金木犀(キンモクセイ)

 朝、小雨の中を傘をさし、うつ向き加減に駅に歩いていると、急に甘酸っぱい香りが鼻に飛び込んできた。びっくりして顔を上げると、金木犀(キンモクセイ)だった。オレンジ色の小さな花を無数に付け、芳香を放つ。この季節ならではの香りだ。彼岸花と同様に、秋の到来を実感した。

 金木犀の香りで反射的に思い出したのは前日の夕方、自宅でたまたま見たBS12「服部幸應の食育のすすめ~食卓で育む生きる力・ニッポンの常識~」番組にゲスト出演したソムリエ兼料理評論家の田崎真也氏が指摘した嗅覚を鍛えることの重要性だ。

 「日本人は嗅覚の重要性を認識していない。(鼻つまんで食べると味分かんないですよね。鼻大事ですよね=服部氏) 全く分かんないですね。特に日本人はほとんど嗅覚を意識せず、トイレに行ったら臭いとか、嗅覚を拒絶するための道具として使っている。積極的に嗅覚を鍛えてもらう必要があります」。

 味覚や嗅覚は子どもの頃から鍛える必要があるという。嗅覚が磨かれれば、感性も研ぎ澄まされるとか。特に嗅覚をトレーニングする機会が日本にはないことが問題のようだ。学問は単に学校で学ぶことではない。意外と重要なのは家庭でしか学べない食育なのかもしれない。

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