Nスペ『なぜ日本人が・・・~アルジェリア人質事件の真相~』

イナメナスガス施設(NHKテレビ)

イナメナス・ガス施設(NHKテレビ)

 

上からガス施設、合弁会社居住区、日揮居住区の順(NHKテレビ)

上からガス施設、合弁会社居住区、日揮居住区の順(NHKテレビ)

 

施設を襲撃したイスラム武装勢力の指導者

施設を襲撃したイスラム武装勢力の指導者

 

隊商が密輸のネットワークに

隊商が密輸のネットワークに

 

NHKスペシャル『なぜ日本人が・・・~アルジェリア人質事件の真相~』を見た。日本人10人を含む38人の命が奪われた事件が起こって一カ月を経過した時点での中間報告だ。アルジェリア政府が情報を出さないため、依然真相は闇に包まれたままだ。それを、NHK取材班が施設で働いていた従業員や事件の首謀者とつながりのある人物、アルジェリア政府関係者などの証言を引き出し、全貌の一部を伝えた。人と金をかけた民放では難しい取材だ。さすがNHKだ。

今回の事件で最も多くの犠牲者を出したのは日本だったが、関係者などの証言を基に、番組は、「日本人が狙われたというより、外国人が標的になった」としている。外国人は全員がアルジェリア軍による制圧対策として、武装勢力から人間の盾にされた。生死の行方は運不運もかなり関係した。

日本人グループと一緒に日揮居住区からプラントまでの3キロを武装勢力に護送された7台の車両の1台に乗せられたフリピン人従業員の証言によれば、自分が乗った車はアルジェリア軍の襲撃で横転し、そのために逆に車から逃げ出すことができたという。「私が日本人の立場になっていたかもしれません」と話している。

問題は事件を起こした背景だ。アルジェリア南部やマリ北部などの砂漠地帯は今やイスラム武装勢力が我が物顔で活動する無法地帯と化しているという。何がそうした状態をもたらしのか。それは貧困であり、それを生んだ現実だ。テロリスト・グループは「西欧文明がこうした現実をもたらした」と指弾する。

日揮など日本企業や国際企業はそうした地域でも「仕事」があれば、それに従事しなければならない。仕事がその国の開発・発展に貢献すると信じるがゆえだ。しかし、そうした貢献がイスラム教の正義に反すると主張し、ジハード(聖戦)を仕掛けてくる勢力があるのもまた事実だ。

しかも、こうしたイスラム武装勢力は世界各地で勢力を伸ばしている。勢力を伸ばしているのはそうした主張を信じる者がいるからだ。そうした主張を信じられる状況があるからだ。

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