『ルネッサンスの街』

『ルネッサンスの街』

友人の展示会を覗いた。東京・日本橋のギャラリークボタ。絵を見るのは好きだが、描くのはからきしダメ。まだしも名画の良さは分かるが、技法はさっぱり分からない。分かるのは自分でその絵が好きかどうかだ。自分の心に響いて、魂のやり取りがあれば最高だが、そこまででなくても、その絵から何か着想・連想・発想を得られれば御の字だ。その絵が有名な画家の作品かどうかは関係ない。こういう絵の観賞の仕方もあってよいと思う。

展示会には16点の作品が出展されていたが、彼の出展した2点と先生の賛助作品1点以外はみんな油彩だった。彼の使う絵具はアクリル絵具。「ちょこっと水に溶いて描く。油絵具に比べて乾きが速く、手頃」らしい。開発されてまだたかだか100年くらいで、水彩絵具や油絵具に比べ歴史が浅いのだという。

『ルネッサンスの街』はイタリア・フィレンツェのこと。「フィレンチェは、15世紀から16世紀にかけて、絢爛たるルネッサンス文化が花開いた街です。ミケランジェロ、ダヴィンチ、ラファエロの3大巨匠がほぼ同時期にこの街で創作活動に励み、相前後してマザッチョ、ボッティチェリ、フラ・アンジェリコ、フィリッポ・リンピなどが才能を開花させました」(個人ブログ「イタリア・絵に描ける珠玉の町・村・そしてもろもろ!」)。描かれているのはフィレンチェの象徴・ドゥオモ(大聖堂)。

絵を見ながら、社会人になる直前に鉄道旅行(ユーレールパス)で回ったこの街のことを思い出した。当時の日記を引っ張り出した。1974年3月26日(火)の午後3時半すぎ、3泊4日滞在したローマから到着、駅から5分足らずのペンションCelyに投宿している。ローマのペンション「サンパウロ」で合流した日本人の1人と一緒だ。その彼が誰だったかの記憶は抜けているが、日記によれば、「田崎君」で、彼とはミラノで別れている。

フィレンチェでは張り切って芸術観賞しようと思ったにもかかわらず、ゼネストで美術館は閉館。鉄道で1時間ほどのピサに行って斜塔に登った。ピサは中心に川が流れ、フィレンチェによく似た美しい街だった。今でも覚えているのはピサの駅の食堂で食べたスパゲッティ・ミートソース。本場物の味が今でも忘れられない。

28日(木)朝には北に向かう列車に乗ったので、フィレンチェ滞在2日弱。ドゥオモやヴェッキオ宮殿、サン・ロレンツォ寺院をちょっと見学した程度で、ウッフィツィ美術館のポッティチェリの作品は見逃した。どういうわけか、お土産用にネクタイを10本も買っている。実に気ままな旅だった。こういう旅をもう一度したいと、『ルネッサンスの街』を見ながら思った。

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