銀座の居酒屋
配偶者の習っている水彩画教室の発表会があるというので、絵心のない私なのに、枯れ木の山に賑わいを添えるつもりで参加した。私の周りにも絵を描く人は多い。絵を描くのはからきしダメだが、文章を書くことについては大好きだ。それが生涯の仕事にもなってしまった。
厚かましくも、教室を主宰する先生に絵を描くことの意味を聞いた。当然のことながら、人によって描きたいものが違う。風景全体の中でも描きたいと思う部分が異なる。描きたい部分を描く中で、自分が本当に何を描きたいのかが段々分かってくるらしい。数を重ねることによって、風景の見方も研ぎ澄まされてくるのだという。
これは絵だけでなく、表現する世界では共通しているはずだ。とにかく、描いて描いて描きまくるしかない。私も新人時代に先輩からよく言われた。書いて書いて書きまくれ、書き続けることでしか文章はうまくならない。技術はあとから付いてくる。先生の話を聞きながら、そんなことを思い出していた。