山梨県韮崎市に行く
宝塚歌劇団を創設した実業家・小林一三(こばやし・いちぞう、1873-1957)にまつわる話を聞くため、山梨県韮崎市に行った。韮崎市は一三が生まれた土地だ。
一三は阪急電鉄を創業し、鉄道沿線の開発に尽力したほか、政治家として商工大臣なども務めた。一三の名前は関西ではよく知られているものの、東急電鉄東横線や田園調布の開発などにも携わり、関東でも多大な貢献をしているものの、ほとんど知られていないのは不思議だ。
韮崎市に行くのは2度目。20年ほど前に行ったときは知人が手掛ける「ルッコラ」の水栽培野菜工場の見学を兼ねたもので、市への関心はさほどなかった。
ふるさと偉人資料館は韮崎市民交流センター(ニコリ)の1階にあった。資料館では小林一三、保坂嘉内の世界展を開催中で、それを見ながら、説明を受けた。ニコリは図書館や公民館、子育て支援施設が入居し、明るくて、清潔な建物だった。
やはり目立つのはこの「韮崎平和観音像」だ。体高16.6m(台座部を含めると18.3m)と巨大だ。群馬県の高崎観音(高さ41.8m)、神奈川県の大船観音(25.3m)とともに、関東3観音に数えられる。完成は1961年(昭和36)。
韮崎市は釜無川に沿った七里岩という岸壁で二分されている。七里岩は長野県・鴬木まで達する約28kmの巨大な屏風岩・七里岩の最南端部に立っており、そこから町並みを望められる。台地の形状が舌のようで、ニラに似ていることが「韮崎」の地名に結び付いたといわれる。