確定申告「時間外収受箱」

 毎年3月15日は税務署に出掛けるのが日課ならぬ”年課”だ。確定申告のためだ。この習慣が始まってもう20年以上になる。そんなに多くもない原稿料収入を「雑所得」として申告する。納税者としての義務であるが、当然のことながら、きっかけは税務当局に捕捉されたからだ。

 3月15日には何とか時間を作って、実際に税務署に足を運び、「相談コーナー」の机上で、申告書作成に没頭する。分からない部分は待機している担当者に直に聞けるから実に便利だ。ごった返す納税者に混じって、集中しながら数字と格闘する自分は嫌いではない。

 かつて、その所得を得るために要した「必要経費」の内容をめぐって、当局と意見が合わなかったことがある。呼び出しを食らって、3時間も議論した。最後は見解の相違で終わったが、「修正申告」を認めざるを得なかった。しかも5年間も遡って。おまけに重加算税も課せられた。課税実態が現実にそぐわなくても、法律に準拠した納税を迫る当局には勝てなかった。悔しかった。

 若くて、馬力もあり、がんがんアルバイト原稿を書いていたときは所得も多く、それだけに申告内容に対しても敏感だった。しかし今は昔の勢いはかけらもなく、申告に対する取り組みも熱が薄れた。稼ぎが激減しているためだ。考えれば、これはまずい。納税社会の男(女?)の値打ちは「稼いでなんぼ」、「納めてなんぼ」だろう。それにつけても、高額納税者は尊敬するなあ。

 今年の3月15日はどうにも時間が取れなかった。申告書は前夜遅くに何とか作成した。後は出すだけ。わざわざ出向かなくても、郵送すれば済むが、それでは期限切れ。当局からどんな難癖を付けられる分からない。自宅で申告や納税もできる「国税電子申告・納税システム」(e-Tax)も導入されているが、こちらも”駆け込み”には適さない。

 結局、自分で出すはめに。会社からの帰途、途中下車し、練馬東税務署の「時間外収受箱」に投函したのは21時をとっくに回っていた。薄暗かった。ちょうど、同じようなサラリーマンが箱に投げ入れて去って行った。続いて私。箱を開けるのは16日だから、ちゃんと、期限内に申告したことになるのだろうか、ふと一抹の不安が頭をよぎる。でも、いいか!とにもかくにも、これで今年も何とか納税した気分になったのだから。

1 thoughts on “確定申告「時間外収受箱」

  1. Anonymous says:

    SECRET: 0
     せっかく、わざわざ、税務署まで行ったのだから、「期限内収受」にしてくださいよ。柔軟性が必要だよ、税務署は。でなくても、実態から乖離した教条的な徴税手法に批判が高まっているのだから。

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