「日本人のこころと個人主義」

 民間シンクタンク、ひょうご震災記念21世紀研究機構(貝原俊民理事長)主催の平成19年度21世紀文明を考える研究会第2回フォーラムが10月2日、兵庫県民会館で開かれた。共生社会の実現に向けた問題提起の場だが、なかなか聞き応えがあった。

 基調講演は宗教学者、山折哲雄氏の「日本人のこころと個人主義」。普段、ほとんどじっくり考えることのないテーマについて、宗教学者の立場から明晰に分析してくれた。それを受けた形で、今年4月に関西学院院長に就任したルース・M・グルーベル氏との対談。仏教徒とキリスト教徒という対照的な視点は興味深かった。

・21世紀は災害の時代であり、道徳的退廃の時代。

・最近の心の問題は「人間関係」を重視し過ぎた教育に偏重したことと、高齢化社会への不適応がもたらしたもの。信長の時代からつい30-40年前までの400年間は「人生50年」時代。たっぷり生に取り組んできたら、目の前に死が待ち構えていた。生と死は近い存在で、それがわれわれの「死生観」を形成していた。

・ところが、この30-40年くらいで急に「人生80年」になった。生が終わっても、老いと病気が待っており、死はまだはるか遠い存在。死生観に代わる人生観のモデルができていない。むしろ、「子捨て」「親捨て」の思想。この思想が過激な因子に触れたときに、社会的事件が起こる。

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