津波情報

 カリブ海のハイチで今年1月12日に大地震(マグニチュード7.00)が起きたばかりだというのに、2月27日午前3時34分(日本時間同日午後3時34分)、今度は南米チリでM8.8の巨大地震が発生した。震源地は同国中部の第2の都市コンセプシオン市から北北東へ115km、深さ35kmの太平洋沖合い。

 この地震により発生した津波が日本を襲ったのは28日午後。岩手県久慈市の久慈港と高知県須崎市の須崎港で最大1.2mの津波が観測された。今のところ、津波による被害は報告されていない。

 高嶋哲夫著『M8』はM8規模の直下型地震が東京で起きた場合を想定したシミュレーション小説だが、それを読んで以来、M8=巨大地震という連想がすぐ働くものの、Mの大きさと被災の程度は一致しない。海上や人口密度の低いところに起きれば、そんなに被害が広がらないからだ。Mは小さくも、直下型だったりすると、被害は大きくなるのが当然だ。

 今回のチリ地震はM8.8だから、巨大も巨大である。陸地から100キロ以上離れていても、既に300人以上が死亡、被災者は200万人を超しているという。今後、被害はもっと拡大する恐れもある。直近の日本での大地震は1995年1月17日の阪神・淡路大震災。M7.3で、2003年9月26日の十勝沖地震のM8.0より小さいが、都市直下型だったので死者・行方不明者6437人と被害は大きかった。

 チリ地震と聞けば、即座に思い出すのは1960年(昭和35年)5月のチリ沖地震。M9.5の超巨大地震だった。このときも遥か太平洋を越えて、津波が日本にまで押し寄せた。12歳くらいだったが、よく覚えている。

 吉村昭著『三陸海岸大地震』(文春文庫)によれば、「5月21日、気象庁は、南米チリの大地震をとらえ、つづいて23日午前4時15分、4度目の地震がきわめて激しい地震であることも観測した。さらにその地震によって起こった津波が、太平洋上にひろがり、23日午後8時50分頃にはハワイの海岸に襲来、60名の死者を出したことも承知していた。しかし、気象庁では、チリ地震による津波が日本の太平洋沿岸に来襲するとは考えず、津波警報も発令しなかった」。その結果、死者の数は105人。流失家屋は1474戸に上った。

 同書によれば、「太平洋をはさんで南米と日本は向かい合った場所にあり、ことに三陸沿岸は、たとえ1万8000キロの距離をへだててはいても、チリ沿岸の湾曲線からはじき出された波動を最もよく受ける所に位置している。チリで発生した波は赤道を越え、その勢いを衰えさせることもなく三陸沿岸に到達する。しかも三陸沖合は深海なのでエネルギーの損耗も少なく、大陸棚の上をスムースに越えて沿岸に寄せてくるのである」

 地震は嫌いである。何といっても、地面が揺れるのは根源的な不安を呼び起こす。存在自体を不安の底に落とし込む。一刻も早く、何とかして欲しい。されど、こんなに頻繁に起こるのは何としたことか。ちなみに過去の大地震は以下の通り。

・2010.2.27 チリ沖地震             M8.8
・2010.1.12 ハイチ地震             M7.0
・2008.5.12 中国四川地震           M8.0
・2007.8.15 ペルー地震             M8.0
・2007.4.2  ソロモン諸島沖地震        M8.1
・2004.12.26インドネシア・スマトラ沖地震   M9.0

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