鬼平犯科帳スペシャル~兇賊

 「鬼平犯科帳スペシャル~兇賊」(2月17日、フジ=午後7時57分)を観た。夜勤で帰宅したのは18日午前1時20分。風呂に入って、やっぱり観たくなった。VTR。今日は休みだったし、観たい時が観たい時。2時から4時まで2時間、鬼平の世界に浸った。

 そう言えば、1年前の2月12日にもスペシャル「山吹屋お勝」を観た。その時は確か4年ぶりのスペシャルだったと思ったが、1年後の制作はこの番組が国民的人気を得ていることの表れだろう。

 芋酒の暖簾を掛ける居酒屋の亭主・九平(小林念侍)はふらっと店にやってきた長谷川平蔵(中村吉右衛門)の人柄にほれ込むが、一人働きの元盗賊でもあり、行方をくらます。その九平は旅先で、平蔵が追っていた盗賊・甚五郎(大杉漣)たちが「平蔵の命を取る」と話していたのをたまたま聞く。平蔵は甚五郎の仕組んだわなにはまる。

 平蔵と甚五郎、それに九平が絡んで、しっとりとしたと大人の人情話が繰り広げられる。芋料理のうんちくもふんだんに散りばめられることも楽しい。池波正太郎の原作がしっかりしてこそのメリハリの効いたドラマだ。

 平蔵の内儀・久栄役の多岐川裕美、密偵のお政役の梶芽衣子の容色の衰えは如何ともしがたいが、おなじみの顔触れが今年も同じ役を務めているのを知って、ひどくほっとした。時代はスピード感のある変革を求めるが、変わらないことの魅力も抗いがたいものだ。

 若い頃は変革を求めたが、歳を重ねるにつれて不変への愛着が募るのは自然の習いか。時代に付いていくのが億劫になっているのは確かだ。付いていくことへの情熱が希薄になっているのは認めざるを得まい。これは精神の怠惰か、それとも単なる肉体の衰えか。

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