2016年6月 のアーカイブ

英EU離脱

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事

2016/06/24  21:23


 

夕刊紙の一面には「離脱」の特大見出しが躍っていた

夕刊紙の一面には「離脱」の特大見出しが躍っていた

 

英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票の結果が気になっていた。午前11時半過ぎて出掛ける時には、テレビの開票速報では「離脱」優勢だったが、最終的には「残留」で決着すると楽観していた。それなのに・・・

シンポジウムが終わったのは午後5時ごろ。スマホで確認するのも面倒だったので、そのまま地下鉄大江戸線大門駅まで歩いた。構内の売店に目をやってびっくりした。「離脱」の特大見出しが躍っていた。

すぐさま夕刊紙を買って車内で読んだ。世論調査の「残留優勢」予想を覆して離脱が決まった。本当に驚いているのはむしろ「離脱派」だったかもしれない。これで大英帝国のさらなる衰退が始まった。

世界はやはり動く。なかなか動かないようでいて、動いている。大体は悪い方向に動くことが多い。人類は進歩ではなく、退歩を選択するのが好きらしい。英国に追随する国が出てくれば、世界はグローバリズムからナショナリズムに流れを変える。これで米国で「トランプ大統領」が誕生すれば決定的だ。

国立環境研シンポジウム

カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 資源/エネルギー/環境

  20:38


 

パネル展示

パネル展示

 

国立研究開発法人「国立環境研究所」(茨城県つくば市)の公開シンポジウム2016に参加した。テーマは「守るべき未来と『環境』の今」~地球・生物・循環・安全・社会の半歩先を語ろう~。

6月17日には京都で開催され、24日は東京メルパルクホール(港区芝公園2)で開かれた。住明正理事長の開会あいさつによれば、「環境研は現場研究の中核的研究機関」らしいが、環境関連では「総合地球環境学 研究所(地球研)が京都市にある。環境研にも地球環境研究センターが置かれている。

この日の公開シンポでは6つの研究成果が報告された。地球環境センターの三枝信子氏による講演は「地球をめぐる温室効果ガス」-どこでどれだけ減らせるか?-だった。

三枝氏の結論は「『ここでこれだけ減らせます』という答えは今はまだありません」というものだった。パリ協定で決まった削減策を的確に実行していく中で答えを見つけていくしかないということだ。

パリ協定では2020年以降の気候変動対策の枠組みが決まった。途上国を含む全国連加盟国が参加し、産業革命前からの気温上昇を2度より低く抑える(努力目標は1.5度未満)目標が設定された。

これまでの研究によると、「2度未満に抑えることは現状のCO2排出削減の取り組みに比べて、極めて強い排出削減を行っていく必要がある。今世紀末には排出量を実質ゼロにまで持って行く必要がある」という。

■日本は2030年度までに13年対比で26%減らす。50年には80%減らす、今世紀後半にはゼロにまで持って行く(国連に提出した約束草案)

■家庭やオフィスの場合、30年までに40%減らさなければならない。

これらの目標を達成するためには「今ある技術の延長や今あるプランでは間に合わない。さまざまな技術開発やインフラの開拓が必要だ」と強調した。その一つがCO2を分離・回収し、それを深海や地中に貯留する技術だが、人為的に排出量を減らす手法の1つにすぎない。

これだけではゼロ目標を達成するのは難しい。よって現在大気中にあるCO2を積極的に除去することが必要だ。バイオ燃料作物を栽培したり、大規模な植林を実施することなども行っていく必要がある。

要は信じられないほどハードルが高い。工場だけでなく、家庭やオフィスにも削減が求められる。果たしてそれが可能なのだろうか。地球が滅びる前に人類が滅びることになるのではないか。

地上や海上の温室効果ガスの濃度やその変動はこれまで先進諸国に偏在している測定局で観測が行われてきたが、地球大気の測定は7年前までは夢物語だった。しかし、日本が2009年1月に世界で初めて打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)がそれを可能にした。地表面から上空約70kmまでの大気中のCO2の総量を観測できる。

いぶきが地球大気全体の月別CO2平均濃度について、2016年1月までの暫定的な解析を行った結果、2015年12月に初めて400ppmを超え、400.2ppmを記録したことが分かった。地上観測点に基づく全球大気の月平均値では既に400ppmを超えていた。地表面だけでなく、地球の大気全体で温室効果ガスの濃度が上昇し続いていることを示している。

 

切り絵扇子

カテゴリー: 文具/電子機器/カバン/辞書

2016/06/19  22:14


 

切り絵扇子

切り絵扇子

 

さりげなく
するりと
取り出し
涼しげに

切り絵扇子を送ってくれた。知人の作品。カテゴリーの和こもの。ゆかたや着物、和装小物を中心としたブランド「コトコ」を2005年から続けているakikomikami氏の作品。これもその一つで、切り絵で絵柄を入れた男物の扇子(女物より大きい)。3240円(税込み)。紺地に鯉が右に2匹、左に1匹、左隅にコトコの文字が切り絵で入っている。

父の日は6月19日(日)。お嫁さん・志野さんからのプレゼントでした。

洋食とワインの店「フリッツ」

カテゴリー: 食/食堂/レストラン

2016/06/18  23:51


 

ヒラマサ

ヒラマサ

 

冷製スープ「ビーツ」

冷製スープ「ビーツ」

 

メンチ(右)とコロッケ

メンチ(右)とコロッケ

 

ローストビーフとハム

ローストビーフとハム

 

カツサンド

カツサンド

 

締めのカレーライス

締めのカレーライス

 

東大農学部の公開セミナーを聞いたあと、歩いて10分くらいの洋食の店「フリッツ」(文京区小石川2)に行った。開店してまだ1カ月未満で、一度昼にカレーを食べた。一度しっかり食べておこうと考えた。

第50回東大農学部公開セミナー

カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 農業/農地/農政

  22:52


 

第50回東大農学部公開セミナー「学と業」

第50回東大農学部公開セミナー「学と業」

 

東京大学農学部の公開セミナーが弥生講堂一条ホールで18日、開催された。6月と11月の年2回開催で今回が50回目。25年間にわたって開かれてきたことになる。

10年ほど前からテーマによって参加してきた。特に11月は銀杏の黄葉が楽しみで参加した面もある。最近は農業への関心があり、むしろ原稿のテーマを探すために参加している。

第50回目のテーマは①「育種学と育種」データ科学を応用し、品種改良を加速する②環境に優しいセルロースナノファイバーの科学③水産資源の持続的有効利用と水産学-の3本だった。

『ディーパンの闘い』

カテゴリー: 映画/テレビ/舞台

2016/06/17  23:23


 

『ディーパンの闘い』(ギンレイシネマ)

『ディーパンの闘い』(ギンレイシネマ)

 

作品:『ディーパンの闘い』(2015年フランス映画)
監督:ジャック・オディアール(第68回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞)
2016年6月17日@飯田橋ギンレイホール

「内戦下のスリランカで妻と娘を殺された元兵士のディーパンは移住許可を取るために赤の他人と偽装家族を装いパリに渡る。辛うじて難民審査を通り抜けてパリ郊外の集合団地で暮らし始めるが…暴力を捨てた男が新たな人生のために再び闘いに挑むヒューマンドラマ!」(ギンレイ通信)

移民問題に揺れるヨーロッパを背景に描かれた作品だが、完成したときにはパリのテロ事件は起きていた。パリやロンドンなど欧州の主要都市には多くの難民が住んでいる。コミュニティーのある。

主人公の”疑似家族”もパリに郊外に住んだ。しかし、そこは麻薬の密売組織が昼間から発砲し合う危険な地域でもあった。それでも難民はそこで生きていかなければならない。

ディーパン役を演じたアントニーターサン・ジェスターサンは自らがスリランカ内戦で戦士だった経歴を持つ。現在は作家活動を行っているが、演技は今回が初めてだという。

難民たちはたくましい。祖国を捨て、新しい国を祖国として生きていくしかない。過酷な人生を生きている。自ら望んだ人生ではない。そんな生き方もある。

『女を修理する男』

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

  22:06


 

コンゴの性暴力と紛争を考える会の米川正子代表(右)と華井和代副代表(左)

「コンゴの性暴力と紛争を考える会」の米川代表(右)と華井副代表(左)

 

ゲスト:「コンゴの性暴力と紛争を考える会」
代表・米川正子立教大学特任准教授
副代表・華井和代東京大学大学院特任助教
テーマ:コンゴの性暴力と紛争
2016年17日@日本記者クラブ

「コンゴの性暴力と紛争を考える会」の代表2人が日本記者クラブで会見し、コンゴ民主共和国(旧ザイール)における性暴力と紛争の現状について報告した。

コンゴ東部は1994年、隣国ルワンダの虐殺後、ルワンダのフツ系民兵組織や旧政府軍がコンゴ頭部に越境。2000年には反政府組織FDLRを設立した。96年にはルワンダ軍、ウガンダ軍とルワンダが創設したコンゴ反政府勢力AFDLがコンゴ東部に侵攻した(第一次コンゴ戦争)。

2013年、ルワンダが支援するコンゴ反政府勢力がコンゴ軍と国連平和維持軍(PKO)により敗北した。

コンゴ東部では反政府武装勢力により、住民が性暴力攻撃にさらされてきた。女性や女児、男児が犠牲になり、拉致されて性的奴隷となる悲劇が過去20年間続いており、今もそれが続いている。

性暴力の目的は住民に①恐怖、恥を植え付け、コミュニティーの弱体化を図る②強制労働や強制移動を強いる④人口を減少させる-ことにより、コミュニティーを支配することだ。

武装勢力がコンゴ東部を執拗に支配下に置こうとしているのは同地域が世界有数の鉱物資源の宝庫だからだ。金(Gold)のほかに、電化製品に欠かせないスズ(Tin)やタルタル(Tantalum)、タングステン(Tungsten)は豊富。コンゴ周辺ではこれを巡って紛争が絶えないことから、「3TG」は紛争鉱物と呼ばれることが多い。

つまり、コンゴ東部の女性達が性暴力の被害者になるのは、武装勢力が性暴力によって紛争鉱物の豊富な鉱山を支配しようとするからだ。

 

コンゴ周辺地図

映画によれば、「世界のレイプの中心地」「女性にとって世界最悪の地」「母親にとって最悪の地」がコンゴ東部だといわれる

 

コンゴ東部には犠牲になった女性が何万人にも上るという。単なる性欲の対象としてレイプするのではなく、鉱物資源・鉱山の支配を容易にする目的でレイプし、殺害する。被害者が成人女性だけでなく1歳の女児にまで及ぶのは生殖機能そのものを抹殺することを狙っているからだ。

 

立教大学ジェンダーフォーラムで日本初公開された映画のポスター

立教大学ジェンダーフォーラムで日本初公開された映画のポスター

こうした状態に敢然と立ち向かったのがコンゴの婦人科医であり人権活動家でもあるデニ・ムクウェゲ氏。武装勢力の行為を「性的テロ」と糾弾し、激しく非難している。

「ムクウェゲ氏は1998年、コンゴ東部のブカブにてパンジー病院を設立し、これまで4 万人以上のレイプ被害者を治療し、精神的ケアを施し続けてきた。それ以外に、国連本部をはじめ世界各地でレイプ被害に関する演説を行い、女性の人権尊重を訴えてきた。その活動が国際社会で評価され、これまで国連人権賞(2008年)、ヒラリー・クリントン賞(2014 年)、サハロフ賞(2014 年)などを受賞した。ノーベル平和賞受賞者の有力候補にも数回挙がっており、2016 年5 月のタイム誌に、「最も影響力のある100 人」に選ばれた」(映画ポスター

0(Pizoli by Edo Mumba)

映画『女を修理する男』(The Man who mends women)はムクウェゲ氏を描いたドキュメンタリー映画。暗殺未遂にあいながら、医療、心理的、司法的な手段を通じて、同氏が性暴力の生存者を献身的に治療する姿を映している。

Pizoliは映画で流れる哀切な歌だ。「パパやママ」という印象的なフレーズが心に響く。

潘基文国連事務総長は6月17日、「紛争における性的暴力根絶のための国際デー」(6月19日)に寄せたメッセージで、「性的暴力は、社会組織を切り裂き、コミュニティーを支配、威嚇し、人々を家から追い出すために用いられる意図的な戦略として、広く認識される」とし、「ダーイシュ(イスラム国のアラビア語での略称)、ボコ・ハラム(ナイジェリアのイスラム過激派組織)をはじめとする過激派集団は、戦闘員を引き寄せ、定着させるとともに、収入を得るための手段として性的暴力を用いている」と指摘した。

 

 

有楽町ワイン倶楽部

カテゴリー: 東京日誌Ⅱ

2016/06/14  23:00


 

店内はガラスの部屋

店内はガラスの部屋

 

昔の同僚と10年ぶりくらいに会うために有楽町ワイン倶楽部(有楽町1)に行った。電気ビルの地下にあるワインバーだが、店内にワイン専門店を併設しているのが最大の売りだ。

ショップでワインを選び、それを飲む仕組みだ。結構安めの値段設定がしてあり、午後7時までなら、持ち込み料(7時まで1本500円、7時以降1500円)を払っても格安だ。7時過ぎると、割高だと思う。

有楽町以外にも八重洲、池袋、室町、新宿、大宮、丸の内にも同様のワイン倶楽部がある。展開しているのは株式会社ダイナック(DYNAC)。サントリーの100%子会社。響、味くら、英国風パブ「ザ・ローズ&クラウン」などの業態も傘下に持っている。

ワインはあまりにも銘柄がたくさんあって、よく分からない。それぞれに値段が付いているが、それが適正かどうかも分からない。それなのに、ずいぶん高い値段が付いているので、恐らくぼられているのだろう。ぼられながら、「うまい」などと言いながら飲んでいるのだろう。

そういう状態から何とか抜け出したいのだが、抜け出すためには多額の授業料を払わなければならない。既に巨額の授業料を払っているはずだが、ちっともワインに対するうんちくが高まらない。何とかしなければならない。

としまえん「あじさいナイト」

カテゴリー: 東京日誌Ⅲ, 花/木/樹

2016/06/11  21:06


 

春から秋まで何回も花を付ける「エンドレスサマー」

春から秋まで何回も花を付ける「エンドレスサマー」

 

アメリカ原産のアナベルは今やいつの間にか日本種のような存在に

アメリカ原産のアナベルは今やいつの間にか日本種のような存在に

 

これも見事な「パリ」

これも見事な「パリ」

 

渦を撒いたような

渦を撒いたような

 

がくあじさい

がくあじさい

 

蘭のように何とも豊かな…

蘭のように何とも豊かな…

 

ひとでのような・・・

ひとでのような・・・

 

地域や環境によって大きさや花付き、花色が変わる「山あじさい」には多くの種類が・・・

地域や環境によって大きさや花付き、花色が変わる「山あじさい」には多くの種類が・・・

 

寄せ植えも

寄せ植えも

 

つる性のあじさいで覆われたトンネルも

つる性のあじさいで覆われたトンネルも

 

お花見テラスからの眺め

お花見テラスから眺めると・・・

 

6月の花と言えば、あじさい。「としまえん」で「あじさいナイト」が始まったというので自転車で出掛けた。土曜と日曜の17:00-19:30。入園料300円。ライトアップされて幻想的なあじさいを楽しめる。「あじさい祭り」は今年で14回目。

普段はほとんど気にも留めないが、花が咲くと、そこにその木が植わっていることに気付く。この季節、道を歩いていると、意外と多くのところにあじさいが植えられていることが分かる。あそこにも、こちらにも・・・。

あじさい園には150品種、1万株のあじさいが植えられている。あじさい寺に出掛ける必要がなくなったのは便利だと考えるべきなのか。

「命をささえ、平和をつむぐ」

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会

2016/06/10  23:15


 

講演会会場の立て看板

講演会会場の立て看板

 

アフガニスタンで30年以上にわたって医療活動や灌漑対策に取り組んでいる中村哲医師の講演会が6月10日、練馬文化センターで開催された。主催は「市民の声ねりま」(代表・池尻成二練馬区議)。

中村哲医師は1946年福岡生まれ。「まもなく70歳になる」という。1984年に、ハンセン病撲滅を目指す国際医療協力を行うためにパキスタン・ペシャワールに赴任。旧ソ連軍の侵攻で79年から始まったアフガン戦争でパキスタン北西辺境にはアフガン難民が殺到。中村医師は86年、アフガン患者のため、アフガン医療チームALS(アフガン・レプロシー・サービス)を設立し、難民キャンプへの巡回診療も開始した。

ALSは89年、JAMS(ジャパン・アフガン・メディカル・サービス)に改称。アフガン無医地区でハンセン病を含む一般診療を開始。89年に旧ソ連軍が撤退後、パキスタンから難民が続々帰郷するのに合わせて、91年、医療過疎地でハンセン病患者の多いクナール川沿いのダラエヌールに診療所を開設した。

アフガンは人口2800万人の多民族イスラム国家。国内中部を7000m級の山が1200kmにわたってヒンズークシ山脈が走る山岳国。同山脈は「アフガンの生命線」と言われ、「アフガンでは金がなくても食っていけるが、雪がなければ食っていけない」(中村医師)という。山の雪解け水が農地を潤し、豊かな実りを約束してくれるからだ。

しかし、2000年、アフガンは記録的な大干ばつに見舞われる。水不足により、赤痢、コレラが急増。「数千人、数万人規模の村があっという間に消えていった。土地が砂漠に戻っていった」。中村医師が痛感したのは「飢えと干ばつは薬では治せない」事実だった。

中村医師はその現実を見て、水源確保事業に乗り出す。井戸を掘る一方、カレーズ(伝統的地下灌漑用水路)の修復を図った。しかし、カレーズの枯渇や地下水利用の限界にも直面した結果、「100の診療所より1本の用水路が重要」として、2003年3月、「マルワリード用水路」に着工。10年3月全長25.5km、灌漑面積3000haの用水路が完成し、15万人が村に戻った。

10年10月からは国際協力機構(JICA)との共同事業を開始。16年現在、マルワリード用水路周辺の水利工事を進め、20年までに耕地1万6500haの安定灌漑、65万人の農民の生活を護る地域復興モデルを目指している。

地元民が作業し、中村医師も重機を操った。「医者の私が土木作業をやっているのはそのためだ。用水路が延びるたびに村々が復活していく。水の威力はすごい」という。

地元民たちは①1日3回ご飯を食べられる②家族と一緒に村で暮らせる-幸せを喜んだという。「先生、これで生きていけます」。水があれば何でもできる。中村医師らは現地に適した取水技術を確立する一方、日本の治水技術も応用した。洪水にも渇水にも耐える取水堰も作った。

「農地の乾燥・干ばつがアフガンの直面している深刻な問題。水不足が続く限り、食料不足に陥り、収入を求めて傭兵になる」ことの繰り返しが続く。2000年から始まった干ばつは現在も進行中だ。この干ばつの理由は「ズバリ温暖化」だと指摘する。

地球全体についても経済成長に伴って等比級数的に気温が上昇。雪線(万年雪が積もっている部分とそうでない部分の境界)が700~800m上がっているという。

中村医師は会場との質疑応答で、「我々団塊の世代は豊になれば幸せになると思ってやってきたが、そうした時代は終わりつつある。豊かさをGDPで測ってはならない。経済成長することでバラ色の社会を得られる時代は過ぎた」と述べた。

経済成長を追求することで物質的繁栄を得たことも事実だが、半面失うものも多かったのは確かだ。しかし、恐らく、成長を放棄することで得るものも多いだろうが、失うものも少なくないはずだ。

成長を放棄した瞬間から文明の後退が始まるのではないか。成長をやめたから、人類社会が安定するなんてうまいことにはならないのではないか。人類を待っているのは逆にもっと悲惨な結末ではないないのか。そんな気がする。その悲惨な結末の最初の犠牲者はもちろん貧困者だ。

必要なのは「成長か安定か」ではなくて、成長の目標の方向転換なのではないか。それこそ「低炭素社会」「脱炭素社会」実現を目指す新たな成長モデルではないのだろうか。

中村医師が現地代表を務める「ペシャワールの会」(事務局・福岡市)の活動資金はほぼ日本からの寄付金に依存しており、これまでの総額は30億円。チリも積もれば山となった。

市民の声ねりま主催の中村医師講演会は2003年以来、今回が6回目。私は2009年9月19日の講演会に出席した。中村医師の地道な活動を熱い思いで支援する人が会場にいっぱい詰めかけた。年配者も若者も中年も。日本人も捨てたものではないなと思った。