【熱波】世界を襲う気候災害=人間の無策をあざ笑う地球シュミレーターの未来予測

「イギリスが溶けている」(7月19日付英サン紙)

 

■欧米中で熱波、熱波、熱波

 

世界の北半球の大部分が繰り返し熱波にあえいでいる。日本で言えば、”東スポ”的存在の英大衆紙サンは18日、「英国が溶けている」と大見出しで報じた。実際、ロンドン北部のルートン空港近郊のケンブリッジでは38℃が観測され、滑走路が溶けて飛行機の発着ができなくなったという。

スペインやポルトガルで山火事が多発し、1000人超が亡くなっている。特にスペインのフランスと接するサラゴサ県の高速道路で炎が道路のすぐそばまで迫ってきている映像が撮影された。また北東部のアテカでは住民1700人が避難を余儀なくされた。

フランス南西部では、20日も山火事が続き、既に2万ヘクタール異常が焼失。3万7000人が避難したとされる。

熱波はアメリカでも起こっている。テキサス州では19日にこの時期としては過去最高の46.1℃を記録し、州内では少なくても12件の山火事が起きているという。バイデン大統領は過去最高の3200億円の予算投入を発表した。

アジアでも例外ではなく、中国の四川省では15日に最高気温43℃を記録した。また東部の浙江省と福建省では23~24日に最高気温41℃を記録。気象当局は最大限の警戒を呼び掛ける高温赤色警報を発令、住民に「屋外での活動中止」や「火災防止への特別警戒」を要請した。

 

偏西風(テレビ朝日「報道ステーション」)

偏西風(同上)

偏西風(同上)

 

■2006年時点で「地球温暖化」の影響を警告

 

北半球を襲っている熱波は今年も猛威を奮っているが、実は2007年も多治見と熊谷で40.9℃を記録した年が記憶に残っている。また2010年も24時間、クーラーを付けっぱなしにしたことを覚えている。

2010年8月22日のブログではよほど暑かったのか頭にきて「猛暑・酷暑・炎暑・暑夏・炎夏」と叫んでいる。あまりの暑さに頭がおかしくなったわけだが、考えてみればその後も寒冷化した記憶は全くない。

2019年の夏も欧州を熱波が襲った

2018年9月には室﨑益輝・兵庫県立大学減災復興政策研究科教授が「今年の災害はひどい」と語った

このブログを始めて間もない2006年2月19日にはNHKスペシャルで「気候大異変」が放送された。地球温暖化の影響のものすごさを日本のスーパーコンピューター「地球シミュレーター」が描いている。

番組はこうした事態を食い止める方法も提示している。温暖化ガスの排出を2050年に世界全体で50%削減することだが、各国の利害は鋭く対立し、合意はできていない。16年前の話だ。パリ合意が締結されたが、二酸化炭素の排出は止まっていないのだ。

それなのにロシアは領土拡張を理由にウクライナに侵攻した。二酸化炭素削減など頭の中にない。とにかく自国領土の拡張ばかりである。

 

スペイン・カタルーニャ州の熱波で起きた山火事(7月18日)

 

■これが現実だ

 

2010年の北半球は猛暑だが、南半球は逆に寒波に見舞われた。同年7月22日の共同電によると、ペルーやアルゼンチンなど南米8カ国で220人が寒さのために死亡。ボリビアでは過去降雪記録のない地域で雪が降り、ブラジルでも多くの家畜が凍死した伝えている。

異常気象は10年以上も前の話だが、こうした極端な気象はその後も常態化しつつある。その原因の1つに上げられているのが偏西風の蛇行だ。

偏西風の蛇行によってヨーロッパ西部付近では背の高い高気圧に覆われたことに加え、南からの暖かい空気の流入や強い日差しの影響で、地表付近の気温が上昇しやすかったことが指摘されている。

7月中旬には日本の上空には寒気が流れ込みやすく、大気の状態が不安定化。日本列島では所々で雨雲や雷雲が発達した。東北から九州の所々で猛烈な雨が降り、「記録的短時間大雨情報」が発表された。

いやはや異常気象はいまや自然の猛威ではなく、人類による無作為が引き起こしたものであることが明らかになったようである。

 

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