2019年1月 のアーカイブ

「イノベーションを生み出すリーダーシップ」

カテゴリー: 科学/技術/イノベーション

2019/01/31  22:15


 

基調講演する森本博行長野県立大学教授

 

第23回高度技術・技能展「おおた工業フェア」が1月31日(木)と2月1日(金)、大田区産業プラザPIOで開かれた。今年のテーマはものづくりのニュースタンダート「熟練×革新」。

大田区はもの作りのメッカで、とりわけ中小企業が集中している。31日の基調講演「ものづくり企業の戦略発想とリーダーシップ」を聴いた。イノベーションを生む出すリーダーシップとは何かについて森本博行長野県立大学グローバルマネジメント学部教授(首都大学東京名誉教授)が語った。

元ソニー幹部の森本氏はエレクトロニクス部門(VAIO、平面ブラウン管テレビ、プレイステーション)の成功で5257億円の連結営業利益を上げた1997年からリーマン・ショックを受けた2008年に2278億円の赤字に転落。その後10年間で再び7349億円の黒字を計上するなど結構浮き沈みの激しい経営を行ったことを紹介した。

森本氏はイノベーションこそが競争優位の根源に当たると指摘。研究開発、技術開発、応用開発(新製品)などの価値の創造が高収益の根幹だったが、1997年以降、ソニーは何もイノベーションを生んでいないと述べた。

またイノベーションは①新しい製品とサービスの創造②新しい生産方式の導入③新しい市場・販路の開拓④原料の新しい供給源の獲得⑤新しい産業組織、独占的地位の形成―であるとシュンペーターの理論を紹介。駅馬車は何台つないでも機関車にはならない。経済社会の発展は起業家(アントレプレナー)によるイノベーションにあると強調した。

新しいイノベーションが生まれると、それに応じて需要創造、生産技術の革新、投資戦略、マーケティング戦略など価値の獲得が必要であるという。

 

晩白柚(ばんぺいゆ)

カテゴリー: 東京日誌Ⅲ

2019/01/28  23:45


 

この大きなやつは何だ?

 

さっぱりした食感だった

 

目の前は皇居

 

日本工業倶楽部のラウンジ

 

久しぶりに友人と三菱クラブで会った。三菱商事ビルの21階。専用エレベーターがある。仕事を通して知り合ったが、付き合いの長さは30年。今は個人レベルの友人となっている。同い年なのもいい。彼はクラブに入れる人(入れるだけの地位のある人)、私は彼の客である。

四方山話にした包みを打ちつつ、当クラブ名物の天丼をいただいた。エビが3本入っていて米と絡んで実においしかった。

食後のデザートとして選んだのがこの巨大な果実。原産地は東南アジアだが、日本では熊本県八代地方の特産だという。昔修学旅行生が必ず買ったザボン漬けだ。

晩白柚は「ばんぺいゆ」と呼ぶ。晩は晩生、白は果肉の色、柚は中国語でザボンの意。ミカン科の小高木だ。ザボンの一種。

果実は大きく、最大直径25センチ、重さ4キロにもなるという。果皮は薄い黄緑色、小袋に包まれた実は薄い酸味があり甘い。香りが良く、日持ちがする。収穫期は冬。2005年に八代市で収穫された重さ4858gの晩白柚は、ミカン科で世界最大の果実としてギネス認定されている。

三菱クラブから少し歩いたところにあるのが日本工業倶楽部(丸の内1)。2階にラウンジがあって格調高い部屋でお茶を飲める。

奥さんへのお土産として手渡されたのが丸の内マドレーヌ。屋上で採蜜されたハチミツをふんだんに使用し、倶楽部パティスリーで丁寧に作っているという。

更地

カテゴリー: 東京日誌Ⅲ

2019/01/26  17:54


 

壊すのは一瞬

 

あっという間に更地になった

 

家の取り壊しの連絡があったのは今年に入って間もなくだった。われわれが家を建てた20年前には建っていた。築50年くらいはあったと思う。

その家には老夫婦が住んでいた。その老夫婦がいつの間にか夫人だけとなり、子どもが介護をする姿が見受けられた。介護用のワゴン車も留まっていたことを思い出す。

そのうちに夫人が亡くなった。お葬式がその家から出たという記憶はない。いつの間にかいなくなった。今度その家に現れたのはサーファー姿の若者だった。若者はどういうわけか小型車で週末に帰ってきて、いつもサーファーの着る水着が干されていた。日曜日にはまたどこかへ行く。不思議な家だった。

その若者もいなくなった。そして今度は家が取り壊され、あっという間に更地になった。事情通によると、その家は地元の旧家の持ち物。老夫婦に貸してあったという。夫人が亡くなり、地主が家屋の返却を求めた。最終的に持ち主が処分したらしい。

取り壊してみると、今ならば2軒が立つ広さだった。そのうち建築が始まるのだろう。我々の家も旧家の土地。主人がなくなり、相続税対策で3軒が売りに出された。わが家もそのうちの一軒だ。

最寄り駅まで徒歩15分。途中は畑が多かった。当時はどこも売りに出さず、売りに出たのも駅から15分の小学校裏手だった。それが相続税対策で事情が変わった。軒並み建て売り住宅やマンションが建ち並んだ。自分が死んだら売ると言っていた旧家はマンションになった。

私の家もいつまであるのだろうか。子どもたちはそれぞれ独立し、2人は自分たちの家を構えている。1人は海外在住だ。1人に譲渡するわけにはいかない。不動産は分けにくい。取り壊して換金化するしかない。

あと10年もすれば、相続のために角の家のような更地になっているかもしれない。そんなことを思った。

『エルネオス会』

カテゴリー: 東京日誌Ⅲ, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会

2019/01/25  23:46


 

今年92歳の石原信雄元内閣官房副長官

 

グッドバンカーの筑紫みずえ社長

 

ビジネス月刊誌『エルネオス』の新年懇親会が1月25日(金)夜、如水会館(千代田区一ツ橋)で開かれた。私も匿名ながら書いているので出席した。声がかかる以上、基本的に出席するようにしている。

あいさつしたのは財団法人地方自治研究機構の石原信雄氏。群馬県生まれ。地方自治研究機構会長。元自治省次官。1987年から95年(平成7)に退官するまで竹下内閣から村山内閣まで7つの内閣で官房副長官(事務方)を務めた。

石原氏はあいさつで、「平成という時代は自然災害が多かったが、国を挙げて経済の発展に取り組んできた。戦争がなかったことでも特記できるという印象を持っている」と述べた。

また読者の1人としてESG(環境・社会・企業統治)投資を推奨しているグッドバンカーの筑紫みずえ社長は「いろんな雑誌を読んでいる。批判精神に富む雑誌が多い中でエルネオスは批判の中にも記事に温かみがある」とし、単なる批判一辺倒ではない点を評価した。

筑紫氏はSRI(Socially Responsible Investment=社会的責任投資)の普及に情熱を燃やしている社長。1998年に女性有志による金融サービス会社を設立、その普及に情熱を傾けているという。

ところで石原氏は「お尻から脚にかけての痛み」に苦しんだ「座骨神経痛」患者の1人。数年間、苦しみ抜いた末に、福井康之先生と出会い、痛みをなくすために手術を決断した。『お尻から脚が痛い』(座骨神経痛の治療法)を日本法制学会から出している。

パーティーのさなかだったが、つい嬉しくて氏と座骨神経痛が典型的に出る「脊柱管狭窄症」について情報共有した。思いがけないところで思いがけない人にあったものだ。

パーティーは意外なところで意外な人と会えるのが面白い。他にもPR会社社長、文芸評論家、大学教授、化学会社広報担当者などと話をした。同じ業界関係者としか話しをしない人も多いが、あえてそれをしない覚悟をずっと貫いてきた。そういう中から生まれるものもあるのではないか。

『エルネオス会』については2016年1月25日にも書いている。

カラカラ天気

カテゴリー: 花/木/樹

  11:51


 

わが家の庭に咲いた今年初の梅一輪の花

 

首都圏で雨の降らない日が続き、乾燥状態となっている。都内の「無降水日」は24日までで12日連続。空気が乾燥し、幼稚園・保育園や小学校などでは学級閉鎖が相次いでいる。子どもがかかり、それに親がうつる。親が治ったと思ったら、別の子どもがかかるといった具合だ。

カラカラ天気が続くのは大陸に高気圧、日本の東に低気圧がある冬型の「西高東低」のため。「冬型の気圧配置になると大陸からの冷たい北西の風が暖かい日本海を渡り、水蒸気の供給を受けて雲が発達し日本海側の各地に雪を降らせる。その後、山越えの乾いた気流となって関東平野などに吹き降り乾燥した晴天をもたらす」(日経1月24日夕刊)という。

気象庁がまとめた東京の1月の降水量は1940年の0.0ミリが過去最少。2位は63年の0.2ミリ。3位は76年の0.5ミリ。今年1月は24日までで合計0.5ミリ。

このまま月末までまとまった雨や雪がなければ、43年ぶりの少雨記録となる。

そんな中、わが家の庭で梅が一輪咲いた。初孫の誕生を記念して植樹した枝垂れ梅だ。その孫も4月には小学4年生となる。毎年咲く「梅一輪」を眺めながら、自分の老後を感じる。

 

元旦に活けた桜が今満開を迎えている

『夜去り川』

カテゴリー: Books

2019/01/24  23:41


 

やはりシミタツ節が冴えている!

 

作品名:『夜去り川』(よさりがわ)
著者:志水辰夫
出版社:文芸春秋(2011年7月30日第1刷発行)

 

現代小説でデビューした志水辰夫がいつの間にか時代小説作家に変わっていた。『青に候』『みのたけの春』『つばくろ越え』などを発表。書き下ろしの『夜去り川』は長編3作目だという。

時代小説SHOW」によると、「主人公の檜山喜平次は27歳の若者。武士としての身分を隠して、渡良瀬川のほとりの村で渡し守をしている。よそ者の彼がなぜ武士としての体裁を捨てて、村民のために尽くす渡し守をしているのか、物語が進むにしたがって、その謎は明らかになっていく」。

志水の作品は主人公が何者かも知らせず、場所も地方であることが少なくない。全体がすぐに読み取れないので疲れていると読み続けるのが苦痛になる。

そこを我慢して読み進めていると、その辺が少しずつ分かってきて、その分かりようが逆に面白く、嬉しくなってくる。その醍醐味がこたえられなくて読み続けることになる。厄介な物書きだ。

舞台は上野(こうずけ)の桐生に近い渡良瀬川沿いの黒沢村と妙見村。別称上州。時代は黒船が来航した年。喜平次も黒船を見て衝撃を受け、渡し守に身を落とし、自分を見つめ直す機会を得ることができた。

新しい時代に向けて社会が大きく変わろうとしているときだ。黒船が喜平次に与えた衝撃は大きかった。

「小さな家中の剣術指南となることを、双六の上がりとしていた自分の有り様がいかに貧弱で、取るに足りないものか、どう取り繕ってみたところで意味があるとは思えなかった。骨の髄まで打ちのめされて、浦賀を離れたのである」

「あの日を境にしたもの、しようとしていたもの、しなければならないと思い込んでいたもの、それが朝露さながら、目に見えて立ち昇りながら消えてしまった。いまここに残っているわが身は抜け殻にすぎない」

正之助少年とその母親すみえ、祖母のいちの春日屋ファミリーと、喜平次の交流もいい。「かかあ天下」の起こりも上州。女の気性がすばらしい。

喜平次は物語の最後に、上州の村で、遠州浪人比島藤兵衛51歳と息子の小次郎29歳を頭目とする押し込み強盗団を討ち果たす。ハードボイルド小説を彷彿とさせるアクションシーンにしびれるのは私だ。志水ワールドを期待した読者にはたまらない。

 

テラヘルツ研究は何ができるか

カテゴリー: 科学/技術/イノベーション

2019/01/23  22:52


 

テラヘルツ電磁波について話す平川一彦東大生産技術研教授

 

国立情報学研究所(千代田区一ツ橋)の市民講座「情報学最前線」の5回目が23日、学術総合センターで開催された。同研量子情報国際研究センターのメンバーで東京大学生産技術研究所教授の平川一彦氏が「テラヘルツ電磁波の新展開―遠赤外線はコーヒー豆を煎るだけではない―」と題して講演した。

 

・テラヘルツ電磁波はほとんどなじみのない単語だ。ちらほら出始めたのは20年くらい前。しかし今も未開発の電磁波といわれている。この20年くらいでどういうことができるようになったのか、これから先どういうところに進んでいく可能性があるか。

・テラは10の12乗を表す接頭語。すなわち1兆。ヘルツは周波数の単位。テラヘルツは10の12乗ヘルツを意味する。電磁波とは電波や光を包含する広い概念だ。

・これまでエレクトロニクスであまり使われてこなかった100ghzで、上は100テラヘルツ(thz)以下の間。昔は遠赤外線とかサブミリ波と呼ばれていた。何となく新しい感じがするが、もともとある電磁波の領域だ。

・遠赤外線と聞かれてピンとくるのはコーヒーの焙煎。炭火には遠赤外線効果により食物の成分、性質を壊さずに、芯までじっくりと焼き上げる特性がある。

・もう一つは石焼き芋。熱せられた石から放射される遠赤外線(黒体輻射)で芋が焼ける。めらめら炎を焼かれているわけではなく、熱くなった石の上に芋が置かれている。石から遠赤外線が出ていて、それが芋の表面で吸収されて焼ける。

・水による遠赤外線の吸収は非常に大きく、表面から100ミクロン(0.1ミリ)程度の深さにまでしか遠赤外線は入っていかない。表面の薄皮1枚しか焼けない。ほっこり焼けるのは複雑な物理がある。熱伝導を繰り返しながら中まで焼ける。奥が深い。

・コーヒーと石焼き芋しか応用がない。それはテラヘルツが半導体が最も苦手とする周波数帯になっているから。

・マイクロ波は携帯電話で使っている周波数。トランジスターというすぐれたデバイスがある。半導体が得意としている。これをどんどん早くしていけばテラヘルツにいくじゃないかというが、これはなかなか難しい。

・光デバイスは半導体レーザー、光通信などが密に使われている。これをもっと低い周波数に行けばいいじゃないか。これも難しい。

・テラヘルツ電磁波はプロの研究者というかそれを仕事にしている研究者やお宅っぽい「特殊な電磁波」と考えられてきたが、もっと多くの人が恩恵を受ける「普通の電磁波」にもっていけないかという研究がこの20年くらい進められている。

・テラヘルツ電磁波の特徴。テラヘルツの周波数を持っている。波が振動する時間が非常に早い時間で振動する。波長が長く、透過性がある。光の粒の電磁波が持っている小さな光子エネルギーを持っている。

・物質固有の吸収。糖尿病の分子構造。

・「早い」ことを利用して通信への応用が考えられている。有線や無線通信には向かない。大気の中で吸収されるために減衰する。これを生かして行っているのが情報キオスク。駅の改札でスイカ、パスモを使っているが、その1秒の時間を使って映画1本くらいの情報をダウンロードできる超近距離高速データ通信を可能にする研究がどんどん進んでいる。

・衣服などを通して見ることができる。両手を挙げて壁が一周する保安検査が行われている。テラヘルツの電磁波を使ってイメージングを行っている。衣服の下に何かを隠していればそれが上から見える。

・黒体輻射。宇宙の中では光が満ち満ちている。宇宙に存在する光子の98%はわれわれの目には見えないテラヘルツ領域のものだ。宇宙物理の研究や波長の短い暗視装置を作れる。身体の出す黒体輻射を像にすると人の存在を指摘できるし、災害現場でサーモグラフィーを使って体温があるかどうかを判断する。災害救助にも使える。

・乳がんの検査もテラヘルツで可能。がんの部分は細胞が増殖中で、そこだけ体温が高い。熱の分布を見ることでここががんかもしれないと分かることが最近知られている。

・今後30年、40年でどんな進展があるか。応用物理学会で調べた。エレクトロニクスの王道だと思う情報通信に加え、セキュリティー応用、物質科学・創薬、生体・医療、農業・工業、エネルギー・環境・宇宙・・など。

・いままでエレクトロニクスがそれほど得意としてこなかったところをカバーできる可能性を秘めている。テラヘルツはこれまでエレクトロニクスが守備範囲としてこなかった分野をカバーする新しい可能性を持っている。

硬膜外ブロック注射

カテゴリー: 体調/体力/運動/病気

2019/01/22  23:12


 

牧田総合病院蒲田分院

 

最初に脊柱管狭窄症を発症したのは2013年9月だった。左足先までの強いしびれとお尻の重い痛みが一緒だった。5分か10分も歩くと歩けなくなりストップ。少し休憩するとまた歩ける間欠性跛行が目立った。

会社近くにあった銀座医院に行った。病状を訴えると脊柱管狭窄症と診断され、MRIも撮った。けん引など理学療法によるリハビリを行ったが、痛みはそれほど強くなくなり、自然と軽快となった。

しばらくは痛みやしびれと無縁の生活が続いた。この脊柱管狭窄症が再発したと気づいたのは17年11月だった。症状も4年前とそっくり。診断を仰いでも同じだし、病院に行くのをグズグズしていたが、やはり「行くべし」と決断し、18年3月に他の病気(潰瘍性大腸炎、不整脈、糖尿病)でもかかっている東京山手メディカルセンター(新宿区百人町)に行った。同じ病院でのデータ共有の重要性を知ったからだ。同じ病院なら診療科が違ってもデータを誰でも見られる。

東京山手メディカルセンター(旧社会保険中央総合病院)を含む全国の社会保険病院や厚生年金病院、船員保険病院などは14年4月に独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が直接運営する病院グループの一員。特に肛門科が有名で、私もここで潰瘍性大腸炎の手術を受けた。

東京山手では18年3月、脊椎脊髄外科を受診。1年間で3人目となる医師はMRIの画像を見ながら、「腰が悪いのは確か。かなり悪いが、この程度で症状が出ない人もいる」と述べ、「手術をしたいかしたくないかは患者次第」と答えた。要は自分が困っていれば、手術をしてほしいと本人が言ってくるからだろう。

生活に困難を感じてくれば、手術をしてほしいと行ってくるはずだ。しかし、手術である。しかも神経をいじるのだ。恐ろしいと思い出したら足がすくむ。その見極めが付かなくて患者は迷っているはずだ。時間ばかりが経っていく。

私も迷っていたが、きょう、「いろんな医師の意見を聞いたほうがよい」とセカンドオピニンを求めて牧田総合病院蒲田分院(大田区西蒲田4)の福井康之医師の診察を受けた。同医師は国際医療福祉大学三田病院(旧東京専売病院)の元副院長・脊椎脊髄センター長、同大学塩谷病院(栃木県矢板市)院長。

医師・病院と患者をつなぐ医療検索サイト「メディカルノート」によると、福井医師は慶応大学を卒業後、米バーモント大学、San Diego Center for Spinal Disorders(サンディエゴ脊髄障害センター)などの海外留学も経験。豊富な脊椎手術経験を持つ腰痛・座骨神経痛の名医。「手術して治すのではなく、治る患者様を手術する」をモットーとし、正確な診断と分かりやすい説明で定評があり、患者の信頼も厚いという。著名な患者に石原信雄元官房副長官やみのもんた氏などがいる。

 

診察終了後につい庶民の街・蒲田のグランデュオ蒲田でコスパの極端に悪いスイーツを食べてしまった(モンブランのタルト=ラ・メゾン アンソレイユターブル蒲田店)

 

会社の元同僚の紹介で福井医師の診察を受けた。福井医師は明快だった。触診とMRI、レントゲン画像を、それを元に説明した。「腰痛ではない。加齢現象により脊椎が変形した結果、神経の通り道である脊柱管が狭くなり、中を通る神経が圧迫されて痛みを生じる疾患だ」と指摘した。

1年前に東京山手で撮ったMRIと比較し、1年間で病状は進化した。症状としては末梢神経の中で最大の座骨神経(お尻から太ももの後ろ側を通り、ふくらはぎ・足先に至る神経)に沿った痛みが座骨神経痛として表れる。座骨神経痛を訴える患者の90%以上を占めるのが「椎間板ヘルニア」と「腰部脊柱管狭窄症」の2つ。症状は似ているが、狭窄症はしばらく歩くと足が痛くなって歩けなくなり、前屈みで休むと痛みが和らいで再び歩けるようになる「間欠性跛行」という症状が特徴だ。

 

『座骨神経痛』の治療法(財団法人 日本法制学会2003年7月第1刷発行)

 

私の場合は典型的な脊柱管狭窄症。一度狭くなった脊柱管が自然に広くなることはありえず、加齢による変形の進行もあり、自然治癒が期待できないため、根本的な解決には、神経を圧迫している狭窄状態を手術的に取り除く以外方法はないという。

座骨神経に座骨神経痛が出ている個所を特定できた。あとは手術の効果だ。「手術では狭窄を解除し神経を除圧することはできますが、傷ついた神経を直接治すことはできません。従って、手術の効果は手術前にどれだけ神経が傷ついていたか、その程度と術後の回復力に依存します。一般に神経の回復力は、罹病期間と年齢に反比例します(病気の期間が長く、高齢者ほど回復力は劣ります)」(座骨神経痛の治療法『お尻から脚が痛い』103ページ「手術承諾書」)。

硬膜外ブロック(仙骨裂孔硬膜外ブロック)注射を打った。脊髄を包んでいる膜を硬膜といい、硬膜の外側の空間は硬膜外腔(こうまくがいくう)という。診察室で行える神経ブロックの1つで、硬膜外腔に下(尾骨部)から上(腰椎部)へ向けて局所麻酔薬とステロイド薬液を注入。一時的に交感神経や知覚神経を抑制することにより、血行障害を改善したり、疼痛を緩和する治療法だ。

その場ですぐにやってくれた。時間もそんなにかからない。効くか効かないか個人差が大きい。私には効かなそうだが、何でもチャレンジである。

福井医師の診察は簡潔、明快だった。これだけはっきりと説明できるのは自信のある証拠だろう。「名医」と呼ばれるのもあながちウソでないかもしれないと思い始めた。

『ドローン情報戦』

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事

2019/01/21  21:46


 

 

作品名:アメリカ特殊部隊の無人機戦略最前線『ドローン情報戦』
著者:ブレット・ヴェリコヴィッチ
クリストファー・S・スチュワート
訳者:北川蒼(きたがわそう)

 

著者のヴェリコヴィッチ氏は10年以上にわたってテロ対策と情報分析活動に従事した軍用ドローンのエクスパート。アメリカ陸軍特殊部隊(DELTA)のドローン技術者・情報分析官として、アフガニスタンやイラクなど対テロ戦争の最前線で活躍。多くの戦功をあげブロンズスター・メダルや戦闘行動バッジを授与された。またデューク大学でMBAを取得。除隊後はドローンによる東アフリカでの野生動物保護など活動の幅を広げている。

本書は世界的なドローン戦士とピュリッツァー賞ジャーーナリストによる「もっともリアルな戦場と心情」と帯にはセンセーショナルに書かれているものの、当局による様々な表現規制もあって期待通りの面白さは味わえない。

そこをうまく表現するのがプロの世界だが、ピュリッツァー賞ジャーナリストも難しかったのかもしれない。少なくても私にはそれほどリアルではなかった。訳者の力量も響いているのかもしれない。

最も生々しい現実は文字では表せないのかもしれない。「パラマウント映画化取得」とあるので映像化に期待したい。

ヴェリコヴィッチ氏によると、彼が陸軍に入隊したころ、ドローンはまだ珍しい存在だった。ドローン1機を使えるだけでも貴重な経験なので、イラク侵攻後のサダム・フセイン追討作戦中は、どの部隊も索敵用に無人機(プレデター)の使用許可を得ようと争奪戦を繰り広げたという。

同作戦から約10年後にヴェリコヴィッチ氏が陸軍を除隊するころには、自分たちのチームだけで3機のプレデターを指揮し、3機が別々の高度から異なる角度で攻撃対象を監視していた。ドローンはすべてを見張り、決して眠らない。

戦争の仕方がドローンの出現ですっかり変わったのだ。同氏より前の時代の戦争においては、航空支援とは、基本的に援護射撃と空爆を意味した。歩兵部隊は長期の野戦任務を手探りで行い、航空戦力が敵の抵抗力を弱めてくれるよう祈った。市街戦では、建物の角を曲がった先に、扉の向こうに、覗いた窓の中に何があるのか、ほとんど見当がつかないまま活動していた。

しかし、現在は、特殊部隊において任務中には常にドローンが上空にいる。それだけ有用な兵器なのだ。海外でのあらゆる作戦行動、イエメンでの海軍特殊部隊ネイビー・シールズによる急襲、シリアでの人質救出作戦、ソマリアでのテロリスト拘束作戦などでは、必ずドローンの支援があると考えていい。準備作戦段階から作戦遂行中、そして後始末にいたるまで、すべてにドローンがかかわっている。

彼の部隊はテロとの戦いの最前線にある「ボックス」で活動していた。ハイテク・スパイであり、その任務は戦争がどれほど進化したかを物語っている。

試写会「フロントランナー」

カテゴリー: 映画/テレビ/舞台

2019/01/15  23:56


 

 

作品名:フロントランナー
脚本:マット・バイ、ジェイ・カーソン、ジェイソン・ライトマン
監督:ジェイソン・ライトマン
原作:マット・バイ「All the Truth is out」
キャスト:ヒュー・ジャックマン(ゲイリー・ハート)
ヴェラ・ファーミガ(妻リー・ハート)
J・K・シモンズ(選挙参謀ビル・ディクソン)
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
2019年1月15日@ソニー・ピクチャーズ試写室(虎ノ門タワーズオフィス)
2月1日全国ロードショー

 

1988年のアメリカ大統領選挙。コロラド州選出の上院議員ゲイリー・ハートは46歳。若くてハンサム、カリスマ性にあふれ、ジョン・F・ケネディ大統領の再来と言われ、大統領選挙の最有力候補(フロントランナー)に躍り出た。

しかし、マイアミ・ヘラルド紙が掴んだ不倫スキャンダルによって失脚を余儀なくされ、このスキャンダルがターニングポイントとなり、政治家は「政策よりも人柄」を重視する価値観に変わっていった。

『フロントランナー』の原作は、ニューヨーク・タイムズ紙の政治部チーフを経て、現在はヤフーニュースで政治コラムを担当するマット・バイ氏のノンフィクション『All the Truth Is Out』。

この本の中でバイは、このスキャンダルが一人の政治家の単なる転落劇というだけにとどまらず、アメリカがどのような形で大統領を選出するようになったのか、アメリカの価値の基盤がどのように変化したのかを指摘している。