楡周平「再生巨流」

 「再生巨流」(楡周平、新潮社)を読んだ。「Cの福音」(宝島社)で売り出した作家だが、作品を読むのは初めて。439ページの大作だったが、一気に読んだ。夏休み中だったから読めたのかもしれない。

 佐川急便を連想させる運輸会社「スバル運輸」を舞台に左遷された男が、閑職に追いやられながらも、物流の流れを根底から変革する画期的なビジネスモデルに挑戦する起死回生の物語。京都のカリスマ社主への直訴など、奇想天外な場面もあって、リアリティーを低下させているのは惜しいが、それでも、サラリーマンなら、こういうプロジェクトに一度は挑んでみたいという気持ちは誰にでもあるものだ。

 サラリーマンは大変である。閑職に追いやられると、まず意欲、気力が萎え、頭と身体が同じ動きをしないのが普通。気力が萎えるのは辛いものだ。なかなか、立ち直れない。立ち直るためには相当なエネルギーが要るし、それが出てこない。

 (旧)東京本社第一営業部次長
 (新)東京本社新規事業開発部部長

 ばりばりの営業マンだった吉野公啓(よしのまさひろ)の再生ドラマ。それなりに楽しめた。それにしても2005年4月20日発行なのに、7月には近所の「ブックオフ」に並んでいた。ほとんど新品で。1700円→900円。著者は泣いている。

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