姉小路祐著「司法改革」

 必要があって、法制度の闇をえぐるリーガル推理小説と銘打った「司法改革」(姉小路祐著、講談社文庫)を読んだ。2003年12月、講談社ノベルスとして刊行されたもので、今年11月に文庫本になった。

 司法制度改革推進委員のノンフィクション作家と最高裁事務総局の裁判官が民放TVの討論番組で舌戦を交わしている最中に、裁判官が死亡し、さらにはその真相を探ろうとしたTV局のディレクター氏も水死体で浮かぶというストーリー。

 司法制度改革をめぐる改革推進派と守旧派との対立を背景にした筋立てだが、司法制度改革そのものは既に動きだしているのが現実。今や「あなたも裁判員に!」とのポスターが至るところにあふれている。どうやら事実のほうが小説より進んでいるようだ。

  政治改革、財政改革、行政改革と歩んできた日本の改革も司法改革にまで踏み込んできたということか。それにしても、司法の世界は一般国民にとって分かりにくい。裁判官や検事などがどんな生活をしているのかも想像しにくい。彼らも普通の人間だろうが、それにしても彼らの持つ権力は強大だ。もっと実態を知る必要があることだけは確かだ。

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