BP、ガス田をロシアに譲渡=背景に資源ナショナリズム

 日系企業も参加していたサハリン沖の石油・ガス開発事業「サハリン2」が環境問題を理由に、ロシアに経営権譲渡を余儀なくされた記憶は生々しいが、今度は東シベリアのガス田開発で英BPが同様の目に遭うことになった。

 BPはシェルとともに、ロシア国内最大級のコビクタ・ガス田の開発を推進していたが、6月22日、合弁会社TNK-BPの権益約63%をロシア国営ガス会社「ガスプロム」に売却すると発表した。売却価格も実質価格の3分の1程度だといわれる。

 コビクタ・ガス田は埋蔵量1兆9000億立方メートルの巨大ガス田で、中国や韓国に輸出する計画。しかし、独占的な輸出権限を持つガスプロムがBPのパイプライン新設を阻止する圧力をロシア政府に掛けたとの見方が有力だ。

 ロシア政府ににらまれたら、同国内でビジネスするのは土台無理で、BPもロシア政府の軍門に下ったようだ。国際社会の反発を承知の上で、強力な資源外交を展開するロシアにも、弱体化していた時代に外資に食い物にされたとの”被害者意識”があるようだ。

 石油・ガス価格が高騰し、石油代金が笑いが止まらないほど流入しているロシアにとっては今は怖いものがないだろうが、石油は相場商品。いつまた、大暴落することだって十分考えられるのではないか。1バレル=70ドル台などという価格自体が”幻想”かもしれないだけに、あまり、いい気になっていると、痛いしっぺ返しを食らうことにならないとも限らない。

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神戸日誌

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