2013年1月 のアーカイブ

『アフガンの男』

カテゴリー: Books

2013/01/28  19:16


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書名:『アフガンの男』(上下)
著者:フレデリック・フォーサイス
出版社:角川書店(2008年5月31日初版発行)

どんな力作でも時間が経てば価値が半減する。半減どころかほとんど値が付かなくなる。上下各1700円で販売されたこの本も4年以上経ったせいかブックオフでは各105円の値札が付いていた。著者からすれば、とても許容できない価格だろう。しかし、これが現実だ。

フォーサイスが最初、ロンドンで出版したのは2006年。日本語訳が出たのはその2年後。それからでも既に4年以上が経過している。単なる文芸書ではなく、史実に基づいたノンフィクション的要素も強いので、時間の経過は致命的だ。

本書はイスラム・テロリストの物語だ。テロを煽動しているのはアルカイダの指導者オサマ・ビンラディンだが、作品の発表された当時はまだ健在だった。しかし2011年5月2日、米海軍特殊部隊の急襲を受け、殺害された。それだけで作品の商品価値は無くなったのも同然かもしれない。

しかし、フォーサイスがこの作品で描いたイスラム社会の姿は死んでいない。それどころか、今も連綿と生き続けている。今年1月16日、日本人10人が犠牲になったアルジェリア東部イナメナスのガス関連施設襲撃事件を引き起こしたのもマリで活動するイスラム武装勢力「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQIM)。どうやら、サハラは「アフガン化」しつつあるようだ。

フォーサイスは下巻所載の解説を書いた作家・真山仁氏に対し、本書の執筆意図について、「イスラム社会の論理を知る上で重要な宗教観について、今回はしっかり書きたかった」と述べたという。「欧米、中でもアメリカ人の多くは、イスラムの人たちを知ろうとすらしていない。そして、誤った先入観に踊らされる。これぞ、悲劇です。まず、正しく理解しなければ、問題の本質は浮かび上がってきません」とも答えたという。

商品としての価値は落ちても、作品としての価値を決めるのは読者がその作品から何を汲み取るかだ。そう考えれば、作品の価値は永遠である。

オンデマンドな生活

カテゴリー: 東京日誌Ⅱ

2013/01/27  19:17


会見する日揮の川名浩一社長(1月26日、ニコニコ動画)

 

映画『幸福の黄色いハンカチ』(ニコニコ動画)

 

情報通信衛星打ち上げ(ニコニコ動画)

 

NHK時代劇『薄桜記』最終回(NHKオンデマンド)

 

実に便利な時代になった。見たいテレビ番組を放映後の自分の見たい時間に何度でも見ることができるからだ。地上波はBS放送で放映された番組はそれが可能だ。有料なのは仕方ないが、オンデマンド配信を利用すれば、自由自在だ。

さらにテレビでは中継しない番組を放送する会社も現れた。you tubeやustreamで配信された動画を自由に見ることができるのはもう当たり前。それに加えて、少しマイナーな番組だってニコニコ動画が配信している。

NHKのオンデマンド配信を利用して昨年末に放映されながら見逃した『薄桜記』最終回を自宅PCで今年になって見た。26日に日揮本社で開かれた、アルジェリア人質事件に関する川名社長会見は翌27日に同じくPCで視聴。本日はニコニコ動画で無料配信中の『幸福の黄色いハンカチ』を見た上、ついでにH2Aロケット22号機(情報収集衛星2基搭載)打ち上げも視聴した。

東京では晴天が続くものの、外は寒い。週末の2日間、外には一歩も出ず、本を読んだり、テレビを見たり、PCで映画を見たり。あっという間に時間が過ぎていく。

 

『メイドインジャパン』

カテゴリー: 映画/テレビ/舞台

2013/01/26  23:10


NHKドラマ「メイドインジャパン」

 

NHKで土曜夜、新しいドラマ『メイドインジャパン』(全3回)が始まった。『ハゲタカ』並みの力作を予感させる。

日経新聞朝刊掲載のTVハイライトによると、「倒産の危機に追い込まれた日本の電機メーカーを再建するため、社内に結成された7人の再建チームの闘いを描いた」作品だ。再建の鍵を握るのがリチウムイオン電池だ。

リチウムイオン電池は米ボーイング社最新鋭中型機B787に搭載され、一連のトラブルで現在運航停止されている。電池本体は日本のジーエス・ユアサコーポレーション社製でもあり、そちらとの関連でも気に掛かる。

リチウムイオン電池は自動車やF35戦闘機などにも搭載されているが、過度に充電すると発火する特性を持つという。それを防ぐ構造になっているはずだが、現実にトラブルを起こした。

電池そのものはメイドインジャパンだが、関連回路は仏タレス社製、補助動力装置(APU)は米ユナイテッド・テクノロジーズ社傘下のUTCアエロスペース社製。トラブル発生後1週間以上経つにもかかわらず、原因不明。事態は深刻だ。

「情報による安全保障」は平和憲法を持つ日本に不可欠

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

2013/01/25  16:32


会見する土屋慶大教授

 

テーマ:サイバーセキュリティーと国際政治
会見者:土屋大洋慶応義塾大学教授
2013年1月25日@日本記者クラブ

 

●「サイバーセキュリティー」は学問としてまだ確立していない。国際スパイ博物館(ワシントンDC)は面白い。。国家安全上、「スパイ」は非常に重要だというメッセージ。2年ほど前に改装され、サイバーウォーのコーナーが新設された。サイバーセキュリティーはスパイと関係があり、それも戦争になりつつあるということを示唆するものだ。「テロ行為は自殺チョッキを着た少数の過激派だけから来るのではなく、コンピューターをほんの少し叩くことからも生じる。これは大量破壊兵器である」(オバマ大統領)

●戦争だという言葉を使いつつも、直接には人は死んでいないが、潜在的にはその可能性があることをオバマ大統領は演説の中で言っている。「ハイテク暗殺者は米国を活動不能にすることができる。一発の銃弾も撃たず、一滴の血も流さずに。キーボードを叩くだけでアメリカに大きなインパクトを与えることができる」(ゲーリー・ハート氏)。

●サイバー攻撃の3形態。1つがDDoS(分散サービス拒否型攻撃=一斉に特定のターゲット目がけてアクセス仕掛ける)。尖閣問題勃発時(10年10月)の中国による攻撃がこれ。日本はネットワークを細くしてうまく対応した。

●日本政府に対するサイバー攻撃は2000年頃から続けられていたが、当初は技術的な問題と捉えられていて、安全保障上の問題として認識されたのは09年の米国へのサイバー攻撃。日本国内のサーバー8台を経由した攻撃に無意識で荷担していた事実が判明したため(09年7月)。平野官房長官の「国家の安全保障上重要な課題」対応発表(09年12月17日)。「国民を守る情報セキュリティー戦略」(10年5月11日)

●2つめはAPT攻撃(標的型電子メール攻撃)。08年に公表されたゴーストネットによるダライラマ攻撃。毎日何百も新種のウイルスソフトが出ており、大半が素通りしてPCに侵入。1週間経てば対策とれるが、最初に出てきたときはどうにもならない。一発では分からない。

●イラン・ナタンズの核施設システムが「スタックスネット」に攻撃され、遠心分離機が誤作動した。攻撃は米・イスラエルの共同作戦であることがNYタイムズ紙のDavid Sanger記者が昨年6月に書いたリーク記事で判明した。オバマ政権がイラン対策をしっかり行っていることを知らせ、再選をもたらすため。同記者は「Confront&conceal」という本も書いている。

●CCC(Cyber-Conventional Combination)。サイバー兵器と通常兵器の組み合わせによる攻撃。シリア核施設に対するイスラエル空爆(08年)。非常に危険。問題は多くの人にとってブラックボックス。

●オバマ政権とサイバーセキュリティー。ブッシュ前政権から引き継ぎ、重要性を認識。「サイバー政策レビュー」(09年5月)、「USCYBERCOM」設置を命令(09年6月)、「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)で重要性強調。キース・アレクサンダーNSA長官が兼務。

●パネッタ米国防長官「サイバー攻撃の集積結果は、サイバー真珠湾になり得る。つまり、物理的な被害と人命の損失を引き起こす攻撃だ」(12年10月12日)と警告。昨年、サウジアラビアのアラムコの3万台のCPがshamoonの攻撃を受け、CPのデータをゴミデータに変えられた。こんなことが一般企業で会ったら大変なことになる。米は30億ドルと桁違いの金額を対策に投入。他省庁と連携。

●同長官「過去2年間、国防総省はアトリビューション問題(誰がやったのか)に対処するため、科学捜査に多大な投資をしてきており、その投資から利益を得るようになってきている。米国を害しようとする行為に責任を持つ者たちを米国は見つけ出し、捕まえる能力があることに潜在的な攻撃者たちは気づいたほうが良い」

●サイバー攻撃対策はNATOのCCDCOE(協同サイバー防衛卓越センター)がマニュアル策定中(13年4月公表予定)。英国の主導で外相レベルのサイバースペース会議(13年秋にはソウルで予定)を開催しているほか、国連GGE、国際電気通信連合(WCIT)など国際社会でも検討中。

●日本の課題は①人材育成②情報共有③法的基盤整備。攻撃しているのは政府機関や軍などではなく、「サイバー傭兵」とか「サイバー民兵」と呼ばれる雇われ者。技術を持っている人は民間にいる。お金をもらえれば、誰でも攻撃するブラックマーケットが形成されている。ギーク(geek オタク)をどっち側(見方側か敵側か)に置いておくのか。ギークをどう取り込むかが課題になる。ネクタイ締めて会社勤めしているタイプではない。社会の中で重要な役割を担うようになってきている。CPやネットワーク無くしてわれわれの生活が成り立たなくなっている。ジョン・カース『ギークス』。

●サイバーの世界ではギークとスーツ(サラリーマン)とユニフォーム(軍)」の間で文化的な対立が起こっている。この3者が連携しないと対策はうまくいかない。これがなかなかできない。ギークを味方に付けないとサイバー戦争に負け続ける。

●情報共有を担っているのはインテリジェンス機関。日本はスパイ防止法もないので、情報をどう守るかも考えないまま情報を共有しようとしている。へたに共有すると漏れていく。米政府も日本とは共有したくないと考えている。特に政治家がぺらぺらしゃべる。これが大きな課題になっている。

●法的基盤整備。自衛隊が出て行くのは武力攻撃があった場合のみ。どこからが武力行使と認められるか、反撃はどこまで、どのような形で許容されるか、抑止できるか、集団的自衛権は機能するのか、集団安全保障は可能か。

●米国はサイバースペースについて、「作戦空間の変化」と捉えている。陸、海、空、宇宙に次ぐ作戦空間。米国はインターネットは人類が共同して守らなければならないグローバル・コモンズとして議論されているが、疑問。相互接続された機器の総体がインターネットとであり、グローバル・コモンズ。領空侵犯と領海侵犯(無害通行権がありあいまい)のアナロジー。

●サイバーセキュリティーは防衛でもあり、攻撃でもあり、情報を絞り取っていくなどを合わせ持ったもの。日本の現行法制下でどこまでできるかを検討していかなければならない。犯罪なのか、戦争なのか、テロなのか。日本はサイバースペースで一番「攻撃」を受けており、この問題に対応していくことが非常に重要だ。情報による安全保障を真剣に考えていくことが必要な時代に入ってきている。

中銀の役割・使命・挑戦

カテゴリー: 会見メモ

  13:53


講演する白川日銀総裁

 

テーマ:「中央銀行の役割、使命、挑戦」
会見者:白川方明日銀総裁
2013年1月25日@日本記者クラブ

アルジェリア・テロ犠牲者ら帰国

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事

  08:05


到着した棺に黙祷する政府・日揮関係者(TBS)

 

人質事件の起こったアルジェリア現地(TBS)

 

アルジェリア・テロ事件の犠牲となった9体の遺体を乗せた政府専用機が今朝7時ごろ、羽田空港に到着した。TBSテレビ「みのもんたの朝ズバッ!」。生存者7人も一緒に帰国した。最後に身元が確認された1遺体は後便で帰国する予定だ。

「地域再生」と「鉄道の進化」に向け限りなき前進=JR東日本

カテゴリー: 会見メモ

2013/01/23  23:02


「グループ経営構想Ⅴ」を語る冨田哲郎JR東日本社長

 

テーマ:「グループ経営構想Ⅴ」~限りなき前進~
会見者:冨田哲郎JR東日本社長
2013年1月23日@日本記者クラブ

国鉄改革によりJR東日本が誕生したのは1987年4月1日。冨田社長(60)が国鉄に入ったのは昭和49年。国鉄マンとして13年間勤務し、民営化されてから26年経つ。鉄道マン人生は39年間。昨年4月から現職。3.11を「第2の出発点」と位置づけ、役割を見直し、何を目指すかについて通算5回目となる経営構想「グループ経営構想Ⅴ」を策定。会見ではメモを見ることなく、鉄道マンとしての考えを熱く語った。

●国鉄改革の目的は鉄道再生と鉄道の復権の2つ。それが「第1の出発点」とすれば、2011年3月11日に起きた東日本大震災は「第2の出発点」だ。大震災による損害は3000億円以上に上るが、こうした数字はこれから回復できる。われわれはマイナス以上の教訓を得た。インフラ企業としての役割、使命を改めて認識し、責任を果たしていきたい。

●「究極の安全」に向けた使命を担っていく。安全は守るものではなく、作り上げるものだ。総額3000億円を投じて耐震補強等を行う。首都直下地震対策:約2360億円(盛土の補強、電化柱の補強・門型化)、東日本大震災を踏まえた対策:約650億円(高架橋柱の耐震補強の拡大・前倒し)、地震観測体制等の強化:約40億円。

●東日本の鉄道収入の7割は首都圏の在来線(JR東海は新幹線が9割)。よって東京圏ネットワークの充実を図りたい。14年度には東北縦貫線が完成し、南北軸が確立できる。中央線等も改善するとともに、直通運転強化により東京メガループの充実を図る。14年度に北陸新幹線金沢開業、15年度に北海道新幹線新函館開業により都市間ネットワークを拡大する。

●沿岸被災線区の復旧、駅を中心とした魅力あるまちづくり、観光流動の銅像により地域との連携を強化し、地域の活性化を推進していく。

柴又帝釈天参詣

カテゴリー: 東京日誌Ⅱ

2013/01/20  17:34


京成線柴又駅前には寅さんの銅像が建っていた

 

草だんごの老舗・とらや

 

いただいた草だんご

 

帝釈天境内

 

あまりにも有名な寅さんの口上

 

気温はそんなに上がらないものの、よく晴れた日が続く。路肩の雪がなかなか溶けない。西部の練馬の自宅から東部にある葛飾・柴又帝釈天に初詣に行った。都心を横断しなくても、都心の外側にも高速道路ができていて、それを走ると30分少しで着いた。便利になったものだ。

帝釈天は日蓮宗の寺院で、正式には題経寺。本来は仏教の守護神の1つを指すらしいが、今は誰もそんなことを気にしない。帝釈天と言えば、即ち柴又帝釈天のことだ。

柴又帝釈天と言えば、車寅次郎こと、フーテンの寅さんのふるさとだ。難しいことは何もない。日本人が愛してやまない人物像だ。参道沿いの茶店で草だんごを食べながらブラブラする。これが楽しい。車でなければ、川魚料理で一杯やりたいものだ。日本の正月はいいものだ。

好奇心は体力に宿る

カテゴリー: 体調/体力/運動/病気

2013/01/18  20:37


エントランスに続く階段もコンセプトカラーの赤

 

退職したのを機会にスポーツクラブも昨年9月末で退会した。10月一杯使えたが、退会を決めると、気分も萎えた。あれからもう3カ月半。年末年始を挟んだ。案の定、体重は急増加。65kg→68kg。

3年掛けて脂落としに精だし、一時的に68kgから62kgまで減らしたのに、文字通りの元の木阿弥。最悪なのは食事に対する抑制意識がどこかに飛んで行ってしまったことだ。今は完全に旺盛な食欲のコントロールを失った格好だ。

検討の上、再度、スポーツクラブに入会することにした。もう昔のように稼げなくなったところに、月額1万円程度のコスト負担は辛いが、老後の最後の拠り所は健康だ。何をやるにも体力・体調と相談しなければならない。体力がなければ、やる気力が湧かない。体調を維持できなければ、やりたいこともやれない。

外に出て、動き回れば、コストも掛かる。かといって、内に閉じこもっていれば、体力・気力は確実に衰え、脳も軟化する。好奇心こそ活力の源泉だ。体力を増強するのはもう無理にしても、せめて維持したい。

入会したスポーツクラブはJR系のジェクサー。南新宿(正確な地名は渋谷区代々木)だが、これまで使っていた東新宿とは丸きり違うエリア。同じ新宿でも広い。エリアが違えば、見る物聞く物も違う。日々、視野に入るエリアは極めて重要だ。それが意識下にすり込まれるからだ。

 

これが現代の予備校だ(1月21日撮す)

 

目の前に聳える超高層ビルは代々木ゼミナールの本部校。代ゼミタワーと呼ぶそうだ。超高層ビルと予備校。2つがすぐに結びつかない。コストはかかるが、新しい発見を楽しめそうだ。

増上寺会葬

カテゴリー: 東京日誌Ⅱ

2013/01/17  22:30


背後に東京タワーを従えた三解脱門

 

年賀状をもらったあとを追い掛けるように親族から訃報が届いたのには本当にびっくりした。元気なことを確認したはずなのに、「どういうことか」と訝るばかりだ。たった数日間の間に一体何があったのか。

仕事でお世話になった氏からはもう30年近く毎年賀状をもらっていた。ビジネス上の感慨を記した文面の最後に必ず、「今年もお世話になります」と手書きの文章が添えられていた。

ところが、今年の賀状には「今年もお世話になります」がなかった。ちょっと奇異に感じたが、それを書くだけの体力がなかったということをあとから知った。

芝・増上寺で行われた故人の通夜式に参列した。都営大江戸線・大門を降りると、大門があり、少し歩くと、増上寺の顔ともいうべき三解脱門がある。東日本最大級の門らしい。増上寺は明徳4年(1393)創建の浄土宗大本山の1つ。平河町付近から現在地に移転してきたのは慶長3年(1598)。上野・寛永寺と並んで徳川家の菩提寺。