2005年1月 のアーカイブ

NHKスペシャル「原油高騰」

カテゴリー: 経済/デリバティブ

2005/01/30  22:46


 NHKスペシャル「原油高騰」-世界で何が起きているかーを観た。1月30日午後9時-同53分。最近の原油価格の高騰の背景を探った番組だ。価格高騰の背後には、石油とは無関係のヘッジファンドが存在し、投機によって価格をつり上げていることを浮き彫りにする。その通りである。石油政策に反対するベネズエラの反政府デモや環境汚染に苦しむナイジェリアの住民運動そのものも材料視し、さらに価格を引き上げていく市場という化け物。

 原油価格の決定権は昔はエクソン、モービル、シェルなどの国際石油資本(石油メジャー)、その後石油輸出国機構(OPEC)に移り、今は市場(マーケット)が握っている。その中でも最も強力なのが最大の消費国でもある米国のニューヨーク商業取引所(NYMEX)だ。原油の売り手、買い手を含め、あらゆる思惑が交錯し、そこで価格が決まっていく。

 問題は石油市場と関係のない投機家が市場を動かす最大の原動力になっていることだ。実際に市場を動かしているのは巨額の資産を持つ投機家から資金を集め、それを市場で運用するヘッジファンドだ。番組によると、200社以上のヘッジファンドが活発にトレードしているという。ヘッジファンドにとって、戦争、テロ、暴動など、あらゆるものが投機の材料だ。

 番組に登場したクラリウム・キャピタルのピーター・ティール社長によれば、中国バブルや不動産バブルは盛りを過ぎた。これに対し、インドやブラジルなどの経済発展に伴って、原油の供給不安はなくならない。価格高騰を背景に、国家間、石油会社間の資源争奪戦も激化の一途をたどっている。これからの投機対象は原油、それもNYMEXで取引されているWTI(ウエストテキサス・インタミーディエート)が一番。原油バブルは続く。資金を私に預ければ、大きな運用益を約束しますよ、というわけだ。

 市場は需要と供給が見合う適正な価格メカニズムの働く場を超えて、暴走し始めている。それを食い止める解決策も見つかっていない。これからどうなるのか。コントロールを失った化け物を止めるのは何か。どうしようもないが、とんでもない化け物に成長した先物市場を監視することだけでもやってみようか、と考えている。

ちりめん山椒

カテゴリー: 東京日誌

  19:20


 「ちりめん山椒」にはまっている。ちりめんじゃことピリッとした風味の山椒が暖かいご飯の上で絶妙に融合して食が進む。実に上品で、慎ましやかな風味がたまらない。「ちりめんじゃこ」とはカタクチイワシの稚魚を煮て乾したもの。全国的に売り出されているようだが、今のところ、京風の味付けが気に入っている。それにしても、「ちりめん山椒」が正しいのか、「山椒ちりめん」が正式名称なのか。まあ、どちらでもいいか!

 いただきものの「ちりめん山椒」は京佃煮舗「やよい」(京都市東山区下河原通八坂鳥居前下ル上弁天町439番地)のおじゃこ。

 原材料:ちりめん稚魚、山椒の実、醤油、酒、味醂、調味料(アミノ酸等)
 
 「吟味したちりめんじゃこを酒で蒸し、実山椒をふんだんに混ぜて香りをのせ、みりん、しょうゆ、酒でぱらりと炊きあげました。海の幸、山の幸を京・祇園の風情を心に託し、雅の味に仕立てました。独特の歯ざわりと美味しさをお楽しみ下さい」(「やよい」のホームページ)。

 いやあ、世の中、うまい物、珍しい物がたくさんあるんですね。一生掛かっても、そのすべてを味わい尽くすことなんて不可能。それでも、少しでもたくさんの味覚と出会いたいと願うのは人間の業でしょうか。そう言えば、文明がもっともっと発達して、人間は手も足も、頭まで使わなくてよいようになり、最後に残るのは胃袋だけだとか。食の問題は巨大だ。13億の胃袋を持つ中国が世界を牛耳始めているのは少しも不思議ではないのです。

 

大玉丹波黒大豆

カテゴリー: 旅行/移動/街歩き

  18:32


 城崎の町もいいが、篠山の町並みも素敵である。丹波・篠山はデカンショ節で有名だが、ほかに猪肉料理の「ボタン鍋」も名高い。最近では特産品「黒大豆」(通称黒豆)の評判が全国に鳴り響いている。

 株式会社「小田垣商店」(兵庫県篠山市立町9)。「大玉丹波黒大豆」と染め抜かれたのれんをくぐって店内に入ると、一昔前の空間にタイムスリップ。明治初年(1868年)創業の丹波黒大豆の老舗だ。篠山には何度も来ているが、今度も道に迷って、結局、車を駐車場に入れ、歩いて探し回るはめに陥った。小雨も降って、やはり寒かった。

 でも、町を歩くのは気持ちがいい。身体全体で町の空気を吸えるから。小田垣商店も古いが、菓子匠「清明堂」(篠山市二階町59)は1855年創業ともう少し古い。家伝の味を受け継いで百有余年。黒豆納豆・黒豆羊羹がいい。また、炒った黒豆の入った塩味の「丹波黒豆おかき」は上品だ。ゆずのきんつばも香り良く、実にうまかった。

 時代とともに町も人も変わる。清明堂の隣にあった贔屓のうどん屋「角屋」(確か?)は店を閉めていた。ご主人の体調が思わしくなく、昨年から、商売を止めたという。何年も前、大阪に住む親しい友を連れて、この店でうどんを食べながら酒を飲んだっけ。江戸時代の雰囲気を湛えた不思議な店だった。

城崎温泉外湯めぐり

カテゴリー: 旅行/移動/街歩き

2005/01/26  23:53


 城崎温泉が気に入っている。郷里の実家から車で2時間足らず、距離にして約80キロ。帰省するたびに、時間を見つけて、ひと風呂浴びてくるのがこのところの楽しみだ。正月帰れなかった代わりに、中旬の週末、帰省した。特に、冬は温泉に加えて、カニの季節。松葉ガニが待っているから、楽しみが倍加する。あれだけの寒さである。寒さを上回る楽しみを見つけなければ、とても生きていけない。

 温泉街の西の端にあるのが薬師堂。そのそばに城崎温泉元湯と並んで、城崎温泉第28号泉があった。6つある泉源のうちの1つ。

 自然湧出量 150/毎分
 揚湯量    400/毎分
 湧出温度   81.0℃
 掘削深度   500m

 薬師堂のそばの石段を登ること455段、高野山真言宗別格本山末代山温泉寺。同寺は城崎温泉の開祖道智上人の開創なり。当初鎮守四所明神に神託を得て温泉を開発し、のち天平年間(729-748)十一面観世音菩薩の重像を感得して当山を創り本尊となす。ロープウエイで大師山に登れば、城崎の町を一望でき、日本海も遠望できる。

 城崎温泉と言えば、外湯めぐり。大谿川(おおたにがわ)沿いの柳並木と太鼓橋、風情ある温泉街に7つの外湯が点在し、浴衣掛けでそれらの外湯をめぐるのが正しい温泉の楽しみ方だ。今や、内湯が幅を利かす中で、頑なに外湯で押し通す城崎温泉もすごい。温泉宿と外湯をめぐる温泉客が一体となって、温泉街の風情を作り出している。城崎以外ではなかなか見られない風景だ。

 外湯は現在7つ。今年7月には新御所湯が誕生する予定だ。

 鴻の湯
 御所湯
 まんだら湯
 一の湯
 柳湯
 地蔵湯
 さとの湯

 泉質:ナトリウム、カルシウム
 効能:神経痛、筋肉痛、うちみ、慢性消化器病、痔病、疲労回復

NYMEXが日本事務所開設

カテゴリー: 経済/デリバティブ

2005/01/18  23:10


 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)が東京事務所を開設した。以下は1月10日発表のニュースリリースの全文。

 【ニューヨーク1月10日】NYMEXは1月11日付で東京に事務所を開設する。

 コモディティー業界で、15年以上にわたって、役員レベルの経験を有するトーマス・J・マクマン氏がアジア事務所の代表を務める。マクマン氏はNYMEXの元理事で、ガソリン・天然ガス・プロパン諮問委員会やガソリン受け渡し委員会の委員を務めた。

 マクマン氏はかつて、NYMEXフロアで天然ガス先物・オプションの取引を行うガスリンク社の社長を務めたほか、ニューポート・エナジー社社長、独立系フロアブローカーのユナイテッド・エナジーのトレーディングフロアマネジャーでもあった。

 マクマン氏は現在、全米先物業協会日本支部(FIA-J)の理事を務めている。同氏は日本、香港、シンガポールの顧客との業務を含め、NYMEXのために引き続き、アジア市場の開拓に取り組む。

 同氏はメリーランド州ワシントン・カレッジで歴史および政治学の学士号を取得している。

 新事務所はアジア市場に貢献するため、多言語使用スタッフを配置している。住所は東京・東新橋サンマリノ汐留6階。電話は81-3-5408-5291。

 NYMEXのジェームス・E・ニューサム社長は「増大するアジアの顧客基盤に寄与するため、日本に新事務所を開設できることに興奮している。NYMEXは、アジア地域が、ダイナミックな成長期中に、リスク管理手段を必要としていることを認識しており、アジア市場に金融サービスを供給することを約束する」とコメントしている。

錦鯉文化の復活を願う

カテゴリー: 東京日誌

2005/01/16  23:44


 新潟県中越地震で一躍有名になった山古志村。地震があって初めて、この地方が錦鯉の発祥の地であることを知った人は多いに違いない。私もその1人。山古志地方は錦鯉と並んで闘牛も盛んなところで、1月16日(日)午後、東京大学農学部弥生講堂一条ホールで「地域の無形文化を守るために-闘牛と錦鯉の教訓に学ぶー」と題する緊急シンポジウムが開かれた。財団法人農学会、生き物文化誌学会、ヒトと動物の関係学会の共催だ。

 パネリストの吉田俊一全日本錦鯉振興会副理事長によれば、地震による錦鯉の被害は以下の通り(昨年11月15日時点)。

 被害経営体数    122件/主要経営体は約200件
 野池被害        3625面/4472面
 被害面積        393.4ヘクタール
 錦鯉死亡尾数     1,011,502尾
 被害総額        44億1887万円
 
 錦鯉と言えば、”成金趣味”か”金持ちの道楽”くらいのイメージしかなかったが、山古志地方にとっては、錦鯉は地域のアイデンティティーを支える原点であり、文化だった。もちろん、生活を支える産業ではあるものの、地域住民にとっては「厳しい自然の中で、ただ生活するだけではなく、生活するために必要な文化」(吉田氏)の要素が強かったという。

 同じく全日本錦鯉振興会副理事長で、小千谷市闘牛振興会実行委員長を務める間野泉一氏の肩書きが示すように、錦鯉と闘牛はセット。牛の堆肥を寝かせて、それを池の錦鯉にやるからだ。コメをつくるのも野菜をつくるのも、錦鯉を飼うのも同じことだという。

 ・錦鯉の起源は江戸中期ごろ
 ・品種は80種以上
 ・世界中で”Nishikigoi”として飼育されている
 ・”泳ぐ宝石”から”泳ぐ芸術品”へ

 金魚や熱帯魚など観賞魚は数多くあるが、池と一緒に鑑賞できるのは錦鯉が唯一。今や、生産量の7割以上を輸出が占めており、とりわけ、英国ではガーデニングとの関係で人気を集めているとか。1月22日(土)、23日(日)には東京都大田区平和島の東京流通センターで第36回全日本総合錦鯉品評会が開催される。災い転じて福となす、だ。錦鯉文化の復活を期待したい。

TOCOMスクエア

カテゴリー: 経済/デリバティブ

2005/01/15  13:20


 1月14日(金)午後、東京・内幸町のプレスセンターから、歩いて銀座を突き切って会社に戻る途中、銀座8丁目の交差点で信号待ちをしていたら、目に飛び込んできたのが「TOCOM square」なるオレンジ色のしゃれたオフイス。銀座8丁目4番23号クレグラン銀座ビル1階。銀座日航ホテルの隣と言ったほうが分かりやすいかもしれない。

 そう言えば、東京工業品取引所(TOCOM)が銀座のどこかに情報発信基地をつくったということは聞いていた。これがそれ。せっかくだから、ちょっと見学。TOCOMとラジオNIKKEIによる金融情報提供と、商品先物取引への理解と認知を目指すスペースとか。昨年12月24日に開館されたばかりだ。

 平日17時30分からはラジオNIKKEIによるラジオ番組「マーケット・トレンド」を公開生放送している。金融情報はともかく、商品先物取引に関する情報発信基地が街中に、しかも銀座にできたというのは、考えてみれば、時代も変わったものだ。今後の課題は、銀座を往来する人たちの関心をどれだけ引き付けられるか、だろう。成功を祈りたい。

”元気な”防衛庁

カテゴリー: 途上国/ODA

  12:47


 「今年は酉(とり)年。何とか鶏に、大きな声で防衛省!と鳴いてもらって、省に昇格したい」と悲願を口にするのは大野功統防衛庁長官。1月14日、日本記者クラブで開かれた昼食会でのこと。「なぜ防衛庁なのか。『庁』は専門分野、特定分野で実務的な仕事をするところ。防衛の仕事とは国全体を守る仕事。国家機関と言ってもいいくらいだ。国をトータルに預かるものがエージェンシー(庁)でいいのか」と鼻息が荒い。

 このところの防衛庁はイケイケドンドンである。2004年9月27日に大野長官が就任してわずか3ヵ月で、イラクへの自衛隊派遣延長、新防衛大綱の決定と大仕事を仕上げて、今は米軍再編問題に取り組んでいる。中国の原子力潜水艦の領海侵犯問題への対応や、スマトラ沖大地震・インド洋大津波への国際緊急援助活動など大車輪の活躍ぶりだ。

 防衛庁のプレゼンスが一気に高まった背景には世界の安全保障をめぐる環境が激変したことが大きく影響している。その象徴が2001年9月11日に起こった米同時テロ。それまでの国と国との脅威から、多彩な脅威に対処しなければならなくなり、どうしても国際協力が重要になってくるからだ。

 この結果、必然的に生じてくるのが防衛と外交の一体化。「一体化と言えば、誤解を招くので、境界線がなくなってきた、と言っている。外交と防衛のいずれも平和をつくるという面で防衛の役割を大きくしていく。外国へ行っても、弾(たま)を撃たない。そういう世界の中で平和を構築していく」(大野長官)。時代の要請とはいえ、防衛庁があまりに”元気”になる世界は決して手放しでは喜べない。

「思えば、かなう」

カテゴリー: 東京日誌

  00:46


 1月12日、都内で開かれたある会合で、マラソンランナー、有森裕子さん(38)の講演を聞く機会があった。と言っても、会場に駆け付けたのは講演もほとんど終わりに近づいていたころで、聞いたのは最後のせいぜい15分程度。本当にわずかな時間だったが、いつの間にか、話の中身に魅せられ、目も潤んでいた。 「何も取り柄のないわたしは、人一倍努力しないと、人並みになれない。それだけを考えて生きてきた」(自伝的エッセイ「わたし革命」(岩波書店))という彼女。逆子、丙午の年に生まれた女の子、先天性両足股関節脱臼、自動車事故とハンディキャップばかりを背負った15歳の女の子が初めて頑張れるものとの出会いが走ることだった。

「思いが強ければ、夢はかなう。だれもが口にする言葉ではあるけれど、その「思い」を毎日の生活のなかで持ちつづけることが、どんな難しいかを、わたしは身をもって知った」(同)。実に簡単なことだが、1つのことをずっと思いつづけることは楽ではない。

女子マラソンでバルセロナ五輪銀メダル、アトランタ五輪で銅メダルに輝いた有森さんだが、岡山・就実高、日体大時代は全くの無名の存在。国体すら、出場の経験がなかった。この彼女が10月22日開催の「岡山国体」女子ハーフマラソンに出場し、高校時代からの夢を実現するとのニュースが翌13日、流れていた。いまさら、国体でもないだろうが、それでも夢は夢。このニュースを聞いて、他人事ながら、嬉しくなった。

「陶板名画」を観る

カテゴリー: 東京日誌

2005/01/14  03:35


  「陶板名画」なるものをご存知か。原画を撮影したポジフィルムから写真製版し、転写した陶板(板状の焼き物)を焼成。それらの陶板を何枚も組み合わせて作られた絵画のことだ。初めて見たのは都営地下鉄大江戸線・築地市場駅の壁面に飾られた巨大な浮世絵。片岡球子の原画から作ったものだ。

 陶板名画では、大塚製薬グループが創立75周年記念事業として徳島県鳴門市に設立した「大塚国際美術館」が有名だ。同美術館で展示されている印象派の名画28点が東京・大手町の大手町サンケイプラザで特別展示されているというので、最終日の1月12日、仕事の合間にほんの15分ほどのぞいた。百聞は一見に如かずである。

 ゴッホ、ルノワール、モネなど、世界を代表する名画がずらり。とにかく、陶板名画は変色も腐食もしない。2000年以上にわたって、そのままの色と姿で残るというからすごい。大塚国際美術館には世界25カ国、190余の美術館が所蔵する至宝の名画1074点が原寸大で展示されているとか。使われているのは大塚オーミ陶業の特殊技術だ。

 ミケランジェロの祭壇壁画「最後の晩餐」は痛みがひどく、専門家によって修復されたが、修復後の作品しか残っていない。それに対し、修復前の原画が陶板で残されており、われわれは両方を比較しながら、楽しめる。これも陶板名画の技術があってならばこそだ。世界中を探してみても、これだけの規模の陶板美術館はないとのことで、一度はこの目で確認してみたい。