9年目の「9.11」
それに比べ、「9.11」は同時代だ。ワールド・トレード・センター(WTC)ビルにハイジャック機が突っこむ事件が起きたとき、自分はどこで何をしていたか大概の人は覚えているのではないか。最近の世の中はびっくりするようなことが起こるが、その驚きのスケールが違った。
最初のハイジャック機がWTCに衝突したのは午前8時46分(日本時間同日21時46分)。私はその日の勤務を終え帰宅途中で、同日午後10時すぎのバスに乗る前に練馬のバス停から帰るコールをしたら、テレビを見ていた家人に知らされた。話しているうちに9時03分(同22時03分)、2機目も同ビルに突っこんだ。
いったんバスで帰宅し、自宅のテレビで映像を何度も確認。食事したのち、終電で職場に戻った。ニュースの現場にいた人間としては当然だった。それから長い1日が始まった。そんなことを思い出している。2年前にはWTCビル跡地「グラウンド・ゼロ」を自分の目で見てきた。隣りのビルが事件のメモリアル・ミュージアムになっていた。大勢の観光客が熱心に展示物に見入っていた。事件のインパクトはとてつもなく大きかった。
今年はテロ現場近くでモスク(イスラム礼拝所)建設計画が浮上し、それをめぐる対立が先鋭化している。今や米国内にはイスラム系米国人も多く住み、イスラム社会との共生という課題も抱えているだけに、問題の取り扱いは難しい。
米国はイスラム世界のイラクやアフガニスタンで戦争をしている。イラクは米側が一方的に戦闘任務の終結を宣言したものの、反政府武装組織によるテロ攻撃は続いており、米軍は”支援攻撃”を余儀なくされているのが実態だ。9年目に入ったアフガン戦争の「出口」はまだ見えていない。様々な対立、矛盾を抱えながら、米国社会はどういう道を進んでいくのだろうか。
(WTC跡地グラウンド・ゼロ、2008年11月26日筆者撮影)