ひたひたと押し寄せる不気味な足音におののきながら、「感染爆発の重大局面に来ている」と今週末の外出自粛を要請する小池都知事

 

 

 

正直言って2次情報をいくら発信しても価値はないと思いながらも、今日もそれに依存せざるをえない。感染症は目下、全世界の人々にとって最大の関心事であり、これ以上のニュースは存在しないからだ。新型コロナウイルス問題は何とか1日でも早く収束してもらいたいが、残念ながら猛威を振るいつつある。

小池百合子東京都知事は25日夜、緊急記者会見し、新型コロナウイルスについて「感染爆発の重大局面だ」と述べ、都民に今週末の不要不急の外出自粛を要請した。

都の新規感染者は23日が16人、24日が17人と増え、25日にはついに41人と急増。新たに判明した41人のうち感染経路が分からない感染者は13人に上った。また11人は台東区の永寿総合病院の関係者だったことも判明した。小池知事は「状況は残念ながら厳しい」と危機感を示し、「オーバーシュート（爆発的感染）を防ぐためには、都民の協力が必要」として、平日でも自宅勤務を推奨し、夜間の外出を避けるよう求めた。

同知事が”首都封鎖”の可能性について言及したたのは2日前の23日だった。感染経路不明者が13人もいて、オーバーシュート（爆発的感染拡大）が生じかねないと警告したばかりだった。それが25日には41人へと跳ね上がった。現場医療者から生の情報を得ている知事は恐怖を覚えたに違いない。

有名人の感染も次々と明らかになっている。25日にはタレントの志村けんさん（70）の所属事務所が志村さんが新型コロナウイルスに感染していると発表。時事通信の報道によると、志村さんは3月17日に倦怠感があり、自宅で静養していた。19日に発熱と呼吸困難の症状を訴えたため、医師の判断で20日に東京都内の病院に搬送され、重度の肺炎との診断を受けて入院した。その後の検査で23日に新型コロナウイルスに感染していたことが分かった、という。

志村さんは芸能人で、いくつものテレビ番組を持っている。いろんな場所に出入りし、現場では濃厚に接触した人もたくさんいたはずだ。12日間の潜伏期間があるからすぐに感染が判明するわけではないものの、今後そのうち何人かは発症することだろう。お笑い関係者の間では衝撃が走っている。

自分がかかっていることが分からないうちに、保菌者はいろんな場所をウロウロし、結果的に感染をばらまく。共同通信が業務委託しているフリーランスの40代男性カメラマンも23日に感染が確認されたと発表された。男性は芸能関係の映像取材をしていたという。17日に38度の発熱やせきの症状があり、肺炎と診断されたという。

マスコミ関係者は実にさまざまな場所に出入りし、いろんな人と会っている。怖い。米国では俳優のトム・ハンクス氏がオーストラリアで発症し、英国ではチャールズ皇太子の感染も明らかになった。カナダのトルドー首相も陽性反応が出て、自宅勤務を行っている。

 

先週末の21日に房総半島にドライブしたことに罪悪感を覚えながらも、今週は外出を控えている。25日は孫が来宅し、うち1人は泊まった。夕方外食のために車でショッピングタウンに出掛け、少しだけ買い物をして午後7時半ごろ帰ろうとした矢先に母親から電話がかかってきた。小池都知事が午後8時から緊急の記者会見を開き、今週末の外出自粛を要請するらしいとの内容だった。

場合によってはスーパーの買い占めで空になるかもしれない。その一報を聞いて、冷蔵庫の中身を心配した家内から買い増しの指示があった。大慌てで米やら肉やらを買い足した。要は買いだめである。店内も何となく慌ただしい雰囲気で、全体に品薄状態。どうも不穏なムードが漂っていた。

マスクはこの1カ月ほど目にしたことがない。トイレットペーパーなども棚はいつも空っぽだ。いったい何が起こっているのだろうかと不安にもなってきた。石油危機のときは学生時代で日本にいなかったが、買い占めパニックが起こったことはその後の報道でよく知っている。そのときの再来かもしれない。

都知事の会見以降、コロナウイルスをめぐる雰囲気がかなり変わった感じがする。専門家会議は、国内の感染状況について、「まん延の恐れが高い」との報告書を了承。厚労相がそう認めた場合には首相に報告し、それを受けて首相が「対策本部」を設置する方向だ。首相が「非常事態宣言」を出すときがひたひたと近づいている。