「オリンパス事件と日本の企業文化」

質問に答えるウッドフォード氏(早大26号館講義室)

 

クラス会の帰路、大隈記念タワー(昔の第2学生会館だと思う)の前を通り掛かったら、政治経済学部創設130周年記念講演、経済ジャーナリズムキックオフ講演会「オリンパス事件と日本の企業文化」と銘打った立て看板が目に止まった。講師はマイケル・ウッドフォード元オリンパス社長。入場無料とあった。

OBでも入れるかどうか分からなかったが、ダメ元で出掛けたら、気持ち良く入れてくれた。彼が日本の企業文化についてどのような見方を披露するのかに関心があった。ジャーナリズムとの関連についてもどう言及するも知りたかった。

オリンパス事件とは「同社が巨額の損失を『飛ばし』という手法で損益を10年以上の長期にわたって隠し続けた末に、これを不正な粉飾会計で処理した事件」(ウィキペディア)。

損失隠しをスクープしたのは月刊誌ファクタ12年8月号。欧州社長から抜擢されて本社社長に就任したウッドフォード氏は菊川会長に真偽を確認したが、つんぼ桟敷状態に。ファクタ10月号は反社会的組織の関与を示唆した続報を報道したものの、日本の主力メディアはそれでも報道しなかった。

逆にオリンパス側は10月14日の緊急役員会でウッドフォード社長の解任を決定。同氏は1時間後にニューヨーク・タイムズ紙に資料を提供。日本のメディアがこの問題を取り上げたのは約10日後だったという。

ウッドフォード氏は日本のメディアについて、「オリンパスの広報機関として動いた。欧米と同じルールで動いてはいない」と断定した。

同氏によると、「日本の資本市場は欧米と同じ。不正が起こるのは日本だけの問題ではない」としながらも、「不正が発覚したときの社会の反応は全く違う」と強調した。

「若い記者はしっかり取材しているが、問題は編集局の幹部だ。幹部に勇気が無い。このストーリーをどうしても読んでもらいたいという気持ちがなければ報道は意味をなさない。日本には報道の自由があるのだから、この自由をもっともっと生かしてほしい」と訴えた。

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