ体力のある3年前に休刊した。環境問題に関心を持っていた時期もあった。

フリーランスジャーナリストと名乗っても寄稿する雑誌がなければテーマもあったものではない。自分でテーマを設定し、編集長に話をする。編集長の了解があって初めて執筆のOKが出る。そういう仕組みだからだ。

相性もあって編集長に切られる場合もある。ある程度こちらからも当該雑誌の内容や編集長の個性を気に入らなければ書こうという気にもならない。そんな関係性の中から良い原稿が出てくるはずがない。

簡単に原稿を書けるように見えるが、そう簡単なものではない。もちろん体力も大きくものを言う。体力がなければ書こうという気力が高まらないのだ。そういうことを感じながら35年間続けてきた。

天羽氏はおおむね以下のような話をした。

 

■400年ぶりの豊かな緑

 

・森林業界は労働災害を減らしていかなければ、新たに業界に入ってこようとする人たちも持続的にやっていこうという気にならない。そのためにもデジタル化、スマート化がどうしても必要だ。

・オーストリア、フィンランドといった海外の林業についても学ぶ。日本とは事情が違うし直輸入するには適していないなどはあるだろうが、研究して先進事例に近づいていくことが期待される。

・「いい時に長官になったね」と言われることが複数回あった。どういうことなのか。1つ目は400年ぶりの豊かな緑。2つ目は2050年、カーボンニュートラルの追い風。

・日本は国土の3分の2が森林の有数の森林国。自然にそうなった景色ではない。昔は森林由来の薪や炭が日常的に使われ、落ち葉は肥料として使われていた。炭坑用の硬木、線路の枕木、電信柱などは木でできていた。

・戦後復興のためにも石炭を掘って産業を回していく政策が取られた。石炭を増産するためにも坑道を支える硬木の需要が多かった。戦中、戦前頃から伐採が過剰に進んで山の荒廃が見られた。戦後林政史によると、年間の伐採量が生長量の1.7倍から2.8倍に及んだ。

・山ははげ山だらけの状態だった。出身地の六甲山も終戦後しばらくははげ山だった。日本全国はげ山だらけだった。それが植林などによって全国的な広がりを持って森林資源が成熟し、半分が50歳以上の森林になっている。

■カーボンニュートラルに向けて追い風

・全国で木が切れるような状態になっている。こういう豊かな森林状況を経験したことがない。木も歳をとればとるほど生長量(=CO2の吸収量)も下がってくる。

・高齢の木が増えていることに起因してCO2の吸収量が減ってきている。更地に植えることは難しく、切って使っていくしかない。

・2つ目はカーボンニュートラルに向けての強い追い風が吹いている。2050年に達成する。温室効果ガスの排出量を抑えることが重要だ。森林吸収を増やしていく。

・「切って使ってまた植える」植林をやっていかないといけない。花粉杉を無花粉杉、消化粉杉などに植え替えていくことが大事と考えている。人工林はほとんどが杉、桧、カラ松など針葉樹中心。

・産業界でCO2を減らしても減らしても、もともと出していたのも減るだけで、マイナスにしていこうとすると、森林・林業・木材産業など吸収で頑張っていかないといけない。そういう意味でも「切って使ってまた植える」必要がある時代になっている。

 

La Vista

 

■個人の来日も制限なしに

 

FORERISE2022は天羽隆氏の基調講演を聴いただけでさよならした。あと会場をざっと見て回ったが、それほど関心を呼ぶには至らなかった。デジタル、スマートでは面白くないのだ。

これまでの展示会はそれでも午後遅くまで会場をウロウロしていた。今回もどうしようかなと思ったが、頭に浮かんだのが同じゆりかもめ沿線の豊洲市場。築地市場から移転して数年たっているが、まだ一度も訪問していない。

これまでの生活密着型エリアの築地から、一転ウォーターフロントの最前線へ引っ越した。急に引っ越してもそんなハイカラが似合うとはとても思えない。しかし既に引っ越ししてしまった。いまさら何を言っても始まらない。

「市場前」駅を下りると12階建ての「メブクス豊洲」が隣接していた。清水建設が建てた大規模賃貸オフィスビルだという。ミチノテラス豊洲などを含め国交省の「豊洲スマートシティ」のエリア内に位置するらしい。

ミチノテラスを挟んですっくと建っているのがホテル「ラビスタ東京ベイ」(東京都江東区豊洲6)。2022年4月にオープンした都市型リゾートホテル。

最上階14階には天然温泉大浴場を完備。眼下に広がる運河の向こうには東京タワー、スカイツリー、レインボーブリッジをはじめ首都・東京の摩天楼が彩る眺望を楽しめるのが売りだ。

プールやエステ、スカイラウンジ、ジムなども整っている。運営しているのは共立メンテナンス(東京都千代田区外神田)。寮事業(学生寮・社員寮)、ドーミーイン事業(ビジネスホテル)、リゾート事業(リゾートホテル・癒やしの湯宿)、シニアライフ事業(高齢者向け住宅)、pkp(自治体業務受託)など多彩な事業を運営している。

10月11日から米国並みの水準まで水際対策を緩和し、ビザなし渡航、個人旅行の再開が決まった。これまでの観光目的の来日について「個人旅行は認めず、ツアー旅行のみ解禁」という変則的な規制だった。

それが今回なくなる。ドル高・円安でもある。インバウンド観光が再開されれば、首都圏を始め日本各地のホテルに観光客が殺到するはずである。

観光業界も手ぐすね引いて待っていた。コロナ前の主役だった中国からの観光客は当面当てにできないが、それだけに他のアジア諸国や世界各地からの旅客に期待できる。以前のような”活況”は勘弁してもらいたいが、それでも寂しいよりは歓迎すべきだろう。

人だかりが・・・

 

■「身体ごと没入し、他者とともに世界と一体になる」チームラボプラネッツ

 

市場前駅から豊洲駅方向へ向けて歩いていたら、人だかりする建物があった。「チームラボプラネッツ東京 」。何だろう?

チームラボとDMM.comが設立した、デジタルテクノロジーを活用したアート施設という。要は美術館らしい。メインの展示が膝まで水に浸かるようになっていたり、床が鏡になっていたりするらしい。

2016年にお台場で開催し、6時間超待ちのまま47日間で幕を閉じた「DMM.プラネッツArt by teamLab」を進化させた超巨大没入空間だという。

東京・豊洲の新スポットとして2020年秋までの2年間限定でオープンしたが、その後2023年末までの会期延長が決まったという。

 

観覧を終えた高校生たち

 

観客はどうも学生が多いらしい。ベンチに座っていたら、観覧の終わった生徒たちが戻ってきた。付き添いの先生たちに「どうだった?」と聞かれ、「ひょっとしたら旅行の中で一番良かったかも」なんて答えているのが耳に入った。

チームラボプラネッツは、「裸足となって、身体ごと没入し、他者とともに世界と一体となる」体験を提供してくれるらしい。1度は体験してみるのも面白いのではないか。正直、私はこの施設のことを全く知らなかったことを告白しておく。

料金設定は中学生・高校生1人2000円、小人(4歳~12歳)1000円、3歳以下無料、大人3200円となっている。

 

これは何の実?

 

”オリーブ”通り

 

「これはオリーブです」

 

■オリーブの街路樹

 

豊洲に向かって歩いていたら、何と街路樹に実がなっているではないか。不思議な実だがと思ったが、名札も付いていない。写真を撮りながら歩いていると、小学生高学年と思われる2人組が地面に腰を下ろして、先ほどの実を取っているではないか。

思わず、「それ何の実なの?」と聞いてしまった。かえってきた答えは「オリーブ」。「この辺りではいまの季節しか取れないんです」。そうか、オリーブか。合点がいった。

最近は東京でも1本、2本と見掛けることがあるオリーブだが、10本、20本と街路樹になっているのは初めて。流石国交省が音頭を「豊洲スマートシティ」を推進しているだけあって、植えている木もオリーブと珍しい。

しかし、東京では珍しいが、小豆島のある香川県では今や県花・県木である。香川県教育委員会の工代祐司教育長によると、街を歩けばオリーブの梢がそよぎ、ご近所同士で今年のオリーブの実の出来を自慢する(ビジネス情報紙『ビジネス香川』2015.6.18香川県教育委員会委員長工代祐司「オリーブの街で」)という。

オリーブは、アメリカから輸入された苗木が試験栽培されたのが明治41年(1908年)。それから1世紀以上が経過し、オリーブ製品に対する需要が増加、耕作面積も増え、香川県内各地にも栽培が広がっている。

「現在、県ではオリーブ産業強化プロジェクトを推進し、オリーブ生産を含むオリーブ産業を香川県の一大産業にすべく各種施策を展開している」(同)

「香川県ほど生活の中でオリーブを身近に感じる地域はないと思う。オリーブを庭木にしている家は多いし、公園や空港・港湾などの公共施設、カフェや事務所でもよく見かける。街路樹にオリーブというのは独特で、県庁前をはじめ県道5路線、360本余りが街路を飾る」(同)という。

 

ガスの科学館

 

■ガスの科学館

 

少し歩いていると今度は「ガスの科学館」にぶつかった。東京ガスの企業博物館「ガスミュージアム」には行ったことがあるが、こちらは初めて。無料だというのでせっかくなので見学することにした。

ガスの役割や特長を紹介する体験・参加型の科学館。東京ガスによる運営が行われている。使用電力を抑えるために燃料電池を使用し、総電力量の約半分を燃料電池でまかなっている。

ガスやエネルギーに関する「不思議」や「疑問」を「気づき」や「納得」に変えるのがテーマ。ガスと炎のキャラクター「プカ」やガスが生み出す電気のキャラクター「ピカ」などが教えてくれる。小学校高学年の社会見学コースに入っているようだ。

東京ガスの創立100周年事業の一環として旧ガスの科学館が開館したのは1986年3月。豊洲土地区画整理事業に伴い2006年に一時閉館されたが、場所を移転して「がすてなーにガスの科学館」として開館した。2010年2月18日に来館者100万人達成。13年200万人達成。2017年300万人達成。2019年10月1日ガスの科学館リニューアルオープン。

 

裸火

 

マントルの樹

 

エントランスに設置されているミニバルーン

 

2011年1月に東京ガスが製作したミニバルーン。スタートボタンを押すと、ガスの火力が上がり、熱気の力でミニバルーンが飛び上がる。浮力を付ければ天井まで一気に飛んでいくようになっている。

 

塩瀬総本家(東京都中央区明石町)

 

■塩瀬に行くことは織り込み済み?

 

東京ビッグサイトを早めに切り上げて豊洲周辺散歩を思いついたのは最後にここに寄りたかったため。先頃書いた「饅頭」記事で「日本3大まんじゅう」に触れたが、その中で塩瀬総本家の「志ほせ(しおせ)饅頭」だけ食べたことがなかった。食べたいと思い出すと、すぐにでも食べたいのだ。

場所も「ゆりかもめ」の豊洲駅から有楽町線に乗り換え、豊洲駅からだと池袋方向に2つ目「新富町」からそんなに遠くない。聖路加国際大学や聖路加国際病院がある明石町にあった。

しおせ饅頭が頭の中でいつも点灯していた。ひょっとしたら東京ビッグサイト行も塩瀬総本家に行くことを織り込み済みだったのかもしれない気がする。

 

志ほせ(しおせ)饅頭

 

■「山田屋まんじゅう」のほうが美味しいとは・・・

 

 

とにかく新富町から7分ほど歩いて塩瀬総本家(中央区明石町)を見つけ出しゲットした。しかし確かに老舗かもしれないが、同じ饅頭でも一緒に食べた「山田屋まんじゅう」のほうがおいしいのだ。餡の具合もどうも山田屋のほうがしっとりしている。

自分の舌にはそんなに信頼を置いていないが、そう感じたのだから仕方がない。9個入り(税込1296円)が欲しかったが、売り切れだという。仕方がなく12個入り(同1674円)を買った。

12個入りだと1個当たり単価は139.5円。饅頭を12個も食べられるかと思ったが、そんなに大きくはなかった。むしろ小さかった。この程度の大きさで140円とは高いなと思った。

老舗の銘菓である。そんなものである。多少味が落ちても銘菓を買い求める人はいくらでもいる。中味はどうでもいいのだ。銘菓という商品を買うのである。

ただ「名物にうまいものなし」ともいう。旅行先で食べたり、お土産に買って帰る有名な食品はえてしておいしくないという意味だが、銘菓とはまた少しニューアンスが違う。

後から思ったが、ばら売りはしていなかった。この辺はやはり老舗なのだろう。

 

築地本願寺

 

■久しぶりに築地本願寺を眺めた

 

ご存じ築地本願寺(東京都中央区築地)だ。京都の西本願寺を本山とする浄土真宗のお寺である。築地本願寺は1617年、浅草近くに創建された。1657年の「明暦の大火」と呼ばれる大火事で焼失。その後、再建のために江戸幕府から与えられた土地が現在の場所。しかし当時は海上だった。

そこで海を埋め立てて土地を築き本堂を建立したことが「築地」という名称の由来になっている。また1923年には関東大震災に伴う火災で再度本堂を焼失したが、1934年に再建し、現在の本堂の姿となっている。

現在の本堂は、東京帝国大学名誉教授で建築史家の伊東忠太博士の設計によるもの。建築研究のためアジア各国を旅行した博士と時を同じくして仏教伝来ルートを明らかにするために探検隊を結成し、シルクロードを旅した大谷光瑞(当時の浄土真宗本願寺派門主)との出会いが縁となっているという。

築地本願寺の建物は、インド等アジアの古代仏教建築を模した外観や本堂入り口のステンドグラス、数多くの動物の彫刻などが特徴で、オリエンタルな雰囲気はまさにシルクロードを伝わる仏教伝来のルーツを感じさせる。

一方で、内観においては僧侶のお勤めスペースよりも本堂内の参拝スペースの方が広く、中央正面に本尊阿弥陀如来像が安置されているなど、仏教的な真宗寺院の造りとなっている。2014年には本堂および大谷石の石扉と3門門柱が国の重要文化財に指定された。

ブログをチェックすると、2005年4月27日に「おサボリスポット」して訪れている。このブログを書き始めた頃だ。ブログを書くのは何かを感じたからこそで、各材料が何もないときもある。そういうときは何も書かない。その後も何度か来ているはずだ。

このブログを書き始めてからそろそろ18年になりそうだ。長く続けてきたらいろんなところに行っている。自分でもビックらポンである。

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