戦い敗れて、菅首相会見

  11日投開票の参院選で、「民主敗北」の大勢が固まったのはかなり早い段階だったが、菅直人首相が記者会見場に現れたのは日付が12日に変わっても30分を過ぎていた。事情はいろいろあるだろうが、負けは負け。潔く会見場に顔を出すべきだ。潔さの無さがここでも露呈した。

 全議席が確定したのは朝方のようで、参院の新勢力は与党110(うち民主106)、野党132(うち自民84)と確定した。与党が過半数割れし、参院は野党が指導権を握るねじれ国会となった。

 民主党の敗因について、親小沢系だけでなく、菅首相自身も消費税増税発言が響いたと説明しているが、そのためだけで負けたとは思わない。昨年夏以降8カ月間の民主党政治に対する率直な国民の評価ではないか。普天間や政治とカネの問題にまみれた鳩山・小沢体制を何ら総括することなく看板だけ変えて選挙に臨んだ民主党に批判が集まったのではないか。

 表紙を変えたから、鳩山・小沢時代の問題は解消したわけではないはずだ。何ら変わっていない。それなのに2人が退任したことで、「小沢氏は責任を取った。敗北したのは小沢系を外した菅・枝野体制の責任だ」と執行部批判をしている小沢グループの指摘は勘違いもはなはだしい。

 そう思っていたら、日本経団連の米倉弘昌会長が「消費税の問題を掲げたために負けたとは思っていない。菅内閣は発足して1カ月。国民はそれ以前の8カ月の民主党政治のあり方を見たのではないか」と発言したと載っていた。消費税増税は嬉しくないが、それ以上に、1人の実力者に牛耳られ、党内民主主義が窒息した民主党に簡単に消費税を上げられてはたまらないと考えた有権者が多かったのではないか。

 しっかり政治の動きをウオッチしないと、とんでもないことになりかねないことがはっきり分かった。ウオッチするのは時間も手間も掛かる。しかし、みんながそうしなければ、民主主義は死ぬ。死なせないためにもきっちり監視し、不断に評価し続けなければならないのだろう。民主主義は大変な政治形態だ。

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