「成功術 時間の戦略」(鎌田浩毅著、文春新書)

 火山学者が書いた成功するための時間管理術。仕事、人づきあい、趣味が満たされたときが人生の成功と呼べるのではないかとの観点から、この3者をバランスよく発展していく生活を送るため、誰でも平等に流れてゆく時間を活きた時間として過ごす”戦略”を論じている。「人生の成功術の世界」を目の前に突き付けられると、やはり、覗いてみたくなるのは人情である。

第1章 時間管理の戦略ー活きた時間、死んだ時間
第2章 人に負けない”武器”を持つ方法ースペシャリストになるための助走
第3章 人間関係の戦略ー貴人が人生を拓く
第4章 フレームワーク利用術-世界観の違いを乗り越えるために
第5章 戦略的な読書家になるー読書の楽しみと効用
第6章 効率的に教養を身につける方法ーエグゼクティブはジェネラリスト
第7章 無意識活用法ー意識下にある膨大な能力の活用
第8章 クリエイティブになる方法ーまず常識を疑う
第9章 「オフ」の戦略-豊かな人生をt創り出すために

 本書を読んだだけで、もう人生の成功を手に入れたような気分に陥るが、もちろん、そんなことはない。「おわりに」の章で、「知ることがむつかしいのではない。いかにその知っていることに身を処するかがむつかしいのだ」(司馬遷「史記列伝」)とちゃんと釘を刺している。

 ここに紹介された9つの戦略には初級、中級、上級とそれぞれに段階が設けられている。これから社会に出る大学生や既に社会人になっている若者、さらには生涯現役を目指し、少しでも人生を充実させたいと願う中高年齢層にも参考になる実践的な戦略書だ。

鎌田浩毅(かまた・ひろき) 1955年東京生まれ。通産省地質調査所主任研究官等を経て、97年より京都大学総合人間学部教授、同大学院人間・環境学研究科教授。平成17年5月20日第1刷発行、文芸春秋、680円。

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