作品:『あん』(2015年日本映画)
監督:河瀬直美
主演:樹木希林/永瀬正敏/内田伽羅/市原悦子
「小さなどら焼き屋の雇われ店長となった千太郎の店に、求人の張り紙を見て1人の老女が現れる。彼女が作る美味しい粒あんが評判を呼んで店はみるみる繁盛していくが・・・」
「ハンセン病を経験した老女とワケあり店長や常連客との交流を通して生きることの意味を問いかける!」(ギンレイ通信Vol.180)
カテゴリー: 東京日誌Ⅲ
20:03
国立研究開発法人「科学技術振興機構(JST)」研究開発戦略センター(CRDS)の取材が終わったあとは特に予定がなかった。天気も良かったので市ヶ谷から飯田橋に向かってぶらぶら歩きをした。
桜もいよいよ満開。日本はどこに行ってもこの季節は花見だ。花の下でじっくり宴会をやるのも一興だが、ぶらぶらと「ながら花見」も悪くない。どこにいても、花見ができる。
市ヶ谷駅からお堀に沿って飯田橋方面に向けて歩いた。「外堀公園」の名前が付いていた。飯田橋駅から四ツ谷駅にかけては旧江戸城の外堀が今も残っている。いつもは外堀通りを歩いているので、めったにこの公園は通らない。
ちょうど真ん中あたりに新見附橋がお堀をまたいで架かっている。そこから来た道を振り返る。中央線の電車と相まってなかなかの写真スポットだ。
振り向いて飯田橋方面を見ると、見事な眺めだった。川面に垂れ下がって乱れ咲く桜とお堀の水面のコントラストが美しい。
外堀通りからお堀を見下ろすとボートが何艘か浮かんでいた。今はただ乗っているだけの少年もしばらくすれば、立派な漕ぎ手になっていることだろう。一緒に乗っているのはもう母親ではないかもしれない。
神楽坂下には東京水上倶楽部の営業する「CANAL CAFE」が営業している。創業1915年。東京で最も古いボート場だ。カフェは行列ができていた。
カテゴリー: 体調/体力/運動/病気, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会
2016/03/30 23:46
「早期前立腺がんの診断と治療」と題した第105回市民公開講座が東京医科大学病院(新宿区西新宿)で開催された。講師は同大学病院泌尿器科教授で、前立腺センター長兼ロボット手術支援センター長の大堀理(おおほり・まこと)氏。
東京医科大学病院にはこれまで縁がなかった。最寄り駅は都営大江戸線西新宿5丁目駅で、高層ビル群のど真ん中にあった。行って見ると、大病院だった。今年は創立100周年に当たるらしい。
前立腺は男しかない臓器だが、これまでどこにあるのかはっきりとは知らなかった。前立腺は骨盤の一番奥深いところに位置し、前は恥骨、上は膀胱、後ろは直腸、横は筋肉に囲まれている。問題は前立腺の中に尿道と射精管が通っており、それぞれ膀胱と精嚢につながっていることだ。
そのためか、前立腺の仕事は尿と精液と関係している。仕事は主に3つ。
・精液の一部(前立腺液)を作る⇦精巣(睾丸)で作られた精子は、精嚢が分泌する精嚢液と混ざり、さらに前立腺液と混ざって精液となる。
・射精を助ける
・尿を保持する
「人生50年」時代は特に問題が起きることもほとんどなかった。しかし、今や「人生80年」時代を迎えている。やはり長く使っていると、くたびれていろいろ問題が出てくる。前立腺がんや前立腺肥大症、前立腺炎などがそうだ。
「前立腺は思春期を迎えることから発達し、男性ホルモンの分泌により刺激されると前立腺液を生産することになる。・・・前立腺の性機能や排尿機能は、加齢とともに変化していきます。例えば、年齢とともに生殖能力が必要でなくなるために、前立腺は萎縮するか肥大するかの二者択一の道を選びます。かつて、日本人男性のほとんどは萎縮の道をたどっていましたが、現在では肥大の経過をたどっている人のほうが圧倒的に多く、80歳までに80%の男性が前立腺肥大症に罹患するといわれています。これは、食生活の欧米化や生活環境の変化などが影響していると考えられています」(『前立腺がんは「ロボット手術」で完治を目指す!』大堀理著、清月社)
成長期に前立腺が大きくなることは男性ホルモンの影響であることは知られているが、男性ホルモンの低下が始まる50歳頃から前立腺が徐々に肥大するのは、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスの変化が原因ではないかと考えられている。
よって、「前立腺肥大症は、男性であれば誰にでも訪れるいわば老化現象の1つ―目が見えにくくなったり、耳が聞こえにくくなったり、髪の毛が薄くなったりするのと同じ現象ということができる」(同書)。症状があっても極めて軽度で、日常生活に不便がなければ治療の必要はないという。
講座に出たのはジャーナリスト的に関心があったこともさることながら、前立腺肥大の症状が自分に出てきているためだ。尿が出にくくなる「排尿症状」、尿を溜められなくなる「蓄尿症状」、尿を出した後に出現する「排尿後症状」のうち、蓄尿症状が現れている。
・昼間トイレが近い(昼間頻尿)
・尿をがまんできない(尿意切迫感)
・夜中トイレが近い(夜間頻尿)
前立腺の肥大がかなり進み、膀胱排尿筋の収縮作用では尿の排泄ができなくなってくると、残尿が非常に多くなり、溢流性尿失禁が見られ、こうした状態が続くと、尿が腎臓にまで溜まって、腎機能障害を起こすという。
少し心配していたのは、前立腺肥大症と前立腺がんとの関係だったが、「合併することがありますが、前立腺肥大症が進行してがんになることはありません。症状は似ていますが、前立腺肥大症は尿道を取り巻く内腺に発症し、前立腺がんは主に外腺に発症します」(同書)だったので安心した。
この日のテーマは「早期前立腺がん」の診断と治療。とりわけ、治療方法だ。進行度などの状況に応じて放射線治療、内分泌治療、経過観察などを選択することになるが、最近注目されている手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使う腹腔鏡下手術(ロボット手術)だ。
「サージャンコンソール」には手術をする医師(術者)が座り、遠隔操作で特殊な鉗子を操作する。中央の「ペーシェントカート」は実際に患者に鉗子を入れるロボットアームが付いた器械と助手、右の「ビジョンカート」はロボットの光りやガスの量などをコントロールする頭脳の部分
ダヴィンチは米Intuitive Surgical社が開発したロボットで、1999年にヨーロッパで、2000年には米国で医療機器としての使用が認可された。日本では09年に認可され、12年には前立腺がんに対する手術のみが保険適用対象となった。
東京医科大学は06年に日本で初めてダヴィンチを使った前立腺がんロボット手術を行った。実績は既に1500例以上に達し、13年の1年間では実施した全摘除術計326例のうち、ロボット手術が322例を占めた。
最大のメリットは患者なの負担が少ないこと。お腹に6個の穴を開けるだけで、出血が少なく、痛みも開腹手術の1割か2割程度で、重症感もあまりないという。
ダヴィンチは1台3億円。大堀教授によると、既に元は取れたという。現在、日本で導入されているダヴィンチ(タイプS、SiやXi)の数は200台を超え、米国に次いで世界第2位だとか。ロボットの進出はめざましい。
それにしても悩める市民は多いものだ。会場の本館6階臨床講堂(320人収容)はほぼ満席だった。終了後も多くの市民が先生を取り巻き、相談を受けていた。切実な問題を抱えている人たちだった。
2016/03/29 21:51
予定がなかったので、自宅勤務。自分の部屋で原稿を書いていたが、はやり午後になると、お尻がムズムズしてきた。行き先は光が丘公園しかない。大阪に引っ越す2男ファミリーの最後の夕食会にきていた孫たちと母親をクルマに乗せて出掛けた。
5歳が1人と3歳が4人。それにしてもパワフル極まりない。こちらの体力低下の甚だしさを思い知らされるばかりだ。日々成長する子どもたちと、日々退化する老人たちのギャップは広がるばかり。
そんなことを感じながら,空を見上げると桜の花が華やかに咲いている。これが桜だとやっと覚えたばかりの子どもたちと、あと何回桜を見ることができるのだろうかと感慨にふける老人。人生はリアルだ。
カテゴリー: 東京日誌Ⅲ
2016/03/26 21:14
2男が大阪に転勤することになり、3男ファミリーと一緒に送別会をした。最初はこの公園で花見宴会をしようと思ったが、煮炊きはできないことや晴れてくれるかどうかはっきりしなかったこともあって、芸はないが、結局、自宅近くの桃太郎寿し別館の座敷に落ち着いた。
2男ファミリー4人と3男ファミリー5人にわれわれ夫婦が加わって総勢11人。それなりの部隊だ。曇り空の上、気温も上がらないとの予報が出ていたが、どういうわけか、しっかり晴れて、気温も上昇。花見日和となった。
ただ、肝心の桜はまだ3分咲きくらいで物足りなかったが、晴れてくれただけでも感謝しなくてはなるまい。
2男ファミリーは結局、2年前に東京に転勤する前に住んでいたマンションに再度入ることになった。同じ部屋ではないが、それでも同じ建物というのも面白い。会社都合の転勤というのもあちこちでいろんなドラマを作っていることだろう。
カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 農業/農地/農政
2016/03/24 23:32
市民キャビネット農都地域部会の遺伝子組み換えシンポジウム「遺伝子組み換えの現状と未来を考える」に参加した。遺伝子組み換え(genetically-modified=GM)の実態がよく分からないまま、今やあらゆる作物にGM技術が導入され、GM食物は日々われわれの口に入っている。
知って食べるのと、知らないで食べるのとは全く違う。知らないで食べるのはまずい。関係者の話を聞きながら考えて見たいと思ってシンポに参加した。
「73億人を超えた世界の人口は、毎年7000万人も増え続けています。この食糧生産手段の1つに、GM作物があり、その生産開始後わずか20年で、米国ではトウモロコシ生産の93%、大豆の94%を占め、世界28カ国で栽培されています。日本は、世界一のGM作物の輸入大国で、家畜飼料や食用油、でんぷん、果糖ブドウ糖液糖などの加工に用いられています」(シンポちらし)
この日の講師は農業生物資源研究所遺伝子組換え研究推進室の田部井豊氏。国立研究開発法人で、GM推進の立場だ。この日もGM技術を活用した品種改良について説明した。既に実用化されている農産物は以下の通りだ。
1.日持ち性を改良したトマト
2.除草剤耐性ダイズ
3.害虫抵抗性トウモロコシ
4.除草剤耐性ナタネ
5.害虫抵抗性ワタ
6.害虫抵抗性およびウイルス抵抗性ポテト
7.ウイルス抵抗性パパイア
8.除草剤耐性テンサイ
9.除草剤耐性アルファルファ
問題はGM農産物に対する安全性評価だが、生物多様性影響評価(カルタヘナ法)、食品としての安全性(食品衛生法)、飼料としての安全性(飼料安全法)の3つのレベルで評価されている。
一方、GM食品の危険性を主張したのはルナ・オーガニック・インスティテュートを主宰している安田美絵氏。指摘したのは残留農薬の害とBt毒素(バチルス・チューリンゲンシスという土壌微生物が作り出すたんぱく質)の害などだ。
GM作物は米農薬大手のモンサント社の除草剤「ラウンドアップ」が大量に使われて栽培されている。その結果、農産物に農薬が大量に残留する。ラウンドアップの主成分グリフォサートは出生異常を引き起こすことをブエノスアイレス医科大学の科学者チームが実験で確認した。
また、2015年3月には世界保健機構(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)がグリフォサートを5段階分類で上から2番目にリスクが高く、「人に対する発がん性が恐らくある」ことを示す「2A」にランク付けた.事実上「発がん性物質」と認定したのも同然だ、という。
それなのに、モンサントは残留基準値の引き上げを政府に要請し、それが認められている。
Btたんぱくは、昆虫の消化管に穴を開けて昆虫を殺す。ただ、昆虫の消化管はアルカリ性のため同たぱくが活性化し、昆虫の消化管の受容体と結合して作用するが、人間の消化管は酸性で、Btたんぱくの受容体もないので無害と一般には説明されている。
しかし、現実にBtコーンを主食として食べた人たちによると、下痢をしたり、咳が出たり、具合が悪くなることが経験上分かったためフィリピンの栽培農家は自分では食べないという。水牛に食べさせると死んでしまうともいう。
アメリカでは1990年代後半(GM食品が流通するようになって)から急増しているのも、Btたんぱくが一つの原因ではないかと推測されるという。またBtコーンのスナック菓子など、Btたんぱくを含む食品が流通しているため、GM食品をやめて健康を取り戻したいとう例が多くあるという。ただ、日本では表示義務の関係でほとんどの流通していないようだ。
カテゴリー: 花/木/樹
11:43
わが家の蘭(胡蝶蘭)が3度目の開花を迎えようとしている。2008年7月に勤務先の神戸からクルマに載せて東京に持ってきた(蘭ちゃん1世)。送別会でいただいた見事な胡蝶蘭だった。何株かに株分けをして1株だけが根付いた。
面影残す蘭ちゃん2世
2年後の10年7月、1世の面影を感じさせるような花を幾つも付けた(蘭ちゃん2世)。
そしてまた2年後の12年6月にも2度目の開花をした(蘭ちゃん3世)。花数は減った。小振りにもなった。それでも咲いた。
3度目も花芽は付いた。2年後の14年だった。しかし、どういうわけか、花を咲かせないまま枯れた。自分でもしっかり世話をしたつもりだったが、水をやり過ぎたのかもしれない。水苔を買ってきて祈るような気持ちで入れ替えた。
それからまた2年。今年に入って花芽が付いた。それがどんどん膨らんできている。数えると11個。まだ小さな蕾もある。それが毎日少しずつ大きくなっていく。開花してくれれば、蘭ちゃん4世だ。
カテゴリー: 会見メモ, 資源/エネルギー/環境
2016/03/23 22:37
ドイツ連邦議会の与党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)会派の院内総務を務めるフォルカー・カウダー氏が23日、日本記者クラブで会見した。今回の来日は5月に日本で開催される伊勢志摩サミット(G7主要国首脳会議)に向けて日独間の意見調整で、22日には安倍晋三首相とも会談している。ドイツ連邦議会(下院)の院内総務として、メルケル首相の右腕的存在で、1990年から連邦議会議員を務める実力者のようだ。
カウダー氏は「日本はドイツと価値観を共有する国として重要である」との認識を示した上、退潮気味な自然科学、哲学、法律面での若者間の日独交流を強化したいとの考えを表明した。ウクライナや難民、テロ問題などについても見解を述べた。
個人的には最近、ドイツが一段と関係を強化している中国との関係に興味があった。経済関係では同盟とも呼ばれるほど緊密な関係を築いている現状や環境問題での協力の実情を質問した。
カウダー氏は冒頭の発言で、「アジアには日本のほかインドネシアなどさまざまな重要な国があることをきちんと理解しておかなければならない。ヨーロッパが中国のみ注目しているというような印象が生まれるのは好まざることだ」と述べてはいたが、「最重点国」はあって当然。ドイツの場合、それは中国だ。
カウダー氏は、「輸出を盛んに行っている経済大国であるドイツとしても今や中国を抜きに活動することはできない」としながらも、「1つのビジネスパートナーとの依存関係を高めすぎてはならない」とも指摘し、経済関係の多様化を進める考えを強調。日本が良好な経済関係を保っているイランで日本との共同プロジェクトを進めたいと述べた。それ以上聞けなかったが、かなり踏み込んだ発言だったように思う。
ドイツの中国への環境協力についても聞いたが、同席したマリールイーズ・デット同会派スポークスパーソン(環境・自然保護・原子力安全担当)は「ドイツは石炭火力の発電設備について46%の効率性を実現した技術を持っている。中国で現在稼働しているのは25%。中国はPM2.5対策に取り組んでいる。電気自動車のより大幅な普及を目指すべきだ」と述べるにとどまった。
カテゴリー: 東京日誌Ⅲ
2016/03/17 20:38
初孫が幼稚園を卒園した。4月から小学校に上がる。昨年末に同じ区内でも学区の違う地区に引っ越したので、一緒に幼稚園に通った”同期”とは新しく通う小学校が異なる。本人ではないので、そのあたりの気持ちは分からないが、どんな気持ちなのだろうか。
2年前に大阪から東京に引っ越してきた2男ファミリーがまた大阪に戻ることになった。引っ越す前に住んでいたのと同じマンションだという。2つのツインが一緒に遊ぶこともなくなる。4人を引っ張っていたのが彼女だった。子どもは人生を自分で選べない。
簡単な卒園祝賀会をわが家で催した。赤飯はササゲを買ってきて炊き込んだ。2年前に大手術をして退院してきたときにいただいて以来だ。季節は春。嬉しい涙、悲しい涙が各地・各所で流れていることだろう。