鳩山民主党政権誕生

 鳩山由紀夫民主党政権が16日、誕生する。政権を担う同党は自信と期待で一杯だろうが、政権を託す側は不安と期待で息苦しいほどだ。国民全体が民主的な選挙で同党を選択したのは民主党への大いなる期待というよりも、万年与党・自民党への失望・幻滅の裏返しだった。自民党はあまりにも国民の期待を裏切り過ぎた。

 国民と言っても、1億人もいるのだから、千差万別、各人各様である。右もいれば、左もいる。同じ右でも、ウルトラ右翼から、普通の保守層もいる。左でもウルトラ左翼から普通の革新派まで幅広い。人は誰でも一面ではない。複層的、多層的な存在だ。

 ある問題では保守的でも、別の問題では革新的な面もある。どちらも併せ持つ、複雑怪奇で不可解な個性を持つのが普通の人間だ。保守とか革新とか、一刀両断でスパッと切れるものではない。民主党とはいえ、党首や幹事長は元自民党だし、閣僚には旧社会党系や旧民主党系議員の顔も並ぶ。そういう意味では自民党と変わらない。

 変わるのは政策だ。鳩山新政権が打ち出しているのは「生活第一」。国民生活の安心・安定を最優先課題とし、年金、医療、雇用、子育てなどに重点的に取り組む政策を打ち出した。国家財源を投入し、安心・安定を確保する狙いだ。

 生活重視は自民党とて同じ。自民党との違いは生活困窮者への手厚い予算配分だ。自民党が企業論理を優先させたのに対し、生活者重視を打ち出している。会社員も生活者だから、生活者重視はあり難いが、問題は目先が良くても、それが本当に国民のためになるのか、という点だ。

 人間は本質的に自分に甘い存在ではないのか。楽をできれば、それに越したことはないと考える存在ではないのか。多少の負荷が掛からなければ、動かない怠け者ではないのか。政府に過大に期待すれば、それで問題が解決するとは思えない。政府の役割はあるにせよ、できることなら、自らの手で問題は解決したいものだ。(続く)
 

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