対決-巨匠たちの日本美術

 対決「巨匠たちの日本美術」と題する特別展が東京国立博物館・平成館で開催されている。日本美術の傑作は時代を代表する絵師や仏師、陶工らが師匠や先達、あるいはライバルらと競い合う中で生み出されてきたとの視点から、比較展示したもので、その発想はなかなか面白い。

 岡倉天心らが創刊した美術研究誌『國華』120周年と朝日新聞130周年を記念した特別展で、「くらべてくると、みえてくる」がテーマだ。中世から近世までの巨匠24人を取り上げている。個人的には円空と木喰、応挙と芦雪の対決が好きだった。
▼鎌倉
 運慶vs快慶
▼室町
 雪舟等楊vs雪村周継
 狩野永徳vs長谷川等伯
▼安土桃山
 長次郎vs本阿弥光悦
▼江戸
 俵屋宗達vs尾形光琳
 野々村仁清vs尾形乾山
 円空vs木喰
 池大雅vs与謝蕪村
 伊藤若冲vs曽我蕭白
 丸山応挙vs長沢芦雪
 喜多川歌麿vs東洲斎写楽
▼明治
 富岡鉄斎vs横山大観

 それにしても、東京国立博物館のスケールは大きい。この「対決」特別展が開催されているのは博物館の中の1つである平成館だが、敷地内には全部で5つの展示館。本館は日本ギャラリー、東洋館はアジアギャラリー。特別展を行う表慶館が別にもう1つあり、そこでは「フランスが夢見た陶器に写した北斎、広重」が開催中だった。

 もちろん、上野公園内には東京国立博物館だけではなく、東京西洋美術館や東京都立美術館、東京文化会館など芸術文化の殿堂が幾つも立地している。博物館だけでも芸術の東京一極集中の現実を目の当たりにした思いだ。

 

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