目黒の「とんき」でとんかつを食す

 東京・白金台の松岡美術館から少し歩けば、すぐ目黒。午後も2時を回って、お腹が空いた。遅めの昼ご飯を食べたい。「目黒のさんま」もいいが、ここはやはり、とんかつの「とんき」(目黒区下目黒1-1-2)でしょう。

 友人に連れられて初めて行ったのはもう30年近く前ではなかっただろうか。そのおいしさとえらく並んで(店内で)食べた記憶が残っている。しかし、それ以上に「おいしかった」記憶が強く、近くに行くと、立ち寄っていた。それでもこの前に行ったのは何年も前のような気がする。

 店の着いたら午後2時30分。「準備中」の立て看板が店頭に立てかけてあった。普通なら、とっくにあきらめて、どこかの店ですませるのに、「とんき」だけはそういう選択肢はなかった。午後4時の開店まで、近くの駅ビルでコーヒーを飲みながら待機。とんきのとんかつを食べなければもう帰れない。

 午後4時30分に再訪すると、まだ席も少し空いていて、待たずに座れた。1階はずっと白木のカウンター席に囲まれたオープンキッチン。しかも、そのキッチンが教室のように板張りのデッキで、実に広いのである。広くて、クリーンで、清潔感にあふれている。

 何度か来たけど、右サイドの席に座って観察するのは初めて。キッチンの全体が見渡せ、6-7人の従業員の動作が実にきびきびしていて、流れるようにリズミカル。役割分担がはっきりしている。白のユニフォームと白のズック靴がまた、清潔感あって、気持ちいい。

 一番大事なのはもちろん、お味だが、衣が薄いながらも、予想以上に硬く、それでいて味わい深い。肉は衣にくっつくことなく、すぐさま離れ、1口カットで食べ易く、口の中に納まる心地よさ。千切りキャベツも微細な甘味を放ち、おかわり自由。あと、豚汁、おしんこ、ご飯。ビールを飲み、とんきのとんかつを食べる。これ至上の喜びである。ヒレ定食1650円也。

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