【映画】1200ｍの断崖からバイクでトム・クルーズがジャンプする『ミッション：インポッシブル／デットレコニングPART ONE』＝今回の敵はAI

 

 

作品名：「ミッション：インポッシブル/デッド　レコニング　パートワン」
監督・脚本・製作：クリストファー・マッカリー
キャスト：トム・クルーズ（イーサン・ハント）
ヘイリー・アトウェル（グレース）
ヴィング・レイムス（ルーサー・スティッケル）
サイモン・ペッグ（ベンジ－・ダン）
2023年7月28日＠ユナイテッド・シネマとしまえん

 

■自我を持ったAI（新兵器）を探せ

 

トム・クルーズ演じるイーサン・ハントはアメリカの秘密諜報組織「IMF=Impossible Mission Force」に所属する秘密情報部員。今回彼に課せられた究極のミッションは、「全人類を脅かす新兵器（AI）が悪の手に渡る前に見つけ出すこと」。

イーサンに課せられた使命は自我を持ったAIであるエンティティを入手することだった。そのためにイーサンはIMFチームのルーサーおよびペイジーと組んで敵との戦いに挑む。

1996年から始まったシリーズは本作で7作目。トム・クルーズも61歳を迎えながら、肝心のアクションに加え、スマートな身のこなしや衰えを知らない肉体など随所で本物のアクションを見せてくれる。

回を追うごとにそのアクションは難易度が高まり、ローマ市街でのカーチェース、ベニスの狭い路地での接近戦、アルプスの断崖絶壁からの大ジャンプ、暴走列車の上での乱闘とアクションが満載だ。

さらにはアラビア砂漠、アブダビ空港、ローマ市街、豪華な城パーティー、暴走するオリエント急行と舞台が次から次へとめまぐるしく変わっていく。

 

 

■地上1200ｍの断崖から落下

 

本作品で最大の見せ場は海抜1200ｍの断崖絶壁の側面に特設された傾斜台（長さ203ｍ）をカスタムメイドのホンダCRF250に疾駆して渓谷に落下。地上から152ｍのところでパラシュートを開き、同時に時速96ｋｍ以上でアルプスを走るオリエントエクスプレスに乗り移るシーンだ。

オリエントエクスプレスは欧州大陸を走るが、スタントの撮影場所として選ばれたのはノルウェーで地元の人々に「トロールの壁」として知られる場所。高さはあるが、崖が垂直に近く、クルーズが落ちるときにぶつかる危険性を最小限の抑えることができる場所だ。

「トムが落下するとき、心臓が飛び出しそうなほど観客がハラハラしながら彼を見守るような高さが必要だった。大規模なアクションであると同時に、視覚的なストーリーテリングを与えてくれるような場所を見つけるのにとても苦労した」（スタント・コーディネーターのウェイド・イーストウッド）

バイクのトレーニングに加え、パラシュートでの落下など高度なスタントが続く。崖からの落下のシーンには536回のジャンプ練習が行われた。

 

 

■世界選手権用の練習より多く飛ぶ

 

ベースジャンプは難しい。地上にある建造物や断崖などの高いところからパラシュートを使って降下するスポーツだ。ベース（B.A.S.E）は飛び降りる場所を意味する頭字語（アクロニム）である。

BはBuilding(建築物)、AはAntenna(人の住んでいないタワー)、SはSpan(スパン、橋桁)、EはEarth(断崖などの自然)を意味する。飛行機から飛び降りるスカイダイビングと比べて非常に危険で、エクストリームスポーツの1つに分類される。

クルーズは前作『フォールアウト』でHALO(ヘイロウ)降下（パラシュートを低高度で開傘する方法、高高度降下低高度開傘）したが、そのときのパラシュート開傘高度は約304～609ｍ。今回のベースジャンプでは約152～182ｍとなる。

練習では世界選手権に向けてトレーニングする人よりも多くの回数を飛んだ。バイクの練習では英オックスフォードシャーの採石場にジャンプ台を備えたモトクロスコースを設置。衝撃からバイクを守るために、着地点に約100ｍ×20ｍ×4ｍの穴を掘り、そこに2万個の段ボールを敷き詰めたという。

カメラの設置場所を決めるにあたってもクルーズのジャンプをGPSチップに記録。綿密な計算の結果、傾斜台の長さや高さが測定された。幅は3ｍというスロープが建設された。