e-Tax

①丹波杜氏もe-Taxの時代

②嘉宝蔵入り口

③隣りの菊正宗酒造記念館

 今年もまた確定申告の季節(2月18日~3月17日)が到来した。国税庁が力を入れているのがe-Tax(国税電子申告・納税システム)。2004年(平成16年)に導入したものだが、使い勝手が悪くて普及率は2007年3月末時点で3.1%。今年はこれを何とか8%に引き上げ、2010年(平成22年)には50%以上を目指す野心的な計画だ。

 どうも「8%」あたりを実現できれば、それが突破口になって普及に加速が付くらしいので、今年は格別に力が入っているようだ。年々、操作性を向上させながら、手順を分かりやすく説明する案内サイトを作るなど、懸命な対策を講じた。

 今年の最大の特徴は、本人の電子署名および電子証明書を付して所得税の確定申告をe-Taxで行えば、①最高5000円の所得税控除を受けられる(ただ平成19年分または20年分のいずれか1回)②医療費の領収書など所得控除に関するすべての書類や源泉徴収票等は提出しなくても、記載内容を入力して送信できる-2点。

 これまでは電子申告と言いながら、セキュリティーの観点から、源泉徴収票を郵送する必要があったが、今年からはそれが不要になった。これは確かに画期的なことかもしれない。1度の手間で完了する。

 給与所得者ではあるものの、雑所得と医療費控除のために神戸に転勤するまでは確定申告にお世話になっていた。最終日に所轄の税務署に出向き、申告説明書を読み、かつ電卓を叩き、集中しながら申告書を作成するのが年中行事だった。

 雑収入の中身は原稿料収入。必要経費は3割しか認められないので、還付より追加徴収のほうが多く、いつもびくびくしながら計算していたものだ。ごった返す申請書作成室の張り詰めた空気は嫌いじゃなかった。むしろ、あの緊張感が好きだった。1年に1度だけ、数時間ほど、必死に税金のことを考えた。

 e-Taxは知らないではなかった。しかし、操作を覚える時間的余裕がなくて、どうしても手計算を選んでいたのが正直なところだった。じっくり取り組むだけの余裕があるのなら、電子申告に挑戦してみるのも悪くはないのかもしれない。

 政府は電子政府化を推進しており、電子申告もその流れだ。納税者からみれば、計算間違いがなくなるメリットがあるし、税務署側としては自動計算でデータ化されるので検索・集計の手間がなくなる。

 ただ、手放しで電子申告・納税を礼賛する気持ちにはなれない。職場でも家庭でもどこからでも納税できるから便利と言えば便利だが、これにより、システム的に税務署に完全に補足されるのかと思えば、純真な納税者とすれば、ちょっと複雑な心境ではある。

 自動計算に依存すれば、税について考える時間が減るのではないか。それは納税者を愚鈍にすることにつながらないか。そんな懸念が頭を持ち上げてくるのは私だけだろうか。意地悪に考えれば、税務署の仕事を肩代わりする面もある。

 確定申告初日の17日には大阪国税局管内でPR活動を展開。菊正宗酒造(神戸市東灘区魚崎西町)の嘉宝蔵では丹波杜氏5人が電子申告に挑戦するイベントを実施。税務署がこんなことまでやるとは時代も変わったものである。

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