投資家から選別される時代
12月22日夕、久しぶりに人形町に行った。隣の蛎殻町と並んで、とても懐かしい街だ。かつて商品先物取引業界を取材していたころ、毎日、この街の空気を吸っていた。つい5年前までのことだ。街並みは変わっているところもあるが、大概は変わっていない。変わってなくて嬉しいのは街並みや賑わいだ。変わって欲しいものもある。
「2004年末」というのは市場関係者にとって特別の響きを持つ。というのも、1999年4月に施行された改正商品取引所法で、「2004年末」に先物取引会社の収益の大半を占める委託手数料を完全自由化することが盛り込まれたからだ。その「2004年末」が遂に来た。
2005年は日本の商品先物取引業界にとって歴史に残る年になるだろう。年明け早々からの手数料完全自由化で、一段と競争が激化するのに加えて、投資家保護に思想を転換したとさえ言われる新改正商品取引所法が5月1日に施行され、不招請勧誘の禁止など営業行為にも厳しい規制が課せられるからだ。本当に、体力のある取引会社しか生き残れない。
投資家自身の自己責任を強く求められる金融自由化時代。しかし、市場制度そのものが”業界本位”では話にならない。業界のための市場ではなく、投資家のための市場、国民経済に資する市場でなければならないはずだ。それにしても、業界のための市場である時代が長過ぎた。それでも、やっと業界が投資家から選別される時代が幕を開ける。